【インタビュー】
日中の"架け橋役"に生存賭ける中国・大連市「ブリッジシティ構想」 - 董処長に聞く
1 「派遣エンジニア、外国人お断り」という日本企業も
2008/12/02
筆者は今夏大連市を業務で訪れた際、旧友で、大連市人民政府信息産業局ソフトウェア処で処長をつとめる董莉氏から、大連市が温める「ブリッジシティ構想」なるものがあるという話を聞いていた。
大連市が温める「ブリッジシティ構想」
宴席の中、という状況だったので、酒精も手伝いしばし理解が覚束なかったのだが、同構想は大枠、経済成長の中で、ソフトウェア産業、IT産業基盤の高度化を目指す大連市が、相対的に低コストである内陸諸都市を巻き込み、これら都市の窓口として、日本を初めとする諸外国から、引き続きオフショア開発案件を受注していこうというような話だと了解した。
しかしその後、周知の通り、リーマン・ショックに端を発する世界規模の「金融危機」が起こった。
日本国内でも、金融業界をはじめ、騒然たる雰囲気となった。円高が進み、株式市場が暴落。新規のIT設備投資が、大型案件を筆頭に姿を消した。
事態が進むにつれて、筆者の脳裏に、董処長が語った「ブリッジシティ構想」が今どうなっているのかがよぎるようになった。筆者はこのたび機会を得、董処長と語り合うことができた。
語らいは、(1)大連オフショア企業の現状、(2)大連市のソフトウェア産業政策の動向、困難に陥った市内企業に補助金交付等実施するのか、(3)大連市が描く「ブリッジシティ構想」とはそもそも何なのか、を尋ねるところから始まった。
まずは、董莉氏へのインタビュー記録をご紹介しよう。
世界的な金融危機の中、オフショア業務が大幅に減少
――董処長、今日はお忙しい中、ありがとうございます。日本では、いま、新規のIT投資がほぼ払底しています。特に金融系は惨憺たる状況で、来年は大規模案件がほとんど見当たらない有り様です。こうした中で、一時は東京を中心に、猫の手も借りたいぐらいであったソフトウェア技術者がダブつくようになっています。特に一部では、「(派遣エンジニアでは)外国人お断り」とする企業が出てきていると言います。董処長は大連市ソフトウェア行政の現場を取り仕切るお立場ですが、現状をどう見ておられますか。また今夏、ご紹介をいただいた「ブリッジシティ構想」は今後も進められるのでしょうか。その辺から、まずは包括的にお話していただけませんでしょうか。
ブリッジシティ構想は健在です。日本を初めとする海外諸国のソフトウェア業界と中国の間の結節点に立ち、成長する中国市場へのアクセスポイントとして大連を機能させるとともに、相対的に開発コストの低い内陸諸都市の開発リソースを海外企業に活用してもらう上で、大連がコーディネート役を果たす、水先案内人として機能しようという発想です。
中国各地にオフショア開発を掲げるハイテク・パークやソフトウェア・パークは数多いですが、結局トップ3は北京、上海、大連です。しかし、北京や上海はコスト面で大連よりはるかに高いのが現状です。仮にハイエンドの開発系プロジェクトを受注できたとしても、コスト優位性で大連には及びません。
実際、大連は日本のゲートウェイとしての働きを過去10年間してきました。日本は中国を必要としているし、日本のソフトウェア業界は大連でのオフショア開発を必要としています。
確かに2003年以降、とりわけ2005年から2007年にわたり、世界の金融市場が拡大するなかで、金融システムの構築にかかわるアウトソーシングなど、オフショア業務が非常に増えました。日本からも、野村證券をはじめ、非常に多くのクライアントが大連への発注を増やしました。
こうした需要が、リーマン・ショック後の世界的な金融危機の中で、いま大幅に減ってきていること、明らかに「総量の減少」がみられることは認めます。
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