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【コラム】

シリコンバレー101

211 ブロックをつなげるだけで手軽にマッシュアップ - 米Yahoo!「Pipes」

2007/02/13

Yoichi Yamashita

RSSの可能性を狭める要因とは

企業のサイトやニュースサイトをチェックするのが日課になって10年近くになるが、RSSフィードのおかげで以前よりもずっと短時間で巡回できるようになった。今ではリーダーで購読しているサイトの中に個人のブログも多数含まれる。それらの更新も大手のニュースサイトと同様にアラートされるので、自分の中ではRSSフィードのおかげでパーソナルパブリッシングの価値が高まっている。ただRSSで提供される情報には受け手にとってムダも多く、購読しすぎると逆に探している情報を見分けるのに苦労する。RSSを不便に思っている人が意外と多いのも事実である。

RSSやAtom、XMLフィードは、受け手が必要に応じて効率的かつ的確に情報を切り出せる手段になるはずなのに、なかなか便利なツールが出てこない。一方でニュースやブログに加え、クラシファイドやオークションのアップデート、さらにはWikiなど、RSSで流されるデータは増加の一途だ。そのバランスの悪さが、RSSフィードの可能性を狭める一因となっている。

それPipesでも"カンタンに"できるよ

そのような中、米Yahoo!が「Pipes」というユニークなサービスを公開した。プログラミングの知識を持たない人でも、グラフィカルツールを使ってコンポーネントをつなぎ合わせるだけで、RSSフィードされている情報を独自の形で収集・フィルター・出力できるようになる。たとえば複数のRSS情報をまとめて特定のキーワードやロケーションで絞り込んだり、英語のフィードは自動翻訳して受信するなど、ユーザーの思いのままにカスタマイズできる。

Pipesでは、Pipes Editorと呼ばれる視覚的なプログラミングを可能にするツールが用意されている。キャンバスというプログラミング・エリアを中心に、左側にモジュールが並ぶライブラリ・ペイン、下にデバッガ・ペインが配置されている。必要なモジュールをキャンバスにドラッグ&ドロップし、[アウトプット]まで接続するだけでプログラミング完了だ。

モジュールの分類は、Sources、User Inputs、Operators、Url、String、Dateの6項目。

Sourcesはデータソースで、Yahoo! Search、Yahoo! Local、Google Base、Flickrなどのほか、任意のURLを指定するFetchなどが用意されている。User Inputsは、テキストや数字などをユーザーが指定する入力フィールドとなる。Operatorsは、ForEach、Count、Filterなど基本機能のモジュール。残りはURL、Srting、Dateを扱うためのモジュールだ。

たとえば[Fetch]モジュールを追加してMYCOMジャーナルのRSSフィードを指定し、[Filter]モジュールで"DRM"がタイトルに含まれる記事だけを指定すると、2月12日時点では50本の記事の中から「韓国でDRM解除の無制限音楽ダウンロードサービスが登場」という記事だけが出力される。

Fetchモジュールだけを実行するとRSS配信されている50本の記事がデバッガ・ペインに表示される

Filterをかけると、タイトルにDRMが含まれる記事だけに絞り込まれる

MYCOMジャーナルのRSSフィードを[Fetch]→[Content Analysis]→[ForEach: Replace](Flickrをサブモジュール)→[Pipe Output]と接続する。MYCOMジャーナルのRSSフィードからキーワードを抜き出し、それらに合致する写真がFlickrから引き出される。実行してみると、2月12日時点では"DRM"がキーワードとして抽出されたらしく、DRMフリーを求める写真などがリストされ、さらにHPのPCの画像などが続いた。

RSSで配信されている記事をFlickrで公開されている写真に結びつけるPipe

保存後に実行した画面。DRMがキーワードとして抽出され、DRM関連の写真が表示された

Pipeを構築するには各モジュールの役割を理解する必要があるため、最初は戸惑う部分もある。ただ「習うより慣れろ」で、モジュールにマウスオーバーするとポップアップする説明を参考にしながら試行錯誤するうちに、思い通りのPipeを作れるようになる。作成したPipeは公開可能。人気の高いPipeを取り込んで、そのモジュールのつなぎ方を参考するのもモジュールの役割を理解する1つの方法だ。

Pipesという名称は、UNIXの"pipe"機能から名付けられている。複数のプログラムを接続して新たな機能を作り出す。プログラムを結び付けることで、システムとしてより大きな力を引き出せる環境だ。Yahoo!のPipesにおけるシステムはインターネットであり、Pipesが画期的なのは関係づけによって新たな力を引き出す役割をひろく一般に広げているところだ。Webサイトをデータソースやサービスのパーツとして組み合わせて、だれでも独自のWebサービスを構築できる。実験的なサービスでPipes自体の実用性は乏しいが、インターネットをプラットフォームとして捉えるコンセプトは、今後のネット利用の幅を広げるインパクトとなりそうだ。


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