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【レポート】

CEDEC2005 - 物理エンジンの現状と仕組みを理解する

6 PhysyXカードの実動デモが本邦初公開される!

2005/09/14

西川善司

最後にNovodeXを実際に活用したデモンストレーションが披露された。公開された一部のデモは既にAGEIAのWebサイトにてWindows環境下で動作する実行ファイルがダウンロード可能なので興味がある人は試してみて欲しい。

最初に行われたのは6,000個の剛体オブジェクトの岩がゴツゴツとした岩山の斜面を衝突しながら転がり落ちるというテクノロジーデモだ。

6,000個の岩を斜面に転がすデモ

動画
そのWMV9ムービー(2分13秒、WMV方式、17.9MB)

最初はデュアルコアでHyper-Threading付きのPentium Extreme Edition 840(Pentium XE 840)にて実行。Pentium XE 840では物理コアが2基、Hyper-ThreadingによるSMTで論理コアとしては4基システムからは見える格好になる。

デモでは、4基ある論理コアのうち、1基(ムービー中の右端のゲージ)がレンダリングを担当し、他3つがNovodeXによるマルチスレッド物理を実行しているという分担になっている。

デモの結果は、3基の物理エンジン担当の論理コアのうち2基が100%近い負荷になり、1基は60%近い負荷になっているのにもかかわらず、フレームレートは大体5〜6fps程度どまり。

AGEIAが発表した物理エンジンアクセラレータ「PhysX」カードに切り換えて同じデモを実行してみると、CPU負荷はゼロに限りなく近づき、フレームレートは30〜40fpsの間を推移するようになる。フレームレート比で6倍から8倍近く性能アップしたことになるわけだ。なお、念のためにいっておくと、右端のCPUゲージの負荷率がPhysXカード使用前と後で変わらないのは、グラフィックス描画量が変わらないためだ。

続いて、披露したのはNovodeXに実装したての流体物理シミュレーションのデモで、これは、最初からPhysXカードにて動作させての披露となった。

このデモでは5,400個のパーティクルに対し、一括処理で流体シミュレーションを実行したもので、50〜100fpsをたたき出していた。ムービーを見てもらうと分かるように、3基の論理コアの負荷率はほとんどゼロに張り付いたままとなっている。

PhysXのスプライトベースの霧やマグマの流体シミュレーション

動画
そのWMV9ムービー(1分2秒、WMV方式、8.61MB

現在のNovodeXに実装されている流体シミュレーションは、スプライトベースであり、衝突判定や物理挙動の算出は、大きさのない"点"次元で行われている。

将来的には、物理パラメータと形状外郭を持った立体ベースの流体シミュレーションにも対応するということで、開発途中バージョンである事前計算ベースのデモンストレーションを披露した。前出のパーティクルベースの流体とは違い、車のボディに衝突して跳ねたり、その他の流体と相互干渉して動く様子が観察できた。将来的にはこれをPhysXカード搭載のPCでリアルタイムで動作させたいとのことであった。

形状情報に配慮し、物量パラメータまでを考慮した高度な流体シミュレーションのデモ。ボリューム感のある表現になっている点に注目。現状は事前計算ベースだが将来的にはリアルタイム実装の予定

動画
そのWMV9ムービー(2分17秒、WMV方式、18.5MB)

現在、AGEIAでは、PC用NovodeXの開発と並行して、このNovodeXエンジンをPLAYSTATION 3のCELLプロセッサに内蔵される7基の128ビットSIMDベクトルRISCプロセッサ「SPE(Synergistic Processor Element)」への実装を行っているという。

また、今回のセッションで注目を集めた世界初のPC用物理エンジンアクセラレータ「PhysX」カードはクリスマスシーズンに発売される予定で、価格はUS$200〜300の範囲になる見込みだとのこと。EPIC GAMESのUnreal Engine3.0がこのカードに100%対応しており、対応ゲームもこのタイミングでいくつかが登場する見込みだ。

なお、MicrosoftのXbox事業部のトップ、J.Allard氏がえらくNovodeXを気に入っているという情報があり、Xbox 360のPX-CPUへのポーティングも始まっていると推測されている。

次世代ゲーム機、PC……と、あらゆるインタラクティブ・エンターテインメントの分野で脚光を浴びているAGEIAのNovodeX。今後もその動向には注目が必要だろう。

(トライゼット西川善司)

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