【レポート】
次世代エネルギーの新常識 家庭用燃料電池「エネファーム」を徹底解説
3 気になる”お値段”とエネファームの未来
2008/07/28
気になるエネファームのお値段は?
では、実際に我が家に燃料電池を導入したいとなった場合、どの程度の出費になるのだろうか。
機器本体の価格は、現在200万円前後。ここから、政府が検討中の補助金分を差し引いて実際の購入価格は100万円前後になる見通しだ。実証事業での設置台数トップを誇るENEOSセルテック、滋賀県草津に10万台の生産能力を持つ工場を建設済みの松下電器産業ともに、2015年をめどに購入価格で50万円程度までの低価格化を目指すとしている。なお、販売は都市ガス、LPガス、灯油を扱う各社が行い、リース提供も検討されているという。
また、どの程度の光熱費削減が見込めるかが気になるところだが、各方面とも、「算出の前提となる電気/ガス料金の先行きが不透明な現状では想定が難しい」と口をそろえる。都市ガス/LPガス各社は、エネファームをオール電化に押され気味な現状打開策の筆頭としてとらえており、エネファーム用の都市ガス/LPガスに優遇料金を設定する可能性も高い。
そんなわけで、イニシャルコストの回収年数も不透明。新エネルギー財団計画本部燃料電池部の木村正氏によれば、「少々乱暴ながら、エネファームによって節約できるエネルギーをカロリーベースの約1,000MJから、電力、天然ガス、灯油に置き換えると以下のようになります」。
電力換算:6,700円/月(24円/kWhで計算)
都市ガス換算:3,300円/月(150円/立方メートルで計算)
灯油換算:3,000円/月(110円/Lで計算)
「ただし、実際は電力の消費が減ってガスや灯油の消費が増えるので、これらの中間的な値になると思われる」とのこと。販売が開始される09年度に向けて、一般消費者にわかりやすい数字の公表が待たれるところだ。
次世代エネルギーの未来
ところで、家庭に設置するクリーンエネルギーといえば、まず太陽電池が浮かぶ。太陽電池と燃料電池は、どちらが優秀なのだろうか。
各方面への取材結果をまとめると、太陽光発電はまったくCO2を排出しないが、雨天・曇天や夜間は発電できない。実績で言えば、すでに40万1,794世帯に普及している太陽光発電に一日の長があるが、設置スペース(屋根を始めとする平面)には限界がある。価格は太陽電池が70万円/ kW程度(山口氏)で燃料電池は09年度の予測値で100万円/ kW程度だ。なお、政府は太陽電池に関しても、05年度で終了していた補助金を09年度から再開することを検討している。発電装置自体のライフサイクルコスト差については、検討されていないとのことだが、太陽電池の主原料であるシリコンはすでに価格が上昇、燃料電池は現在のところレアメタルである白金を使用しており(白金を使用しないタイプも研究開発中)、どちらも原料は有限だ。
そんなわけで新エネルギー業界は、それぞれ「どちらかを選ぶ」のではなく、太陽電池、燃料電池に蓄電池も加えた電池三兄弟を「組み合わせて家庭における使用量の"波"に最適化する」という未来形を描いている。例えば、水から水素を取り出す技術と、水素を圧縮貯蔵する技術が進化すれば、昼間に太陽光発電した電気エネルギーで水から水素を取り出して貯蔵しておき、太陽が沈んだ後は水素と酸素で発電することで家庭での電力需要をまかなういうことが理論上可能だ。燃料電池推進室によれば、現在、このような新たな家庭用ハイブリッドエネルギーシステムの研究開発が進められている。
また、400W程度の小型低出力燃料電池をベースで稼動させておき、それを上回る分を、太陽光発電した電力を蓄えたバッテリーからの出力でまかなうことも考えられている。山口氏は、「自動車メーカーが蓄電池技術を持つ電機メーカーを囲い込み、こぞって研究開発を進める現状から言えば、小型化・高性能化・低価格化したリチウムイオン電池などのバッテリーが出てくるはず」。と、「電気は貯めておけない」というボトルネックを解消するブレークスルーに期待を寄せる。
どちらも、実現すれば家庭でのエネルギーの自給自足が可能になるが、まだ開発途上で技術的なハードルが存在する。だが、革新的技術が誕生し、政府主導の大規模なオペレーションシフトが実施されれば、あなたの街から電線が姿を消す日が、早々に訪れるかもしれない。電気/ガス料金の値上げニュースが続く原油高時代。生活を支える家庭用電源システムの進化から目が離せない。
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