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【レポート】

Internet Week 2004 - 3つのWikiクローンと作者・メンテナが語る今後の課題

2004/12/06

鶴田展之

Wikiとは「誰もが比較的容易に編集・作成ができる、Webコンテンツ管理システム」のことであり、「Wiki」という名前は、Ward Cunningham氏のサイト「WikiWikiWeb」で利用されていたプログラム、というところに由来する。近年、日本でも多くのWikiクローンが様々な言語で作成され、Blogの普及とともに、ネット上での一大ブームとなっている。そんな中、3日のInternet Week 2004の一セッションとして、「WalWiki」、「PukiWiki」、「Hiki」といったメジャーなWikiクローンの作者・メンテナーが集った。司会は電気通信大学の楯岡氏。本稿では、各クローンの実装に関するプレゼンから、それぞれの特徴を中心にレポートしよう。

WalWikiの塚本牧生氏

PukiWikiの増井雄一郎氏

HiKiのかずひこ氏

WalWiki(作者 : 塚本牧生氏)

日本語を扱えるWikiの先駆者であるYukiWiki(作者 : 結城浩氏)をベースに、サイト運営ができるレベルにカスタマイズしたものという形で始まったという。これまでにYukiWikiとはお互いフィードバックを繰り返しており、極力シンプルさを保とうとするYukiWikiからの、派生・機能強化型という位置づけを崩さずに開発が続けられているそうだ。

実装の特徴としては、YukiWikiと同様に古典的なPerlスクリプトという点で、「初級者がハックしやすいレベル」を重視していることが伺える。最近のオブジェクト指向やモジュール化などには対応していないのだが、必要に応じて自分で改造できるユーザが愛用しているそうだ。

現在はYukiWiki 2.1をベースに部分編集や検索機能を強化したWalWiki 2.1PRを開発中であり、将来的には設定のGUI化など、利用者に対する敷居を低くするための改良を検討したいとの事。大規模化・商用化などは視野に入れておらず、方向性はあくまで「ハックできるWiki」であるという。

PukiWiki(メンテナー : 増井雄一郎氏)

YukiWikiのPHPへの移植から始まったPukiWikiは、プラグインによる拡張が可能という特徴を持っている。プラグインを利用したカスタマイズ・高機能化が容易であること、携帯電話端末からの利用が可能なことと、PHP言語のユーザの多さが手伝って、国内では最も普及しているWikiクローンと目されている。有名なところで言えば、OpenOffice.orgなど、オープンソース系ユーザ会のサイト、2ch.netの情報まとめサイトなどで利用されているそうだ。簡単なサイト構築ツールとして利用される事が多く、企業イントラネット内でのグループウェア的利用も増えている。

Webの再発明を目標に、Web出版システム・グループウェア・CMS等のアプリケーションやアプリケーションプラットフォームとして進化することと、更なるUIの向上などを図る。その前段階として、メンテナンスのしやすい簡潔なコードへの再編集と、履歴管理の強化、pukiwiki.orgのドキュメント再構築による啓蒙活動をより推進することが現在の課題とのことだ。

Hiki(メンテナー : かずひこ氏 : ネットワーク応用通信研究所)

Ruby言語でフルスクラッチされたHikiは、オリジナルのWiki同様のシンプルな書式を保ちながら、プラグインによる機能拡張で履歴管理やTrackBackが可能な高機能Wikiクローンである。単一のサイトで複数のWikiを提供できるWikiFarmの構築も容易で、Google検索の結果や運営中のWikiFarmの成長度合いから、PukiWikiに勝るとも劣らぬ人気があることを示してくれた。また、日本語ページ名が扱え、Rubyで書かれたサイトの中では最も高速な部類であるといった特徴も挙げられた。

あえて編集機能を凍結し、掲示板とTrackBackだけを有効にしたWebマガジンとして利用したり、人工知能によって編集されるページなど、一風変わった利用事例が挙げられると共に、WikiFarmでは、いわゆる「荒らし」の被害や喧嘩による苦情などがあるといった、Wikiのトラブル事例も紹介された。将来的には、コアを極力シンプルな状態に保ちつつ、携帯端末から利用できるプラグインなどを開発していきたいとのことだ。

まとめ

セッション後半はQ&A。会場に集まった聴衆からも活発な質問が寄せられた。Wikiの編集作業の難解さの改善が今後の課題として挙げられる一方で、それが逆に「荒らし」などの被害を抑制している可能性もある、といった意見や、「誰でも編集ができる」というWikiの特性が著作権トラブルに繋がる可能性など、Wikiが抱える問題点も多く話題に上り、ユーザ、製作者の双方が、Wikiの今後の成長を真剣に考えていることが伺える内容だった。

Perl、PHP、RubyによるWikiの実装の代表が集められた今回のセッションだが、普及が進む一方で編集インターフェースの改善がWiki全体の最大の課題であることは共通の認識として一致しているようだ。一方、PDF形式等へのインポートやエクスポートの機能に関しては、今のところそれほど重視されていないという印象を受けた。確かに、既存の技術で可能な機能を実装することに注力するよりは、Wiki本来の美点を伸ばすことの方が、シンプルさが売りのWikiには似合っているのかもしれない。どちらにしてもWikiはまだまだ発展途上のシステムであり、その改善プロセスに直接関われる点もユーザにとっては面白いところなのだろう。コンテンツ管理システムの発達が進む昨今だが、その中でWikiがWikiとして独自にどう発展していくのか、今後も楽しみに注目していきたい。

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