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【レポート】

BSD Conference Japan 2005 - FreeBSDからMac OS Xまで、*BSDファミリー最新事情

1 FreeBSD & NetBSD Updates

2005/07/27

後藤大地

BSDカンファレンス2005実行委員会は7月23日(日本時間)、びぎねっと運営のもとナディアパークデザインセンタービルにて「BSD Conference Japan 2005」を開催した。2002年から毎年開催されている同カンファレンスは今年で4回目。東京、東京、大阪と開催され、今年は万博で沸き上がる愛知での開催となった。

BSD Conference Japan 2005

BSD Conference Japan 2005 T-shirt

FreeBSD Updates

佐藤広生氏

午前中は各種*BSDファミリーの状況について、FeeBSDからはFreeBSD committerである佐藤広生氏から発表があった。同氏は、FreeBSDのみならず、NetBSD、OpenBSD、DragonFly BSDらの開発者でもある。ここまで広範囲に渡り*BSDファミリーに開発者としてたずさわっているのは同氏ぐらいだ。

FreeBSD Updates

FreeBSDのセキュリティサポートポリシーはリリース後原則12カ月となっている。-stableの最終リリースは24カ月と長く、-currentからのリリースは6カ月と短い。現在、4系はセキュリティメンテナンスのみ、5系が-stableで、6系は-stableへの準備、7系は-current段階にある。4系の最終である4.11-RELEASEは、2007年1月31日までセキュリティサポートされることになっているという。

5系が長らく安定していなかったこともあり、4系をサーバとして使い続けている管理者は多い。会場でも、4系をサーバとして運用しているという方が多かった。これに対しThe FreeBSD Projectでは、FreeBSD 5.4 Migration Manualとして移行のための手引きを用意している。プロジェクトが推奨している移行は、4.11-RELEASEから5.4-RELEASEへの移行だ。

同プロジェクトは、6系への移行を急いでいる。5系は次の5.5-RELEASEが最終になる予定で、6.0-RELEASEは遅延を加味しても9月初めにはリリースされる予定だという。5系はSMP対応の関係でなかなか安定しなかった。このため4系と5系を同時にリリースするという異例の体制が敷かれてきたが、これが同プロジェクトに多大な負荷をかけていた。6.0-RELEASEで仕切り直しを行い、早く本来のリリースエンジニアリングに戻す意向だ。

FreeBSDにとって、5系はエポックの時代だった。2系で従来のUNIX以上の速度性能と安定性を出すことに成功し、4系では最新の機能を取り入れつつも安定動作の実績を確固たるものにした。5系では、本質的にマルチプロセッサに対応するため開発を進めるという技術的躍進の時代だった。マルチプロセッサ対応以外にも多くの開発が行われた。中でも同氏が紹介したGEOM Gateが面白かったので、ここでも紹介しておこう。

5系からディスクストレージはGEOMで管理されている。GEOMを使って実現できることは多種多様だ。何ができるといいきることは難しいが、GEOM Gateは中でも特徴的で面白い機能だ。GEOM Gateを使うと、デバイスファイルをネットワーク経由で共有できるようになる。たとえば、サーバ側の/dev/acd0を、クライアント側に/dev/acd0として共有することができる。従来のネットワークファイルシステムは、ネットワークを経由してファイルシステムを提供するものだ。GEOM Gateは、デバイスファイルそのものを供給する。

同氏は6系で注目される機能もいくつかあげた。VFSのMPSAFE化、IPFWのIPv6対応、802.11への対応、PowerPC/ARMアーキテクチャの対応、OpenBSD/NetBSDからユーティリティの移植、OpenBSMの追加などである。特に、VFSはマルチプロセッサの性能を大きく左右する。VFSのMPSAFE化が図られることで、性能が手にとってわかるようによくなるという。

これまでFreeBSDのマルチプロセッサ対応では、CPUの個数に対してリニアに性能は向上しないとされてきた。しかし最近の開発によって、かなり性能が向上しているという。同氏は、14 Sparc CPU、16GBのメモリのマシンで、ほとんどリニアに性能が向上したことを発表した。FreeBSDのマルチプロセッサ対応は性能も向上しつつあるということだ。

その他、Google Summer of Codeに採択されたThe FreeBSD Projectのプロジェクトもいくつか紹介された。5系は5.4-RELEASEでようやく安定し、-stableに変更された。4.11-RELEASEから5.4-RELEASEへ移行するタイミングはまさに今だということだ。

NetBSD Updates

NetBSDについては曽田哲之氏より発表があった。曽田哲之氏はNetBSDのcommitterだが、他の*BSDについても造詣が深い。

NetBSD Update

曽田哲之氏

NetBSDは1.6.2、2.0、2.0.2とリリースを重ねてきた。2.0.2では、バイナリリリースで48のアーキテクチャに対応している。リトルエンディアンとビックエンディアンの用法を含めると、51のアーキテクチャ版がバイナリリリースされている。ソースだけの対応を含めれば、57アーキテクチャということになる。

NetBSD 2.0では、M:N pthreadが導入され、バッファキャッシュの動的割り当てが有効になったり、バッファキュー戦略の切り替えができたりするようにもなっている。VMmapに赤黒木アルゴリズムを使って高速化手法が適用された他、FreeBSD/OpenBSDから各種機能がマージされている。SMP化やacpiの機能向上も行われている。Xenへの対応もある。

ユーザランドでは、/bin、/sbinが動的リンクに変更され、代わりに静的バイナリは/rescueにまとめられるようになった。resizeffsが導入された他、gettextのコード変換や、さまざまなソフトウェアが更新されている。どうなるかは未定だが、10月ごろまでには次のリリースが行われるのではないかということだ。

次期リリースとなるNetBSD 3.0では、FreeBSDとOpenBSDから各種機能がマージされる他、多くの改良が盛り込まれる予定だという。現在-CURRENTでは、複数のNICをひとつのNICに集約するlink aggregationという開発が行われているということや、カーネルメモリ管理の簡素化が図られていることなどが紹介された。

NetBSDのパッケージ管理システムであるpkgsrcは、NetBSDの特徴と同じく、多くのOSに移植されている。もともとはFreeBSD portsを移植したものだが、現在も移植先を増やしているところで、Solarisで活用している人も少なくないという。最近ではDragonFly BSDのパッケージ管理システムとして採用された。The NetBSD Projectでは、pkgsrcにもリリースというモデルを導入し、年に4回のリリースを行うという。年に1回はカンファレンスも開催されているそうだ。

他には、先に募集があった件で、27,000ドルほどが集まったという報告があった。これら資金はパワーのあるマシンの購入にあて、プロジェクトで活用していくという。Google Summer of Codeにもふれ、The NetBSD Projectからtmpfs、wcurses、bpg、zeroconfd、ndis、NFS+、userland fsといった6件が採択されたことが発表された。新しく日本人のcommitterが加わったことや、日本からさらにアーキテクチャが追加されることも発表された。

また同氏は、The NetBSD Projectでは多くの点で日本人による活躍がみられるという点を繰り返し強調した。The NetBSD Projectは、プロジェクトロゴを募集し、以前のロゴから新しいロゴへ変更している。FreeBSDも現在ロゴを検討中だ。これで*BSDファミリーがそれぞれのロゴを持つことになりそうだ。


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