マイコミジャーナル

知りたい!を刺激する総合専門サイト


  1. エンタープライズ

  2. レポート

【レポート】

Content Management Forum 2005 - WebObjects on Mac OS XのCMS〜Wikiと良いCMSの関係って?

2005/09/02

鶴田展之

8月31日から9月1日の2日間、IDGジャパンの主催する「Content Management Forum 2005」が大手町サンケイプラザで開催された。「ビジネスプロセス改革と起業コンプライアンスの実現。」をテーマにした今回は、従来の「Storage Networking World」も融合し、コンテンツとストレージ管理全般を扱う多数のセッションが開催された。本稿ではその中から、31日に行われたアップルコンピュータ(以下アップル)とフレームワークスソフトウェア(以下フレームワークス)による、CMSパッケージ「WebRelease 2」に関する2つのセッションをレポートする。

「WebRelease 2」は、フレームワークスが開発・販売するCMS(コンテンツ管理システム)だ。開発言語にJavaを採用することでSolaris、Linux、Mac OS X Serverといった幅広いサーバプラットフォームでの稼働が実現されているが、フレームワークとしてWebObjectsを利用するため、WebObjectsが最初からバンドルされているMac OS X Serverとは特に親和性が高い。

アップルの寺田和人氏による「Mac OS X Serverで実現するコンテンツマネージメントソリューション」と題されたセッションでは、「Xserve」を用いたWebRelease 2の導入事例がいくつか紹介され、同社のソリューションがiPodのようなコンシューマ向け製品だけではないことを強くアピールする内容となった。寺田氏によれば、コスト改革の意識が高いユーザや、UNIX、WindowsからLinuxへの移行を経験してきたITプロフェッショナル層を中心に、Xserveの導入事例が着実に増えているという。

また、別枠で開催されたフレームワークス代表の桝室裕史氏のセッションでも、より詳しいWebRelease 2の導入事例が紹介された。そのひとつが、CDやDVDを販売する新星堂のECサイト構築の事例だ。一般にこういったECサイトは、頻繁にリリースされる新譜CD等の情報を迅速に反映していく必要などから、高度なアプリケーションサーバを用いた動的なコンテンツとして実装されることが多い。しかし新星堂のサイトは、表面的な部分は全てWebRelease 2によって生成される静的なコンテンツのみで公開されているという。静的コンテンツの配信は動的コンテンツと比較してサーバへの負荷が劇的に低く済み、また、ハード/ソフトをシンプルに構成できる分、障害発生の可能性を下げられることから、システムのトータルコスト削減に大きな効果を発揮する。さらに、Googleなどの検索結果で上位に表示されやすくなるSEO対策上のメリットも大きい。

ただ、これらのメリットを犠牲にしても動的コンテンツが採用される背景には、静的コンテンツを1ページずつ作成するためにかかる時間や手間の問題がある。新譜CDの情報がリリースから1週間たって掲載されたのでは、ECサイトとしてのビジネスチャンスはほとんど無くなってしまうだろう。新星堂の事例は、WebRelease 2というCMSを裏方として使うことでこの問題を解決しているわけだ。

また、WebRelease 2は単なるWebサイト向けのCMS以外の用途でも導入が進んでいるという。日産自動車の「デスクトップツール」、アディダスの「アディダスゲート」、リクルートのホットペッパーが配布する「あなたごよみ」などの事例がそれだ。これらの小さなデスクトップアクセサリはMacromedia Flashで作成され、XMLを使ってWebRelease 2と連携する。通常のWebサイトと異なりプッシュ型の広告配信が行えるため、特に企業の広報担当者にとって魅力的なソリューションとなっているという。

セッションの後半は同社のパートナーとして、ロフトワークスの代表である諏訪光洋氏が登壇し、多数のサイト構築経験から「良いCMSのポイント」を述べた。諏訪氏は「Wiki」を例に挙げ、無料であるにも関わらず趣味、研究、イントラネット以外では殆ど使われていないことを、CMS選定の難しさを表すものだと指摘する。一般的なサイト制作の流れは、仕様の確定、Photoshopなどによるデザイン、Dreamweaverなどによる実際のコンテンツ制作へと進んでいくが、これと同じ流れで制作を進められるものが良いCMSだ、というのが同氏の主張だ。

もちろんCMSを使う場合、あらかじめページのひな形を「テンプレート」として作成し、実際のコンテンツ内容はCMSの機能によってWebブラウザ上から入力していくことになるが、コンテンツを1ページずつ制作するのも、テンプレートを制作するのも、デザイナの作業としては大きく異なるものではない。

つまり、自由な発想をDreamweaverなどのオーサリングツールによって具体化していく作業である。一方「悪いCMS」とは、サイトの仕様がCMSの仕様によって決定されてしまうものであるという。悪いCMSでは、デザインはあらかじめ用意されたHTMLに依存し、自由にデザインできるのは画像などのパーツしかない。こういったCMSでは、理論的には「どんなサイトでも作れる」かもしれないが、実際にはろくなサイトが作れない、というわけだ。

WikiをCMSのひとつとして扱うことには異論も出るだろうが、既存の制作プロセスを変えずにサイト構築を省力化することは、CMSに求められる最も大きな要求のひとつであることに間違いはないだろう。

なお、WebRelease 2はそれ自体シンプルでありながら、優れた使い勝手と高い柔軟性を備えたCMSとして注目に値するものだ。テンプレート集「CMSPro for WebRelease 自治体向け(ロフトワーク)」や、「WebRelease 2 ハウジングサービス」(インタードットネット)など、パートナーによる各種サービスも豊富に揃いつつあるので、CMSの導入を考えている企業には選択肢のひとつとして検討されることをお勧めしておきたい。


特別企画


注目サイト