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【レポート】

情報処理学会第66回全国大会 グリッド特別トラック

2004/03/10

大塚実

情報処理学会第66回全国大会が9日、神奈川県の慶應義塾大学湘南藤沢キャンパスにて開幕した。一般セッション・学生セッションのほか、特別トラックとして「ユビキタス社会とセキュリティ」「ロボット技術の現状と展望」「グリッドコンピューティングと並列化技術」「次世代情報家電」「次世代テレマティクスとモバイルサービス」などのホットな話題も取り上げる。会期は11日までの3日間。

早速、初日の講演の中から、グリッドに関連する発表を紹介したい。

コストパフォーマンスは抜群 - 既存のPC資産+無償ソフト

以前お伝えしたNAREGIのように、政府レベルで推進するような大規模なグリッドコンピューティングばかりが注目されがちだが、ニーズはもっと身近なところにもあるというのが岐阜工業高等専門学校 柴田良一氏らの「Sun ONE Grid EngineとKNOPPIXを用いた教育用PC群による大規模グリッド構築に関する基礎的研究」だ。

氏が所属するような教育機関の現場では、演習用のPC端末の数は揃っているものの、数値計算用のHPCサーバーなどは高い導入コストもあり、十分な台数の導入が難しいのが現状だ。一方、演習用のPC群は利用が授業時間に限られ、夜間や休日など遊休時間が長く、有効活用されていない。そこで、氏のグループではこの演習用のPC群を利用してのグリッド構築を提案、プロトタイプシステムの処理能力の検証を行った。

各PC端末をグリッドの計算ノードにするのには、まずCDブータブルなLinux「KNOPPIX」をOSとして採用。CDブートにより、各端末(主にWindows OSがインストールされている)をデュアルブート設定にしたりソフトをインストールする必要がなくなり、管理が大幅に簡素化。またグリッドソフトウェアには、GUIが分かりやすく、システム構築も容易であるとの理由から、サン・マイクロシステムズの「Sun ONE Grid Engine」を採用、ブートCDにKNOPPIXとともに組み込んだ。

KNOPPIXとSun ONE Grid Engineの選定理由

システムは、グリッド全体を管理する「管理制御ホスト」、ジョブの実行を依頼する「実行依頼ホスト」、ジョブを実行する「実行処理ホスト」という3種類のホストで構成され、今回は管理制御ホストと実行依頼ホストは同一PCに実装。ちなみに、実行処理ホストは前述のようにCDから起動し、ローカルのHDDは使用しないが、ホームディレクトリはNFSマウントで管理制御ホストから提供されている。

このシステムでのメリットは、なんと言ってもコストの安さだ。KNOPPIXもSun ONE Grid Engine(標準版)も無償なほか、ハードは既存のPC群、LANを利用し、特別な追加コストはないという。パフォーマンスも、3箇所の教室に設置されている計128台のPCを使用したところ、1台での計算時に比べて50倍強の性能が得られた。各PCはCPUがCeleron 667MHz、メモリが128MBと、今となってはパワー不足は否めないが、これにより、例えば構造物のシミュレーションなどで、従来は最適解を見つけるのに遺伝的アルゴリズムなどを利用する必要があったが、組み合わせが10の2〜4乗程度であれば、分散処理で全数解析を行うのも現実的になるという。

使用台数とパフォーマンス向上の関係。かなり飽和してきているが、それでも128台で50倍強

今後は、他の教室のPCも合わせて400台規模を目差すほか、運用のさらなる簡素化のため、ネットワークブートなど、CD以外で起動する方法も検討したいとのことだ。


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