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【レポート】これが富士通の2足歩行ロボット「HOAP-1」だ!(3)

2001/10/11

○生物の神経細胞の動きを模倣した制御方式

歩行アルゴリズムを研究している永嶋史朗氏。同じくペリフェラルシステム研究所自律システム研究部に所属している

HOAP-1のプロジェクトは今年の2月に始まり、8月に発表というタイトなスケジュールで進められたが、前述したチップの遅れもあり、実機が組み上がったのが8月末。2足歩行のプログラム開発はそこから始まった。すでに完成したシミュレータがあるため、それにHOAP-1のスペック、たとえばサイズや重心点などを入力すればおおよその答えが得られると踏んでいたのだが、アクチュエータやギアの特性にわずかに誤差があったなどの理由で、シミュレータのアウトプットをHOAP-1に適用しても上手く動かないこともあったようだ。

それでも若干のチューニングを施すことで無事歩行プログラムが完成。9月のロボット学会でお披露目されている(当初は設計概要だけを発表する予定が急遽実機も公開されることになった)。

実はHOAP-1の歩行アルゴリズムには現時点で2種類が用意されている。ひとつはほかの2足歩行ロボットと同様、力学的に人と同じように脚を運ぶいわゆる「動歩行」だ。片足を前に踏み出すときの重心移動を解消するよう全体を制御して、いわば「倒れ込みながら歩く」もの。純粋に力学的な計算によるものだ。

もうひとつは同研究所で研究が進められている生物の神経細胞的な原理を応用したものだ。人間を含む生物の細胞の動きには、非線形的な周期運動があることが確認されており、いわば特定の細胞の動きを司るクロックジェネレータがある。生物は知らず知らずのうちにそのクロックによって制御されているという研究報告もあるという。HOAP-1ではこの理論を適用した新しいアプローチの歩行もトライされており、力学的アプローチとは異なる研究を進めている。なお、実機を購入した際にもこのアルゴリズムはパッケージに含まれる。

テスト歩行のため、ストラップで吊り下げたまま歩行
歩行中のヒザの角度やカラダが左右に振れる様子がわかる

○1人の担当者が1日1台を組み立て

実際の動きについてはデモの様子を動画で収録してあるのでそちらを参考にしてほしい。腰部分を左右にツイストするようにして歩くのは動歩行の特徴だ。ソニーのSDR-3Xもそうだったが、人間に比べて自由度が低いロボットでは、この腰の動きが顕著に見えるという(P3やASIMOは自由度が高いためこれほど振れては見えない)。

デモではまだ開発途中ということもあって、ゆっくりとした動きにとどまっているが、もっと素早い動きをさせることも可能だという。

将来的には腕先の簡単なハンドオプションの開発や首の自由度を高めるなどの改良を進めるほか、より多彩な運動プログラムの作成などを考えているという。

HOAP-1は同社の子会社である富士通オートメーションの工場で量産されるが、アセンブリが複雑なため専任の担当者が当面は1日1台のペースで組み立てを担当するという。そのため完全受注生産であり、受注後2〜3カ月の納期がかかるとのことだ。もちろん個人での購入も受け付けている。

高級乗用車並みの価格ながら、プラットフォームをゼロから開発することを考えるとこの価格はリーズナブルなものだという。実際に海外を含め多くの問い合わせが寄せられているそうだ。おそらくかなりの数が出るのではないだろうか。そしてロボット研究の敷居が低くなり、さらに活性化が進む、という流れになると理想的ではある。

最新のロボット制御アルゴリズムとメカトロニクスとPC業界で生まれたインタフェース技術が結びついて生まれたHOAP-1が何をもたらすか、今後にも注目したいところだ。

(浅野純也)

画像をクリックすると動画をご覧いただけます(1393KB MPEG1)
HOAP-1の歩行の様子。最初に右手で敬礼をしてから2足歩行に入る。小型ロボットの動歩行の特徴である腰振り状態で歩いているのがよくわかる。途中から右方向に向きを変えるのは、床面の状態が左右の脚の接地面で異なっていたことが影響しているため。床の状態が均等ならまっすぐに歩くところだが、このサイズのロボットが2足歩行をおこなう上で床面の微妙な状態が大きく影響するいいサンプルともいえる
画像をクリックすると動画をご覧いただけます(963KB MPEG1)
開発中はロボットの動作を確認するために一度吊したままでコマンドを送って動作状態におかしなところがないかをチェックしている。脚底に振れたりロボットに振れたりすることで方向や姿勢が変わっている。ここでチェックが済むと実際の歩行に移る。製品版ではこのチェック用フレームも付属するという

HOAP-1のスペック

サイズ 48(H)×22(W)×14(D)cm
重量 5.9kg(バッテリは0.7kg)
関節自由度 20(脚6×2、腕4×2)
体内バス USB 1.0
オンボードCPU Geode(MMX Pentium 300MHz相当)
OS RT-Linux 3.1
センサー 3軸加速度センサー 3軸角速度センサー 足底センサー(4ch感圧素子) 無線カメラ×2
USB予備ポート 8ポート
バッテリ駆動時間 約20分

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http://pcweb.mycom.co.jp/news/2001/10/11/04.html

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