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【コラム】

エンジニアのための英語術

2 たかがリーディング、されどリーディング - エッセイスタイルをモノにせよ

2007/03/19

原田洋子

日本人が受けていない教育「エッセイスタイル」

英語の記事やドキュメント、読んでいますか? 読みたいとは思っているんだけど、辞書を引きながら最後まで読めるほどの時間はないし、1回読んだだけじゃ内容がわからないし……こんな感じで、挫折気味の方が多いのではないでしょうか。たしかに、日本発のすばらしいソフトウェアが増えてきた上に外国産でも日本語化のスピードが速くなりました、が、やはり、海の向こうから英語のままやってくる目新しいソフトウェアや話題は多いものです。もしも英文リーディングができたら、すらすらとはいわないまでも内容を把握するくらいできたら、すばやく情報をキャッチして役に立ちそうなのかどうなのかの判断材料になるかも…そんな願いを受けて、今回は英語のドキュメントを読むときに、短時間でうまく内容を把握するためのコツについて話をします。

英文を効率よく読むためには、実は英文ライティングの知識が役に立つのをご存知でしょうか? 英語の世界では記事や論文などは「エッセイ」と呼ばれており、「エッセイスタイル」というかなり構造化された書き方をするのが普通です。アメリカ人はミドルスクールに入る6年生くらいから、構造化ライティングを勉強しはじめ、以来10年以上の間トレーニングを受けて社会に出るので、エッセイスタイルがライティングでもリーディングでも基本になっています。外国人が書く英文が米国ではだめだと言われてしまう原因は、英文そのものの出来よりも、このエッセイスタイルがきちんとできていないことが大きな理由である場合がよくあります。

では「構造化されたエッセイスタイル」とは何か、大まかに言うと、1つの"thesis"と複数の"main ideas"が柱になっています。"thesis statement"はとくに重要で、「このエッセイはこれについて話をします」という宣言のようなものです。通常、最初の段落である"introduction"の最後の文章がthesis statementです。2つめ以降の段落ではthesisを支える各main ideaを書いていきます。通常、各段落の最初の一文は"topic sentence"と呼ばれるもので、この段落ではどのようなmain ideaについて話をするかを述べる文章になっています。段落内の2つめ以降の文章はmain ideaのための"supports"か"examples"で、最後の文章がmain ideaに関連する小さな結論になっていることもあります。そして、最後の段落は"conclusion"で、ここには結論やthesisを印象づける内容があります。

英文には決まった流れがある

今回のお手本であるMartin Fowler氏のエッセイ。まずはゆっくりでもかまわないので、単語ではなく“構造”を追って読んでみよう

……と、いきなりエッセイスタイルを説明されてもわかりにくいはずですから、実際にどのような仕組みになっているのか、Martin Fowler氏がWeb2.0について書いているエッセイを例に、見ていくことにしましょう。

まずはthesis statementですが……ありました。セオリーどおり、最初の段落の最後の文章です。

There's a lot of confusion out there, however, so I guess it's time for me to make a futile attempt to reduce that confusion.

です。つまり、このエッセイは「confusionを少しでも解消するために書いている」ことがわかります。

次からはmain ideasになりますが、2つめの段落のtopic sentenceを見ると、

"A lot of the confusion is due to people"(抜粋)

と あるので、この段落では「confusionの原因は人々がそれぞれに違うことを言うからだ」というmain ideaについて書いてあります。実際に2つの引用がありますから、内容を読まなくてもこの2つが違う意見のはずということは想像できます。このエッセイの場合、3つめの段落がどこから始まるのかの判断は難しいですが、引用で段落が終わるというのはconclusion以外ではあまりないことなので、bullets(箇条書き)が終わった次から段落が始まると考えてみましょう。すると、

It's important

という書き出しです。この段落には何か重要なmain ideaが書かれているはずです。このようなtopic sentenceがあったら、わからない単語は調べて文章を理解しておきます。どうやらFawler氏は「業界でWeb2.0の定義とされているルールは、規定というよりは説明である」と言いたいことがわかりました。

さらに次の段落の最初にあるtopic sentenceを読むと、

I have some sympathy for Nicholas Carr's view

とありますから、Fawler氏は業界では主流とみなされていないであろうCarr氏の意見と同じ考えを持っていると想像できます。

続く段落のtopic sentenceは

A common misconception I run into is that Web 2.0 is all new stuff.

ですから、もうこのエッセイの結論は見えました。Fawler氏によれば「Web2.0が新しいものだと思うからconfusionが起こる」わけです。この流れでいけば、最後の段落であるconclusionには、thesisを読者に印象づける内容があるはずです。

このようにthesis statementとtopic sentencesを追いかけるだけで、おおざっぱな内容が把握できました。詳しい内容を知りたかったら、今見てきたエッセイの構成を頭において、「ここにはこういう話が書かれているはず」と思いながら読んでみてください。「読むぞぉ〜」と意気込んで文章を最初からひとつひとつ読むよりもずっとわかりやすいはずです。

英文を読むときのコツを説明しましたが、いかがですか? ぜひお試しください。

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