【コラム】
Flashアニメ作家・青池良輔の「創作番長クリエイタ」
9 ショートコンテンツ(短編作品)の物語作法について、さらに深く考える
2009/07/05
Flashアニメ作家・青池良輔がクリエイターになる方法を熱く伝授する連載「創作番長クリエイタ」。連載第9回では前回にひき続き、ショートコンテンツ(短編作品)の物語作法について深く考える。
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ショートコンテンツでは、不要な部分を大胆に削ろう
前回で触れ始めたショートコンテンツ(短編作品)の物語作法について、もう少し突っ込んで考えてみたいと思います。前回は「膨らましてから削る。削りながらこねくりまわす」というやり方を紹介してみましたが、その過程でもう少し考えたい点もあります。
ショートコンテンツで一番削りやすいのは、各シーンの頭とお尻「キャラクターの出入り」です。簡単な会話シーンを例に考えてみましょう。
まず、画面外からやって来たキャラクターAとBが出会い会話となります。
A「こんにちは」
B「ごほごほ」
A「どうしたんですか? 元気ないですね」
B「実は風邪で……、咳が止まらないんです」
A「えー! それは大変だ」
その次のシーンで、Aがトカゲを粉にしてクスリを作っているシーンがあるとします。その場合、本当に芯の部分だけを残せば、最終的に必要なのは、
B「咳が止まらないんです」
これだけとなります。あくまでも極端過ぎる例ですが、一行づつ、シーンの頭からセリフやアクションを削ってみて、お話が成立するかどうかを検証してゆくと、意外に多くの部分が削れるものです。また、それによって、シーン変わりにダイナミックさとリズムが産まれるのです。
セリフの内容もシンプルに
次に削りやすいのは、セリフの内容です。僕はショート作品の言葉の使い方は、シンプルであればあるほど美しいと思います。
「むかしむかしあるところにおじいさんとおばあさんが住んでおった……」
こういうセリフで、山を背景に茅葺き屋根の家があり老夫婦が立っているビジュアルを見せるのは、ペンを見せながら「This is a pen」と言ってるのと同じです。セリフはビジュアルだけで明確に表現しきれていない点だけを残せばよいと思います。
「むかしむかしのことじゃった……」
これだけでも構わないですし、そもそも、「昔」であることが重要でなければ、この説明セリフさえいりません。なぜ、ここまでしてセリフを削るのかというと、ここで削った5秒を、話の中心部分のために残しておきたいからです。
不要シーンを丸ごと削る
今度はシーンを丸ごと削ってみます。繰り返し行われて来た段取り芝居、記号として観客に伝わるアクションは思い切って削ります。失恋に関するショートコンテンツを例に説明しましょう。
「友達と話して好きな相手に告白を決意」→「相手を呼び出し、断られる」→「友達になぐさめられる」
こういう流れがあるとします。演出プランにもよりますが、「相手を呼び出し、断られる」というシーンがない方が、物語にリズムが生まれます。もちろんその部分を楽しみにしている人もいるので、そこは自分にとって何が重要かで決めてゆけばいいと思います。
ショート作品に限らず、ここで解説している「削り」は、濃縮を目的とした「削り」なのでガンガン挑戦してみればいいと思います。
明確さを意識して物語創作を
そして、もう一点ショートコンテンツの物語創作で意識したいのが明確さです。例えば2分の作品では、説明ばかりに時間を裂くべきではないと思います。5分あれば多少のことはできるのですが、それでも、伝わりやすい、混乱しない、親切な作品を作る様に心がけるべきです。ショートコンテンツは短歌のような所もあります。いかに語句を選択し、明確にイメージを表現するかを意識すべきです。タイトル、タイトルに使うロゴ、色合いだけでも、作品の雰囲気を伝えるのに大きな役目を果たします。
ただわかりやすくする為に、ナレーションもしくは、独白を多用するべきではないと思います。説明には便利なのですが、あまり使うとクドく、小うるさい作品になります。何より「映像表現が下手なんだなぁ」と思われてしまいます。可能な限り、キャラクターのアクション、見た目、小道具、構図やBGMとのマッチングによって表現するほうが、スマートに見えます。あまり言葉を使わずに明確に意図するイメージを伝えるというのが、実は一番カッコいいのです。
2分程度の作品では、観客を混乱させるのはあまり得策とは言えません。意外性はあってもいいと思いますが、「あっという間に終る面白い作品」であることを再認識しながら、お話を考えてゆきたいところです。
青池良輔
1972年、山口県出身。大阪芸術大学映像学科卒業後、カナダに渡り映像ディレクター、プロデューサーとして活動。その後、Flashアニメで様々な作品を発表。短編アニメやCFを多数手がける。最新作はDVD『CATMAN』(2008年)、『ペレストロイカ ハラペコトリオの満腹革命』(2008年)。『藤子・F・不二雄のパラレル・スペース DVD-BOX』(2009年)では、 谷村美月主演の実写作品「征地球論」の監督と脚本を担当。森永アロエヨーグルトのWebサイトで、最新Flashアニメ『GIRLS BATTLE アロ恵』公開中。
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