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【インタビュー】

Adobeのビジョンと戦略 - バイスプレジデント ジム・ジェラルド氏

2 "エンゲージメントプラットフォーム"を実現する手段とは

2006/08/23

貝畑政徳

Adobeが提唱している"エンゲージメントプラットフォーム"についても、お話を伺った。"エンゲージメントプラットフォーム"とは、「人とアイデア、人と情報の関わりに変革をもたらす」というAdobeのビジョンを実現するコンテンツ制作から配信環境まですべてを含めた"環境"のことだ。このビジョンを実現するにあたって、どういったツールが用意されているのか、またどのような試みが行われているか質問した。

Adobe Bridge - Adobe製品とMacromedia製品のシームレスな統合

「Adobe Bridge」はコントロールセンターとして全アプリケーションをナビゲートするソフトウェアだ。各ソフトのプロジェクトファイル、アプリケーションおよびカラー設定の一元管理を行うことができる。

「多くのユーザがリッチコンテンツを体験できるようになった現在において、クリエイターは複数のフォーマットを扱うことが一般的になった。印刷媒体、Web、映像等、その種類は多岐に渡る。こうした環境の元で、Adobe Bridgeはワークフローやプロジェクト管理という観点から非常に大きな意味を持つ」とジェラルド氏は語る。

AdobeとMacromediaがひとつになったことで、さらに重要な意味を持つ製品となっていく。

デバイス - Flashのプラットフォーム化

携帯電話にFlash Liteが搭載されている他、すでに下記のようなデバイスでもFlashが採用されていると、ジェラルド氏は話してくれた。

  • SONYのゲーム端末「PSP」
  • ジャガーの車載カーナビゲーション
  • 銀行のATM
  • カラオケの曲目選定端末
  • コカコーラの自動販売機

デバイス側からすれば、UIとしての表現力・開発の容易さからして当然の選択ともいえる。

「デバイスのパワー(スペック)との整合性を考える必要がある」とのジェラルド氏の言葉のとおり、Flash Liteのように、携帯電話のようなマシンパワーの低いデバイスには、そのレベルに合わせた技術を提供する必要がある。携帯電話(Flash Lite2.0)やPSPに採用されているFlash Playerは、Flash 7をベースに開発されている。デバイスに合わせて、過去のバージョンを生かしているので、クリエイターもストレスなく開発することができる。

Apollo - デスクトップアプリケーションの将来性

皆さんは「Widget」というものをご存じだろうか?

デスクトップにフローティング表示されるミニツールのようなもので、電卓や時計など様々なものがある。Widgetを開発する技術も様々なものがあるが、これからはFlashでも開発できるようになるようだ。

これを可能にするのが「Apollo」といわれるブラウザの外で動作するリッチインターネットアプリケーションだ。基本機能としてのAdobe Reader、Flash Playerの機能に加え、HTMLのレンダリングが可能とされている。いままでもFlashを開発のベースとしてWidgetを作る方法はあったが、この「Apollo」によってFlashベースで完全にクロスプラットフォームのデスクトップアプリケーションを開発し、実行できるようになる。Apolloは2006年後半にα版を公開、2007年の上半期に正式版のリリースを予定。Apolloの全貌はまだ見えてないが、下記のようなことが予定されているという。

  • JavaScript、ActionScriptを含んだApollo APIを提供する予定
  • Adobe AJAX framework のSpryを含め、AJAXとの連携が可能
  • ローカルのファイルシステムにアクセス可能

ジェラルド氏によると、Apolloのリリース時にはFlex Builderの無償アップデーターがリリースされ、Flex Builderの環境下でApolloアプリケーションが開発可能になるとのこと。Flashクリエイターにとっては表現の幅が広がることは間違いない。

Adobe Labs - ユーザと創る未来

Adobe LabsはAdobeの開発者向けサイトで、ユーザ参加型コンテンツとしてWikiも備えている。AdobeのAJAX frameworkであるSpry、プロフェッショナル用デジタルイメージングソリューションのAdobe Lightroomをはじめ、開発段階のFlash Professional 9 Alphaなど、リリース前のソフトウェアやテクノロジーにいち早く触れることができる。

その他、独習用に用意されたサンプルコードやチュートリアル、リリース前のドキュメントなども配布されており、開発者にとっては非常に有意義なサイトになっている。フォーラムやWikiなど、他の開発者やAdobeとの情報交換の場としても賑わいを見せている。

「今後も世界中のパートナー、カスタマー、ユーザを集めて、既存製品の市場だけでなく、Adobeの描くビジョンを語ることで、ユーザや顧客のビジネスが成長できるように手助けするのが目的」とジェラルド氏は語ってくれた。実際、Adobe LabsのようにAdobe製品の利用者であるクリエイターを巻き込んだ新しい試みも始まっている。Adobe Labsの一部の情報を日本語訳することも検討されているという。日本のクリエイターも、開かれたAdobeの試みに加わり、次のスタンダードとなるツールの開発に参加してみてはどうだろうか。

貝畑政徳( 面白法人カヤック)


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