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【レポート】

CES2004レポート -「未来を作る」MITメディアラボも出展、業種や産業の連携による相乗効果

2004/01/16

Yoichi Yamashita

○HDラジオ、一部の都市で放送開始

一昨年の衛星ラジオに続いて、今年はHDラジオがCESでデビューした。HDラジオでは、FM周波数帯でCD並み、AM周波数帯でも現在のFM並みの音質でラジオ番組を提供できる。また、音声と共に、オンエア中の曲名やアーティスト名の表示、ニュースや広告のテキスト表示など、データサービスを提供できる。

利用されている技術は、iBiquityが開発した地上波デジタルAM/FMラジオ放送方式「IBOC(In-Band On-Channel)」で、現在、米38州で300を超えるラジオ局が同技術のライセンスを取得している。iBiquityのブースでは、従来のAM/FMとHDラジオのAM/FMの視聴デモが行われていたが、音の広がりには雲泥の差があった。

HDラジオのメリットの一つに、ローカル局による地元の天気情報や交通情報などが挙げられる。これに対して、全米放送である衛星ラジオのXM Radioは、ニューヨーク市など15都市でローカル情報の提供開始に踏みきった。

PerstelのHD Radioのポータブルレシーバとホームレシーバ

交通情報を統合したVisteonのHD Radioレシーバ

○メディアセンターPC時代のキーボード「diNovo Media Desktop」

すでに米国では販売が開始されているLogitechの「diNovo Media Desktop」。メディアセンターPCをパソコンスタイルで使用する人にお勧めのキーボードだ。

diNovo Media Desktopは、Bluetoothを利用したワイアレス・キーボード、マウス、テンキーパッドのセットで、テンキーパッドがメディアコントローラとしても機能する。メディアセンターPCのリモコンUIにもミドルウエアの追加で対応できるそうだ。

実際に触れてみて気に入ったのは、豊富な機能よりもキーボードの打ち心地の良さである。米国メーカー製のキーボードはごてっとしたデザインが多いが、diNovoのキーボードは、薄くてすっきりとしたデザインである。ThinkPadに代表されるような浅いストロークで、適度なストローク感を備えていて、長時間のタイピングにも耐えられそうだ。ただし、Bluetoothチップを4つ使用しているため、価格の方は249.95ドルと高めである。

Logitechは、米国で音声チャットなどに利用できるBluetooth対応の小型モバイルヘッドセットを販売している。IntelのPaul Otellini社長がデジタル家電PCでは2フィートだったインタフェースの距離が10フィートになると述べていたが、そのようなPCの変化に対応できるようにLogitechではBluetoothを今後重視していくようだ。

Logitechの「diNovo Media Desktop」

キーパード部分をメディアコントローラとして使用できる

音声チャットなどに利用できるLogitechのMobile Bluetooth Headset

○未来を創るMITメディアラボ

大きなブースが目立つのは当然だが、CESでは一昨年のDANGERのように小さなブースながら、ベストオブショーに食い込むほど注目される会社が時々出てくる。今年、もっとも効率よく宣伝したのは……、おそらくMITメディアラボだろう。

小さなスペースだったが、誰もが足を止めるような存在だったMITメディアラボのブース

バッテリーを必要としないリモート。ボタンを押す力だけで、無線でチャイムを鳴らすエネルギーを生み出す

「ユニークな研究で知られるMITメディアラボがなぜCESに?」と思うかもしれないが、同研究所からは数多くのベンチャー企業が誕生している。また、研究資金の多くを企業から得ており、政府からの支援は受けていない。活動維持のため、研究成果をアピールする場としてCESは適しているのだ。

とは言え、同研究所のブースに展示されているものは、ガラクタが並べられているようにしか見えない。例えば、何も入っていないガラスの小瓶が机の上に無造作に置かれている。ところが、その瓶のフタを開けると、まるで香水瓶から香りがただよってくるように音楽が流れ出す。フタを閉じるピタリと音楽は止んでしまう。すぐ横にある違う瓶のフタを開けると、全く違う音楽が流れ出す。「MusicBottles」と呼ばれるこのオーディオ装置は、音声を使った製品の説明などに使うと面白そうだ。車のフロントウィンドウの状態をチェックするセンサーというのもある。ガラスの裏表に貼り付けておくと、くもりそうな状態を事前に知らせてくれるそうだ。このセンサーは走行中に当たる風の力を電力に変えて動作するため、一切電源を必要としない。また、同研究所から独立したAmbient Devicesの「Stock Orb」という水晶玉のような球体も面白い。株価の変動に合わせて、ゆっくりと色を変える。人の心情が敏感に反応する物事は、数字よりも視覚的に表現した方が効果的に伝わるそうだ。

インタラクション・プラットフォームとして機能するディスプレイ「TViews」。例えば人生ゲームのような物語性のあるゲームをディスプレイ上で実際の駒を使って遊ぶことも可能に。

瓶のふたを開けると、それぞれの瓶で異なった音楽が鳴り出す「MusicBottles」

調味料の加減などを的確に教えてくれる「Intelligent Spoon」

車のフロントガラスの裏表に貼って利用する、バッテリーレスの曇りセンサー

株価に合わせて色を変える球体「Stock Orb」

奇妙に思える研究も多いけれど、よく説明を聞いてみると、「へぇ〜〜〜」である。"便利"というよりは、私たちの生活を"豊か"にすると表現するのが、ふさわしいように思えるモノばかりだ。

MITメディアラボは、「未来を創る」という目的で80年代半ばに設立された。その頃はエンターテインメント、コンピュータ、家電産業などが結びつくことなど考えられもしなかった。が、設立者のNicholas Negroponte氏は、当時から異なった業種や産業の連携によって生まれる相乗効果を指摘していた。

今回のCESは、参加者数、出展企業数ともに過去の記録を更新したという。かってCOMDEXのものだった"北米最大のトレードショー"という言葉は今年からCESが使い始めた。

ここ数年、唱えられ続けてきた"コンバージェンス"という言葉、Negroponte氏の指摘が現実になろうとしているのが、今年のCESの盛り上がりにつながっている。近い将来、COMDEXのようにマンモス化して、方向性を見失う可能性を指摘する声もある。だが、消費者やユーザーの姿が見えているという点では、今のデジタル家電革命の動きと、かつてのITバブルは異なっているように思える。


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