【コラム】
Windows Vistaスマートチューニング
12 Windows Vista今後の展望
2007/03/07
こんにちは。阿久津です。皆様から長年ご愛読頂いた本連載ですが、MYCOMジャーナルのリニューアルに伴い、連載を終了することになりました。そこで最終回はWindows Vistaの展望について考えを巡らせたいと思います。
Windows XPから数えて約5年ぶりの新OSであるWindows Vista。ベータ版時代から追いかけてきた筆者にとって、RTM(事実上の製品)版登場は、新しいWindows時代を想望するものでした。長くWindows XPを使い続け、各所に不満を覚えてきた方なら同様の感覚を持たれたのではないでしょうか。
しかし箱を開ければ、過度な期待は裏切られ、筆者のように落胆した方も少なくないでしょう。ベータ版時代にアナウンスされてきた数多くの機能は削られていたからです。なかでも特定の条件にマッチするファイルを自動的に収集し、仮想的なフォルダとしてユーザーに提供するVirtual Folderの見送りは、MS-DOS時代から続くディレクトリ単位のファイル管理から逸脱できると、期待大の機能でした。
同機能にまつわる経緯は各媒体で報じられているとおり、ローカルディスクを始めとする全ファイルを統合的に管理するデータベースエンジン「WinFS(Windows Future StorageもしくはWindows File System)」を用いた新ファイルシステムの見送りが原因です。開発工程の遅延と実装結果が芳しくないため、同技術の開発は中止。Windows Vista製品版では、従来の検索結果保存機能と先のVirtual Folderの一部を兼ね備えた検索フォルダ機能を実装するに留まりました。
もうひとつの落胆はバグの多さです。本連載でもいくつか述べてきましたが、長文のファイル名に対してリネームを試みると表示ページが送られてしまい、フォーカスを見失ってしまう問題や、複数のネットワークアダプタおよび接続がある環境で、何度か再設定を繰り返していると、ネットワーク接続が消えてしまう問題(再現性のパターンを見つけられていませんが、RTM版になってから数度体験しました)、共有フォルダの設定が正しく行なわれないなど、数多くのトラブルが発生しています。
既にクリティカルな問題に対しては修正プログラムの提供が行なわれているものの、安定性が必須のOSとしては及第点にもたどり着いていません。筆者自身はその時代を体験していませんが、Windows Vistaを取り巻く環境は、最初のWindows NT系OSであるWindows NT 3.1が登場した1994年頃と同じかもしれません。奇しくもNT 3.1、NT 3.5はOSが求めるPC性能を市場が提供できず、当時のユーザーは同OSを「Memory Eater」と揶揄していたそうです。
Windows VistaはDirectXやGDI+など、それまで培ってきた技術を一新する、ドラスティックな改革が加えられているため、多くの問題が多発するのは致し方ないかもしれません。同時に多くのユーザーが「SP(サービスパック)1待ち」と断言するのも理解できるでしょう。しかし、皆様がご存じのとおりWindows NT 4.0は市場的にも成功しています。同OSの登場は1996年とNT 3.1から数えて2年後でした。Vista登場から2年後にあたる2009年には、Fijiの名で開発が進められているWindows Vista R2もしくは同SP1、事実上のマイナーバージョンアップ版の登場が控えています。そういう意味では前述の「SP1待ち」は言い得て妙と言えるでしょう。
一方、次世代OSであるVienna(開発コード名)は4年後の2011年。OSの安定性が向上し、ようやく使えるようになったと一息ついた頃には次のWindows OSが登場することになります。ただし、このサイクルは決して速いものではなく、Windows 9x系およびNT系を混ぜ合わせると、これまでは1年〜3年内に新OSが登場してきました。単純にWindows XPからVistaまでの間が長すぎただけなのです。
それでも以前は前述のような、誰もが見てわかるバグは決して多くありませんでした。開発中にバグが紛れ込むのは致し方ないものの、ベータテストによるバグ潰しの優先度が後回しになってしまったのか、開発時間があまりにも少なく対応しきれなかったのでしょう。圧倒的なシェアを誇るWindows OSはホビーだけでなくビジネスシーンでも深く浸透し、そのクオリティは作業能率に大きく影響を及ぼすだけに、使用感を左右するバグの存在はそれだけでWindows Vistaの評価を貶めることになりかねません。過去には過度な拡張と仕様変更により、市場から見放されたWindows Meがありました。Windows VistaがNT系OSのMeとならないように、Microsoftおよびサードパーティメーカーの尽力を期待し、筆を置かせていただきます。
それでは、またどこかでお会いしましょう。
阿久津良和(Cactus)
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