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【レポート】

「Def Tech」ってご存じですか?

2005/05/24

麦倉正樹

「Def Tech(デフテック)」という耳慣れない名前のミュージシャンが売れ続けている。同名タイトルのミニアルバムがリリースされたのは、今から4カ月近く前、1月22日のこと。メジャーのレコード会社を通さず、インディーズからひっそりとリリースされた本作のオリコンチャート初登場順位は253位でしかなかった。しかし、その後グングンとランクを上げて行き、松浦亜弥、中島美嘉といった人気アーティストを押しのけ、発売10週目にして遂に首位を獲得。以後、若干ランクを下げたものの、5月に入って5週ぶりに再び首位に返り咲くという快挙までも達成。今度はポルノグラフィティやNEWSを押しのけての首位奪還であった。

これって尋常な事態ではない。

もちろん、テレビや雑誌などでほとんど露出の無い「無名の」インディーズ・アーティストが首位を獲得するという現象は、モンゴル800、HYなど、ここ数年来決して珍しいことではなくなっていた。しかし、まったくの無名の新人が1stアルバムでいきなり首位を獲得するというのは、やはり異例中の異例である(モンゴル800、HYはいずれも2ndアルバムで首位獲得)。

きっかけとなったのは、横浜ゴム「DNA」のテレビCMに起用された「My Way」という楽曲である。大海原に整然と並ぶ巨大な風車の映像をフィーチャーしたこのテレビCMを覚えている人もきっと多いことだろう。耳なじみの良い軽快なビートに乗せて英語+日本語ラップの爽やかなハーモニーがこだまする「My Way」。確かにこの曲は、これまであまり聴いたことのない種類の新鮮な清涼感を放つ、とても印象的な楽曲だった。しかし、単に--この曲が良かったから--たったそれだけの理由で、ここまで大きな支持を獲得し、ロング・セールスを記録し続けることなど果たして可能なのだろうか? その理由はもっと別の場所にあるように思う。

2001年、ハワイ出身のShen(シェン)と東京出身のMicro(マイクロ)の2人によって結成されたDef Tech。中国で生まれてハワイで育ったアメリカ人、Shenとサーフィン暦15年という日本人、Micro。RIZEのフロントマン、Jesse(Def Techの名付け親であり、日本が誇る凄腕ギタリストCharの息子でもある)の紹介で出会ったという彼らは、国境や言語を超えた互いのライフ・スタイルやメンタリティの部分で大いに意気投合。以後、二人で音楽製作をするに至ったという。そんな彼らが、自らの音楽スタイルとして結成当初より掲げていたのが、「ジャワイアン・レゲエ」という音楽スタイル。ジャパン+ハワイ+レゲエ--日本とハワイを行き来する中で育まれたレゲエ・テイストの音楽--とでもいおうか。レゲエやヒップホップのビートや表現方法を奔放に取り入れながら、それらの音楽が持つ独特の「エグみ」とはかけ離れた清涼感を放つDef Techの「ジャワイアン・レゲエ」。しかし、その言葉には、ロックやヒップホップといった「音楽ジャンル」としての意味以上に、日本とハワイという海に囲まれた2つの島国が持つ「開放的なメンタリティ」といった意味合いが、大いに込められているような気がしてならない。

そこで思い起こされるのが、近年若者たちの間で人気を誇っているジャック・ジョンソンやドノヴァン・フランケンレイターといった、元プロ・サーファーたちによる新しいタイプの音楽の隆盛である。ニューアルバム「イン・ビトゥイーン・ドリームス」も好評なジャック・ジョンソンは、ハワイ生まれハワイ育ちのミュージシャン。元トップ・プロサーファーという異色のキャリアを持った彼が奏でるのは、アコースティックな質感が優しい心穏やかなグッド・ソングスだ。もともとは、サーフィンを終えた後、気心知れた仲間たちと楽しむために奏でていたという彼の音楽は、フォーク・ミュージックのようで、フォークが持つ閉塞感とは程遠い、大自然の開放感を放っている。彼はそんな自らの音楽を「パン・パシフィック・ミュージック(環太平洋音楽)」と称している。都会の喧騒を離れ、楽園の島で気心知れた仲間と楽しむためのグッド・ミュージック。それは、ジャンルとしての魅力以上に、そのライフ・スタイルをひっくるめた、いわば新たなる「ライフ・スタイル・ミュージック」として、日本の若者たちからも絶大なる支持を集めているのだった。

そして、この「ライフ・スタイル・ミュージック」という形容は、Def Techの音楽が持つ全体的な雰囲気と、メディアに露出しないその独特な活動スタンスについても、大いに当てはまるように思うのだ。ハワイと日本を行き来しながら培われていった耳なじみの良い音楽。コマーシャルなポップ・スターを目指すのではなく、あくまでも仲間とともに楽しむための等身大のミュージック。彼らの音楽が絶大なる人気を博している背景には、そうやって新しい「ライフ・スタイル」や「音楽の楽しみ方」を提示する音楽が若者たちに求められているという、昨今の時代的な気分も大いに関係しているのではないだろうか? 現在、沖縄の地で2ndミニアルバム「Lokahi Lani」(6月29日リリース予定)を鋭意製作中であるというDef Techの二人。その今後の展開に、ますます大きな期待と注目が集まっている。

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