【レポート】着信メロディ概論 - 携帯端末で音楽を再生する仕組み(1)
2001/08/22
○着信メロディのデータはMIDIデータ
最近のケータイに欠かせないのが、着信メロディの機能。当初は単音のパターンだったのが、その後3〜4音となり今では16音、24音と飛躍的に表現力がアップ。実際の楽器と変わらないサウンドを演奏できるようになっている。また着信メロディサイトでは毎週、最新のヒット曲の着信メロディデータがアップロードされ、多くのケータイユーザーが着信メロディの機能を楽しんでいる。
ところが、けっこう利用しているわりに着信メロディのことはわからないことばかり。なんで歌が入ってないのか? 同じ曲なのに端末によって違って聞こえるのか? なんでキャリアや機種を替えるとダウンロードした曲は移せないのか? そもそもなんでケータイで音楽が再生できるのか?
そこで、ここではこれらの疑問について解き明かしてみたい。
まず携帯端末で音楽を再生する仕組みだが、携帯端末の中には着信メロディ再生用にシンセサイザーのチップが搭載されている。シンセサイザーというと非現実的な電子音を想像してしまうけれど、そうではない。FM方式、PCM方式といった音源方式によって、リアルな楽器の音が再生できるようになっている。
FM方式というのは、単純な波形(サイン波)を合成して実際の楽器音色をシミュレートするもの。PCM方式というのは、実際のいくつもの楽器の音をサンプリングしたものだ。
一方、着信メロディのデータは、MP3ファイルやWAVEファイルのような実際の音を録音したオーディオデータではなく、音の高さや音の長さなどの演奏情報が記録されている。MP3ファイルやWAVEファイルをテープレコーダとするならば、着信メロディのデータは音符や演奏記号が記述された楽譜のようなものといえるだろう。
「MIDIファイルみたい」と思った人、あなたは正しい! そう、着信メロディのデータはMIDIデータなのだ。
ただし、一般的なMIDIファイルと全く同じというわけではない。MIDIファイルはオーディオファイルと比較すると非常にコンパクトな容量なのだが、着信メロディのデータは携帯端末の少ないメモリ容量に対応するように、音の高さや長さといった基本的なデータ以外を省いてさらにコンパクトなものになっている。
つまり着信メロディは、シンセサイザーチップを搭載した端末が演奏情報が記録された着信メロディファイルを読み込み、演奏情報に従ってシンセサイザーチップが演奏を行なうという仕組みになっている。そのため、基本的には着信メロディは歌が入っていないのだ。
ただし、クアルコム社のオーディオ圧縮技術PureVoiceを利用したQcelpに対応したau C451H、C413S、C412SA、C406Sなどや、「ボイコレ」に対応したTU-KA TD11, TP11, TT03では、人の声や動物の鳴き声などをオーディオデータとして取り込み着信音として利用することが可能だ。
○着信メロディのファイルフォーマット
では、なぜ同じ着信メロディサイトから同じ曲をダウンロードしたのに、端末によって違って聞こえるのだろう?
その理由は、端末の機種ごとに採用しているシンセサイザーチップが異なっているからだ。
実際の曲をデジタルデータとして記録したオーディオファイルと違って、演奏情報だけしか記録されていない着信メロディファイルやMIDIファイルはそれを演奏するシンセサイザーチップに依存する。端末のメーカーや機種ごとに搭載しているシンセサイザーチップは異なるので、同じ着信メロディサイトの同じ曲データをダウンロードしたとしても機種が違えば演奏の聞こえ方も違ってくるのだ。
ついでにいえば、同じ曲でも着信メロディサイトによって、メロディパートの音色が違っていたり、目立って聞こえるパートが違っていたり、もっといえばテンポや演奏自体も微妙に違っていたりする。これは、着信メロディサイトごとの曲の解釈やスキルの違いによる。
また、着信メロディのファイルフォーマットも、キャリアや製造メーカー、機種によって違いがある。着信メロディのファイルフォーマットの違いは、以下の通りとなっている。
| サービス名 | キャリア | ファイルフォーマット | 拡張子 |
| i-mode | NTTドコモ | i-modeメロディファイル | MLD |
| J-SKY | J-Phone | スカイメロディ | SMD |
| SMAF | MMF | ||
| EZweb | au、TU-KA | コンパクトMIDI | PMD |
| SMAF | MMF | ||
| feel H" | DDIポケット | feelsound | DXM |
MLDファイルは3和音対応(バージョン1)のものとそれを拡張した16和音対応(バージョン2)のものがあり、SMDファイルとPMDファイルは、それぞれ3和音に対応。feelsoundファイルは、リアルサンプリングPCM音源の100音色/12和音に対応。SMAFは、16和音+ADPCM(オーディオ)再生が行なえる。
なお、「シリーズごとに何音といったように、仕様を規定しているわけではない。各端末メーカーにまかせている」(NTTドコモ)といったように、基本的にキャリアは着信メロディの仕様に関して決めてはおらず、公式な技術情報も公開されてはいない。
ただし、SMAFはヤマハが提唱しているデータ及び配信フォーマットということで、SMAFオフィシャルサイトでMIDI→SMAFコンバートツールと仕様書が公開されている。また、feelsoundもfeel H"対応端末の統一仕様ということで、DDIポケットのサイトでMIDIデータをfeelsoundデータに変換するツールが公開されている。
ところで、MLDファイルには4和音対応や24和音対応のものがあるが、これらはどうやら端末メーカーが独自に3和音対応や16和音対応のものを拡張しているようだ。そのためか、全ての着信メロディサイトに4和音データや24和音データが用意されているという状況ではない。また、3和音対応機で4和音データ、16和音対応機で24和音データを鳴らせるわけではなく、24和音対応機は24/16/3和音データ、16和音対応機は16/3和音データといった形で、互換性があるのは同じ和音数かそれ以下のデータに対してのみだ。
また、TU-KA TK11の64和音の着信メロディ、funstyleはスタンダードMIDIファイルにTU-KA独自の仕様を付加したフォーマットのため、対応した端末でしか鳴らせない。
(木村公彦)
【レポート】着信メロディ概論 - 携帯端末で音楽を再生する仕組み(2)
に続きます。
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