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【レポート】

コンピュータの未来を切り開くインタフェース - WISS2004

8 使い方を伝えるということ

2005/03/30

美崎薫

無制限に音楽を聴けるようになったとき重要なことは、どのような曲をどのような順番で聴くのかということに尽きる。つまり、いかにして気持ちよく好きな曲を好きな順番で聴き、気分を盛り上げるか、ということである。

DJ気分とでもいうか、メタ編集の機能に注目が集まっていくのである。iPodが使われるようになってから、クラブシーンで、iPodの曲順を披露しあうパーティーが行われるようになったらしい。後藤氏によれば、プレイリストを見せあうだけのWebサイトまで登場しているのだという。

もはやこうなると、曲名とアーティストと並び順だけで曲が聞こえてくるくらいの達人級でなければ、その楽しみを楽しむことは不可能で、実際に筆者も見てみたが、いったい何が楽しいのか、狐に化かされたような気分である。楽曲+曲名+アーティストのセットがGUIつきの「ドラゴンクエスト」だとしたら、曲名+アーティストだけで盛り上がれるというのは、線画でありながら空間や奥行きを体感させた「ウィザードリィ」のようなものなのかもしれない。

似た曲は「くっつ」いて、連続して聴き続けることができる

ザッピングも自由にできる

マニアというのは際限なくエスカレートするものだ。たまたま音楽には明るくないのでたとえ話で恐縮だが、かつて総合格闘技の黎明期である1995年4月20日に、ヒクソン・グレイシーと戦って破れた中井祐樹は、(いつか総合格闘技がポピュラーになったときには、)「寝技の攻防やってて、足が抜けて"ワー"、足が絡んで"ウォー"、腋が差されて狂喜乱舞する、そういうのって、決して無理じゃないですよ。ボクらがちゃんと、伝えていきますから!」(格闘技通信1995年6月8日号)と総合格闘技での寝技の重要性を語っていたものだった。これだって、当時はマニアでなければ何をいっているのかぜんぜんわからなかったものだけれど、時代は変わって、本当にそういう時代がやってきた。

曲の選択と曲なかのサビの抜きだしとがシームレスになる。ファイルを探すのと、ファイルの中を探すのがシームレスに行えるようなものだ。これはすごい

曲のプレイリストが能動的な文化なのだとか。「豆知識」でちょっと得した気分

音楽にも、無制限に聴ける時代が来るのであろうし、その時にはいまとはぜんぜん違う楽しみを楽しむのである。未来は、いまとだけは違うのだ。

そのとき、モードレスでシームレスで、流れるように音楽を楽しむことのできるMusicreamは、意外性のある曲との出会いを可能にするだろう。オペレーションに比較的能動性を要求されるような印象もあるが、実際に使ってみると、どう感じるだろうか。使う日が楽しみだ。

曲のプレイリストがいろいろな可能性を秘めている

シフトで鍵盤の数を増やす「モバイルクラヴィーアIII」

続いてのインパクトは、ウェアラブルも見据えた(?)小形鍵盤楽器「モバイルクラヴィーアIII」である。研究開発の中心は、もう見るからにミュージシャン、という感じの竹川佳成氏。所属はウェアラブルの神戸大学・塚本昌彦教授の古巣大阪大学で、"塚本せんせー"の弟子でもある。塚本グループは、WISS2001でもPDAを使ったウェアラブル音楽を発表しており、今回のもその「音楽もの」のひとつという位置づけもできる。

モバイルクラヴィーアIII

大阪大学の竹川佳成氏

このモバイルクラヴィーアIII。一言でいえば、少ない鍵盤をシフトによって切り替えて増やしたキーボード(鍵盤楽器)なのであった。

QWERTYキーボードを半分に折り畳んで、片方の手だけで入力できるようにした商品があるのだが、まあそれの楽器版といってもいいかもしれない。

鍵盤楽器は、フルに曲を弾こうとすると、音域の数だけ鍵盤が必要である。逆にいえば、鍵盤の数が少ないと、演奏できる曲の音域は限られる。

そこで、モバイルクラヴィーアIIIでは、フットスイッチを用いて、ダイナミックに鍵盤を高く、あるいは低くすることで、n個の白鍵のサイズで、モーツァルトの『トルコ行進曲』を弾いてしまおうという意欲的なというか怖いもの見たさのというか曲芸的なというか、独特のWISS的なセンスの楽器である。

これだけの鍵盤でフル鍵盤を実現する

その秘密は足にあるシフト。シフトでキーが増える

これはもう、動画を用意したのでそれを聴いていただければと思うが、目の前でモバイルクラヴィーアIIIを弾いているのでなかったら、普通にキーボードを弾いているのとほとんど区別できないほど演奏が巧みだ。

鍵盤全体を高く/低くするだけなら、まだなんとなく想像がつかないでもないが、モバイルクラヴィーアIIIはその先の未体験ゾーンにも足を踏み入れた。右手部分と左手部分を分割して右手部分だけを高く、左手部分だけを低くというように、音域をシフトしていくことが可能なのである。

分割地点は、鍵盤に内蔵されたLEDの点滅で視認することができるという。点灯と点滅で切り替えているのである。

そのモバイルクラヴィーアIII。実際に竹川氏は演奏しているわけだから、ピアノを演奏できる人なら使いこなせるものなのかもしれない。ちなみに、モバイルクラヴィーアIIIに対応するための練習時間は、40分ほどだったという。

動画

モバイルクラヴィーアIIIを演奏する大阪大学の竹川佳成氏。足元も見える(59秒、2.04MB、WMV形式)


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