【コラム】
OS X ハッキング!
337 iTunes 9の気になるあの機能をチェック - 「HE-AAC」に新対応
2009/09/28
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食欲の秋、スポーツの秋などと申しますが、子を持つ親にとっては「イベントの秋」到来です。運動会用の撮影機材を準備することは言わずもがな、場所取りという労苦が待ち受けているのですよ。そこへ追い打ちをかけるようにシルバーウィークが加わり、もうヘトヘト。Snow Leopardのリリースが8月末だったことは、いまにして思えば幸いでした。
さて、今回は「iTunes 9」について。約1年ぶりのメジャーバージョンアップということもあり、それなりの新機能が追加されている。ここでは、新たにサポートされた「HE-AAC」の解説を中心に、iTunes 9の新機能を紹介してみよう。
HE-AACエンコードを試す
iTunes 9では、楽曲をAACで読み込むときのエンコーディング形式として「HE-AAC」(High Efficiency Advanced Audio Coding) を新たにサポートした。MPEG-4 AACの拡張仕様であり、かねてからiTunes / QuickTimeで利用されているAAC-LC (Low Complexity) より高音質とされる。「着うたフル」に採用されているコーデック、といえば話が早いかもしれない。
このHE-AAC、コーデックとしての特性はAAC-LCとほぼ同じだ。その差は「Spectral Band Replication (SBR)」(※)の有無によるもので、圧縮率の違いではなく、実際ファイルサイズに与える影響はごくわずか。ビットレートやサンプルレートなど他の条件が同じとき、両方式でエンコードした楽曲のファイルサイズはほぼ同じとなる。
※:Spectral Band Replication (SBR)
高周波数成分の情報を前処理により抽出、低い周波数成分でエンコードされたAACストリームに多重化したうえで格納する技術。HE-AACを再生する場合は、高周波数成分のデータを合成する機能を持つデコーダが必要となる。
試しに、音楽CDから楽曲をリッピングしてみた。サンプルはDonald Fagenのソロアルバム「The Nightfly」より「I.G.Y.」を選択、AAC-LCとHE-AACそれぞれでエンコードを実行。ビットレートは64kbps、サンプルレートは44.1kHz、ステレオと、HEエンコーディングのオプション以外は同一となるよう、環境設定パネルでのオプション値を設定している。テストに使用したマシンはMacBook Pro 17inch (Core 2 Duo 2.66GHz / 4GB RAM) 、OSはもちろんSnow Leopard (v10.6.1)、使用したiTunesのバージョンは9.0だ。
エンコードに要した時間だが、AAC-LCは1分6秒、HE-AACは1分7秒と誤差の範囲。ファイルサイズも同様に、AAC-LCが3MB、HE-AACが2.9MBと大差ない結果となった。ちなみに、エンコードのプリセット値にiTunes Plus(256kbps / VBR) を選択したときのファイルサイズは11.5MBだ。
肝心の音質だが、AAC-LCはスネアドラムやハイハットなどの高音部分がくぐもったような印象。不明瞭というかこもっているというか、スキッとしない音になった。一方のHE-AACは、オリジナルのPCM音源ほどではないにせよ、受ける印象としてはiTunes Plus (AAC-LC / 256kbps) に近い。スネアの音もスッキリと聞こえ、ハイハットの余韻として残る「シャーン」という高音も長く耳に残る。透明感はCDやiTunes Plusに比べるとランクダウンするが、このファイルサイズでこの音質ならば、活用範囲が広がるという意味で許容範囲内といえる。
HE-AACをサポートするデバイスだが、米AppleのWebサイトに掲載されたiPodシリーズ各製品のスペック表で確認するかぎり、現時点ではiPod nanoとiPod shuffle限定らしい (なぜかアップルジャパン側Webサイトの各スペックには9月28日時点で未掲載)。今後のファームウェアアップデートで対応するかどうかは不明だが、iPod classicなどの大容量メディアを搭載した機種ではあまりメリットがないだけに、期待する必要もないと思う。
話題先行の「あの機能」たち
メジャーバージョンアップとなったiTunesだが、新機能らしい新機能は巷間の噂より少なかったように思う。ライブラリから似たジャンルの楽曲を選び出す「Genius Mix」は確かに面白く実用的だが、iTunes 8でGeniusが登場したときほどのインパクトには欠ける。ホームシェアリングも、複数台のMacを利用している家庭でなければメリットは少なく、DRM付きの楽曲 / ムービーをiTunesアカウントなしでコピーできるわけでもない。ライナーノートなどの追加コンテンツとともに楽曲を購入できる「iTunes LP」も、iTunesの新機能というよりはiTunes Storeの新サービスだ。
一抹の寂しさを覚えたのは、Twitterのサポート。再生中の曲名をつぶやくとか、コミュニケーションに使えそうな機能かと思いきや……操作対象はiTunes Store上の楽曲のみ、しかも楽曲のURLとともにtwitter.comへと飛ぶだけ。これでは、積極的にTwitterのネタとして使おうと考えるユーザは少ないのではなかろうか。
ただし、iPhone / iPod touchユーザにとっては大歓迎の新機能がある。仮想ホーム画面を利用し、ドラッグ&ドロップでアプリを入れ替えたり、並び順を変更したりできるようになったのだ。利用に際してはiPhone OS 3.1へのアップデートが必要となるが、アプリの扱いが格段にラクになること間違いなしのこの新機能、大いにメリットを感じることだろう。
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