【レポート】
スーパーコンピュータで拡がる世界
1 なぜ、スーパーコンピュータが必要なのか?
2007/01/01
2011年の完成を目指して、10ペタフロップス級のスーパーコンピュータを作る文部科学省のプロジェクトが開始された。ペタは10の15乗で、10ペタフロップスは毎秒10の16乗回の浮動小数点演算を実行できるという性能である。このシステムの開発を担うのは理化学研究所の次世代スーパーコンピュータ開発実施本部であるが、完成の暁には、播磨の放射光施設であるSPRING-8と同様に研究者の共同利用施設となり、企業の利用も想定されている。
総額1000億円にものぼる税金を投入するビッグプロジェクトであるが、何のために巨大なスーパーコンピュータを作るのであろうか? また、スーパーコンピュータが出来ると、それは、我々の生活にどのように役に立つのであろうか?
なぜ、スーパーコンピュータが必要なのか?
まず、スーパーコンピュータとは何かというと、大規模な科学技術計算を高速で実行できるコンピュータである。コンピュータの歴史は、高速、高性能化の追及の歴史であるが、その中でも、スーパーコンピュータはその時々の技術で達成できる最高性能を追及してきた。
答えが出るのに100年かかる計算をやろうとする人は居ないと思うが、それが1万倍速くて3〜4日で計算が終わるとなれば、これは実行可能である。このような高性能が必要な一つの例は、天気予報である。1万Km四方の地域を100kmのメッシュで区切り、更に、高さ方向30Kmまでを300mメッシュで区切ると、全部で100万個のボックスが出来、それぞれのボックスの温度や湿度などの状態を変数とした何百万変数もの方程式を解いて、どのように空気が動き、温度や湿度がどう変化するかを計算しなければならない。
飛行機の設計も古くからスーパーコンピュータが用いられてきた分野であるが、これも細かいメッシュを切って翼の周囲の空気流を計算する。コンピュータシミュレーションが始まったころは、翼の断面を使った2次元のモデルしか計算できなかったが、コンピュータが強力になるにつれて、翼の3次元モデルの計算ができるようになった。更に、最近では、翼と胴体を含めた全機モデルの解析ができるようになるというように、コンピュータの高速化により、より精度の高い解析ができるようになってきている。
これらはスーパーコンピュータの用途のごく一部であるが、計算能力の必要性は際限がなく、より強力なコンピュータができると、新たな用途が広がるという状況である。
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