【レポート】
『ヱヴァンゲリヲン新劇場版』のプラグスーツ&使徒の謎を公開!? - Apple Storeで『ヱヴァ』デザイナーがトーク
2009/08/30
8月22日、東京・銀座のApple Store Ginzaにて、トークイベント「ヱヴァンゲリヲン新劇場版とデザインの関わり」が行われた。このイベントは、現在上映中のアニメ映画『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破(以下『破』)』と、その前作『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序(以下『序』)』を題材に、プラグスーツや使徒など、両作品のデザインを参加スタッフ自らが語るというものだ。
ステージには『ヱヴァンゲリヲン新劇場版』の監督を務める鶴巻和哉氏、デザインワークスとして参加したokama氏とコヤマシゲト氏、さらにはシークレットゲストとして、主・キャラクターデザインを務めた貞本義行氏が駆けつけ、四者によって『新劇場版』におけるデザインの制作過程が振り返られた。本記事ではその貴重なトークのなかから、ハイライトシーンを抜粋。スタッフのコメントと合わせて紹介していきたい。
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こちらも『序』よりokama氏によるリリスのデザイン案。「胸の解剖跡をokamaさんは碁盤の目のように解釈してくれたんだけど、最終的には一目で解りやすい、縫い目のようなデザインになりました。それでもデザイナーさんが設定にアイデアを盛ってくれるのはうれしいですね」(鶴巻) |
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こちらは庵野総監督による、超高密度な兵装ビル設定。「庵野さん、さすがにメカはめちゃくちゃ描き込んでます(笑)」(コヤマ)、「すごい描いてるなあー!」(okama)、「こういうのだけでも2カ月ぐらいかけてじっくり描くんですよ」(鶴巻) |
トークではこのほか、今回のイベントにあたって一般から募集した使徒とプラグスーツのデザインがスクリーンで紹介され、それについて壇上の4名が語り合うコーナーも。そして最後には、アニメやマンガなどのデザイナーを目指す若い参加者に向けて、4名それぞれからアドバイスが送られた。
■鶴巻和哉氏
「例えばさっきの万博の建物なんて、ああいうのを知っているだけでSF的アイデアの宝庫なんですよ。こういうのを詳しく知ってるだけでも全然違う。アニメやゲームのデザインをやるのであれば、アニメやゲームが好きなのは当然なわけ(笑)。なのでそことは関係ない、全然別のすごい好きなことがあるといいと思いますね。そこから引っ張ってきてる分には誰とも被らない。変な分野のオタクというか、『ここは俺しか知らない!』というのを持っているといいと思います」
■貞本義行氏
「キャラクターデザインの仕事はひとりでいろんなキャラクターを作らなきゃいけないんだけど、自分の好きなものだけじゃなく、当然嫌いなものもデザインしなきゃいけない。『見るからに嫌な奴をデザインしてくれ』と言われても、普通の感覚だと嫌いなものって避けちゃうじゃないですか。でも自分が嫌いなものにこそ、自分が一番インパクトを感じるものが隠されていると言うのかな。だからバランスの取れた自分の好きなものだけじゃなくて、嫌いな人やモノも避けずに『なんで嫌いなんだろう?』って好奇心を持って分析する。そういう癖をつけておくといいと思いますね」
■okama氏
「僕がデザインするときは、見た人がドキドキするといいなと思ってて、それを見たことで映画館に見にいく動機になるようなデザインがいいなと思っています。『なにか新しい気がするな』とか。それぐらいしか考えてないですね。見たことがないもので、みんなが好きそうなものを選んでデザインしてみると面白いかなと思います」
■コヤマシゲト氏
「アスカのプラグスーツもそうなんですけど、僕ひとりのアイデアでは出来なかったし、アニメーションのデザインっていろんな人が意見をぶつけてどんどん変わっていくものなんですね。それってデザインした人にとってはストレスだったりするかもしれないんだけれど、それをストレスと感じちゃうと集団作業ができなくなっちゃう。ちょっとずつ変わってはいくんだけど、それをみんなでいい方向に向けていこうと思っていないと良いデザインは生まれないと思うので、人の意見で自分の考え方が変わるという価値観を受け入れられると、かなりこういう業種に向いてると思います。他人と一緒にやれるということがアニメーションの面白さなんです」
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若い観衆にアドバイスを贈った鶴巻氏。「アニメは集団作業だから『言いたいことはあるけど黙っていよう』ということがあるかもしれないけど、言いたいことは言ったほうがいいと思う。でもそれで作品が作れない方向に行くのは間違い。いつも作品をよくしよう、完成させようという方向で積極的に発言していくといいんじゃないかな」 |
語りどころの多い『ヱヴァンゲリヲン新劇場版』だけに、デザインという切り口だけでも、あっと言う間に2時間以上が過ぎてしまった印象。貴重な設定画も使ったメイキング披露もあり、膨大な量のトライアンドエラーの積み重ねによって、今回の『新劇場版』が制作されていたことに、客席からは熱い眼差しが注がれていた。庵野秀明総監督のもと、テレビシリーズの『新世紀エヴァンゲリオン』を生み出した鶴巻氏と貞本氏、そして新たに『新劇場版』から関わった若手のokama氏とコヤマ氏。さらにそのつぎの世代を担うクリエイターが今回の客席や、本記事の読者から生まれてくることを期待したいところだ。
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