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【コラム】

理系のための恋愛論

193 うちに遊びにおいでよ

2005/11/25

酒井冬雪

彼女というか、これから彼女になるかもしれない女の子を自分の家によびたい(要するにふたりきりになりたい)。そう思うんだけど、どうやって声をかければいいか、きっかけがつかめない……と悩む男子のみなさんは多いと思われます。

プライベートな距離を一歩一歩つめていくのって、むずかしく根気のいる作業です。デート帰りに「コーヒーでも飲んでいかない? いや、その、何もしないから」と誘うのは、いかにも……すぎるし。と、あれこれ考えるみなさまのために、フツウに女の子を家に招き入れる方法について、考えてみることにいたします。

某家電メーカーで働くRくん(30才)は、この度めでたく、会社の独身寮を出てアパートでひとり暮らしをはじめることになりました。引越しかあ、どうしようかなあと思っていると、気さくな性格の同じ部署の後輩Hくんが「手伝いますよ」といってくれたので、ひと安心。ところが、Hくんは気さくすぎる人柄ゆえに、会社のイロイロな人に声をかけてしまい、人気のAちゃん(25才)にも「Rさんの引越し手伝えない?」なんて大胆にも聞いてしまったのです。

すると、もっと驚いたことにAちゃんが、
「あっ、行けますよ」
といいだしたではありませんか。突然のことに身をかたくするRくんでしたが、
「でもー、私は寮には入れませんよね……」
というAちゃんのひと言にはガックリうなだれました。するとHくんが、
「それじゃあさ、引越し先のほうで待ち受けててよー。そうじとかしてくれると助かるんだけど」
と図々しくもいいだしたのです。
「そうですね。それじゃあ、引越し先のほうで待機してます」
と快く了解してくれたAちゃんでした。

Aちゃんが引っ越しの手伝いに来てくれる! 寮から出ることにしてよかった……。と、心の底から思い、すっかり舞い上がった気持ちで男ばかりの独身寮へ帰ったRくん。自分の部屋へ入って「ハッ」としました。

(どうしよう……、このマンガの数々)

Rくんはだいのマンガ好きで、部屋には2千冊ほどのコミックスがおいてあります。ハッキリいって、せまい部屋がマンガで埋もれているという感じ。しかし、引越しの機会にこれらの単行本を減らすつもりは一切なく、新居には何はなくとも本棚を充実させようと決めていたのでした。

(まずい、Aちゃんにこのマンガを見られてしまう)

コレクションの中には、もちろんエッチなマンガもふくまれていますし、少女マンガも入っています。Aちゃんに引越しの手伝いに来てほしい。彼女のプライベートな素顔を見てみたい。ですが、そうすると自分のこのコレクションを彼女に見られてしまうことになる。Rくんは激しい葛藤におそわれましたが、どちらも失いたくないので、考えるのを先延ばしにして、今日は一杯飲んでさっさと寝ることにしたのでした。

何の解決策も見出せぬまま、あっという間に引越し当日がやってきました。朝早くから寮に来てくれた後輩のHくんは、
「うわ、すごいっすね。このマンガの数。おお、なつかしい。今度、貸してくださいよ」
と興奮しながら、単行本の箱詰めを手伝ってくれました。重い本の箱詰めでクタクタになりながら引越し先へ向かうと、そこにはAちゃんと、彼女の同僚の女の子がジーンズとエプロン姿で待機してくれていました。

テキパキと荷物を運び入れて、いよいよ残るは単行本の整理……という段階になったとき、
「これは大変だから、後で自分ひとりでやるから」
とRくんがいうと、後輩のHくんは、
「大丈夫っすよ。そういってダンボール箱と生活することになるから、今やっちゃいましょうよ」
と親切に申し出て、さっさと箱を開け始めました。中から出てきたマンガの量に、Aちゃんの友人の女の子は大コーフン。
「すごーい、キャンディ・キャンディ。いやーん、セーラームーンもある」
おそるおそるAちゃんの顔を見てみると、ちょっと驚いたようで口がポカンとあいています。Rくんはあわてて、
「いや、オレ……。姉がいたせいで少女マンガも読むようになっちゃって」
と言い訳みてみました。Aちゃんはクスッと笑って、
「Rさんって意外と子どもっぽいんですね」
と、なんとなくRくんの趣味を容認してくれたもようです。

片づけがおわり、近くのファミレスで食事をしていると、Aちゃんと同期の女の子が、「あのー、もしよかったら、キャンディ・キャンディ貸してもらえませんか?」
といいだしました。Rくんが驚いていると、Hくんが、
「貸してもらえなかったら、読みに行くっていう手もあるよね」
「あっ、それいいですよねー。そのかわり、お礼にAがごはん作りますから」
「ええ、何勝手に決めてるのー。別にいいけど、もうワガママなんだから」
Aちゃん、どうやら頼まれるとNOといえない、お姉さん性格のようで、なぜか翌週の土曜日にふたりが遊びに来ることになってしまっていたのでした。

(もしかして、うちはマンガ喫茶?)

と悩んだRくんでしたが、Aちゃんが来てくれるなら、それもいいやーと思うことにしたのでした。

とまあ、このように、自分の持っているモノと彼女(Rくんの場合、彼女の友だち……ですが)の趣味が一致していたりすると、
「うちって、○○があるんだよ」
「みせて、みせてー」
というふうに、自分の家によびやすくなることもあるものです。

趣味やコレクションの話から「遊びに来てよ」と結びつけることができれば、いやらしいというかヨコシマな感じはだいぶ減るような気もします。オレの趣味は女の子向けではないとアタマから決め付けずに、いちかばちかで話をふってみるのもひとつの手です。趣味もないし、コレクターでもないという人は、料理の腕を見せるとか、イロイロ方法はあるはずです。ぜひぜひ、エッチさを感じさせずに(たとえ、心の奥底にその気持ちはあったとしても)彼女を部屋に誘うことに挑戦してみてほしいです。


酒井冬雪です。Jリーグも残すところあとわずか。オフシーズンの過ごし方というのがけっこうむずかしくて、毎年右往左往しています。どうでもいいけれどFC東京、来年はリーグ戦で上位に入ってほしい。W杯もあるし、タイヘン! では、また!


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