【インタビュー】
『ぷよぷよ』作者が贈る、将棋のように奥深い対戦ゲーム『KING OF WANDS』
1 気軽に対戦できて、しっかり頭を使えるゲーム
2006/02/21
アクションパズルゲームの名作『ぷよぷよ』や異色のRPG『BAROQUE(バロック)』など、世の中にあふれている"テレビゲーム"とは、ひと味もふた味も違うユニークな作品を作り続けるゲームクリエイター、米光一成氏。その彼が手掛けたネットワーク対戦ゲーム『KING OF WANDS』が、NTTコミュニケーションズが提供するオンラインゲームサイト「なつゲー」で公開されている。カードでモンスターを召喚し、バトルを繰り広げていく……という概要を聞いて「よくあるカードゲーム?」と思いきや、そこは米光氏のこと。遊べば遊ぶほどハマり込む、深くて唯一無二なゲーム世界が広がっている。シンプルなルールと高い戦略性、そしてネットゲームならではのコミュニケーションの楽しさ……と、ユニークな試みをいっぱいに詰め込んだこの作品。その制作の裏側から"米光流"のゲーム発想術まで、米光氏自身に縦横無尽に語っていただいた。
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「なつゲー」で遊べる『KING OF WANDS』。カードからモンスターを召還し、相手のリーダーのヒットポイントを0にすれば勝ち。わずか7マスのフィールドに奥深い戦略性が秘められている。基本プレイ料金は無料。 |
地獄の生活に陥る心配がないネットゲーム
--米光さんの新作『KING OF WANDS』は、非常にユニークなネットゲームなんですけども、もともとはどういうところが制作のきっかけになっているんでしょうか?
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ゲームデザイナー・米光一成氏。代表作に『ぷよぷよ』『BAROQUE』『トレジャーハンターG』などがある。現在はネットワークゲームや携帯電話コンテンツなどの企画のほか、ライターとして執筆活動も行う。共著に『ベストセラー本ゲーム化会議』『日本文学ふいんき語り』など。 |
僕自身、もともとネットワークゲームに興味があったんです。それこそ『ウルティマオンライン』が、日本語にローカライズされてないころから遊んでたんですけど、やっぱりプレイ時間が何十時間とかかる。本当に地獄の生活が始まって(笑)。そのとき、社会人でも1ゲーム5分ぐらいで――昼休みに手軽ちょっと遊べて、試合を積み重ねていくような、そういう短いネットゲームができないか、と思ったんですね。それが『KING OF WANDS』をつくるきっかけになっています。
--やはり、ゲームのスケールとしてコンパクトなもの、というのが重要なコンセプトなんですね。
そうですね。遊ぶ側が社会復帰しなきゃいけないような状況には追い込まない(笑)」
--廃人にならなくてすむような(笑)。そこでこの『KING OF WANDS』なんですが、カードを使ったゲームなので、一見カードゲームっぽい展開になるのかな、と思いきや……。
そうじゃないんです。そこが僕の甘いところで(笑)、作りたかったのは、単純に言うと、簡単な詰め将棋的なもの――というか、人と手軽に対戦できるくらい省力化されたチェス、みたいなものなんです。例えばチェスだと、ルールを覚えるまでに非常に敷居が高い。で、それを簡単にするにはどうすればいいかを考えていくと、徐々に駒が増えていくのはどうだろう? と。それで、駒をカードに見立てて集めていく……という作戦を立てたんですけども、そうすると見た目がカードゲームっぽくなっちゃうんですよね(笑)。ただ、最初の意図としては、カードゲームというよりは、簡単な戦略シミュレーションを手軽に対人でできる、というところでした。
『テトリス』は棒を待つしかない
--実際に遊ばせていただいて感じたんですけども、結構考えますよね。どことなくパズルゲームみたいな戦略性が必要になる。
僕は『テトリス』が大好きなんですよ。ただ『テトリス』の唯一の不満は、長い棒を待つしかない、というところで。4段を一気に消すとすごく爽快なんだけど、そのための手段は"待つ"しかない。そのときに"もうちょっと自分で組みたいのにな"という気持ちが、『ぷよぷよ』の"連鎖を組む"という発想に繋がったんです。
--なるほど。プレイヤー側で操作できる要素を増やしているわけですね。
ところが『ぷよぷよ』を僕のおふくろにやらせると"面白くない、『テトリス』みたいにわかりやすいのを作りなさい"って怒られて(笑)。"連鎖を組む"というのが、ちょっと敷居が高いみたいなんですね。でも僕はやっぱり、『ぷよぷよ』みたいに連鎖を組んで一挙に発動させる――組み方は人それぞれで自由に組める、みたいなところが一番面白いと思ってしまうんですよ。だからこの『KING OF WANDS』でも、同じカードを持っていても、人によって作戦が違うし、その作戦の優劣で勝敗が決するところがある。
--確かに米光さんのこれまでの作品を振り返ると、ちゃんと頭を使うゲームが多いですよね。やっていて一番驚いたのが、味方のモンスターも倒せますよね。しかも、それが連鎖攻撃のコツのひとつだったりもする。
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『KING OF WANDS』では、モンスターを倒したキャラクターは連続してもう一度攻撃が可能で、しかも攻撃力が1アップする。この画面では、プレイヤー側(赤いマスの側)にスライムが2匹いるが、敵に対面している左側のスライムはすでに行動が終了しており、このターン内にはこれ以上相手を攻撃できないように見える。しかし、右側のスライムが先頭のスライムをわざと攻撃して倒せば、もう一度攻撃する機会を得られる。この画面の場合、味方のスライム、相手のオーガ(赤い色のモンスター)、相手のリーダー(左端の帽子をかぶったキャラクター)と1ターン内に連続して倒していくことができる。……と文章で説明すると難しそうに思われるかもしれないが、ゲーム内に用意されている「レッスン」をプレイしてみればすぐ理解できるだろう。 |
そこも好きなところなんです。相手が仲間倒すのを見ると"あ、仲間を倒してもいいんだ"という、発見がある。そういう"発見"があるゲームが好きで。仲間を倒していいんだとか、配置をどんどん変えていって前に行って倒すんだとか、発見がたくさんあるゲームなんです。で、その組み合わせがたくさんあるゲーム、というのが僕がいつも目指してるところなんですね。
--『スーパーマリオブラザーズ』で、マリオが画面の外を歩けるのに気づいたときの"あっ!"みたいな、そういう発見ですよね。
『マリオ』も僕は大好きで、あのときの喜びですよね。それは、僕のなかにずっと残っていて、大切にしたいなと思ってるところで。
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