【レビュー】Sharp SL-5500 -- Linux搭載のPDAがついにメジャーデビュー(1)
2002/03/29
○なぜZaurusがLinuxなのか
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Linux PDAのメリットというと、オープンソースである。足りない機能や変更したいところがあれば、それを自分たちで作ってしまえる。これは企業や教育機関などがPDAを選ぶときに重要なポイントとなる。ビジネスなどでPDAを活用する場合、一般に流通しているPDAのアプリケーションでは物足りない点が多く、カスタマイズ・ソフトウエアによるソリューションは不可欠なのだ。一方、PDAを主にPIMやエンターテインメント端末として使っている一般ユーザーには、Linuxベースであるメリットはあまりない。もちろんプログラミングに堪能で、ソースコードに手を加えて自分好みにカスタマイズできる人は別だが、多くのPDAユーザーにとってオープンソース/ライセンス・フリーはほとんど意味がない。むしろ、一般ユーザーは単純にPalm
OSデバイスやPocketPCと比較してしまうため、カスタマイズできる余裕を残しているLinux PDAは機能が不足しているように感じられてしまうだろう。
実際、Agenda VR3やCompaqのhandheld.orgプロジェクトなど、これまでに登場したLinux PDAは開発者を対象にLinuxの可能性を模索するような製品だった。開発者向けのプログラムに力を入れる反面、PDAとしての完成度は一般ユーザー向けとは言い難く、「Linux PDA=企業ユーザー向け」という認識を強めていた。しかし、Sharpが欧米で発売した「Zaurus SL-5500」は、Linux PDAでありながらPalm OSデバイスやPocketPCと同じ土俵で勝負しようとしている。
Linux PDAとして、Palm OSとPocketPCが君臨する米PDA市場に挑むには、少なくとも低コストで柔軟にカスタマイズできるというLinuxの特長を生かしながら、一般ユーザーが手に取りたくなるようなPDA機能も備える必要がある。問題は、「現在のオープンソース・プロジェクトで、そのようなLinux PDAは実現するのか?」という点だ。そこでSharpがSL-5500で下した答えは、コアにLineoの「Embedix Plus PDA」、GUI開発パッケージにTrolltechの「Qtopia」、そしてJava実行・開発環境に「Insignia Jeode JVM」という組み合わせである。
○開発者を刺激する"不便さ"が魅力のQtopia
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| QtopiaのランチャーのApplicationsセクション |
SL-5500ユーザーは、手元のデバイスがLinux PDAであることをほとんど意識しないで操作できる。そのSL-5500のLinuxである部分を覆い隠しているのがQtopiaだ。ウィンドウ・マネージャー、各種設定、アプリケーション・ランチャー、インプットメソッド、PIMアプリケーションなど、ユーザーがもっとも触れる部分を担っており、SL-5500のPDAとしての完成度はQtopia次第とも言える。実は昨年11月にLinux版Zaurusの開発者バージョンがリリースされたときに、初めて触れたQtopia(当時はQt/Embedded)の感想は、「………」だった。アプリケーションの連携が悪く、細かい設定が必要で、ユーザーに全然やさしくないのだ。これではいかにハードウエアが魅力的でもPIMやネットワーク端末としては失格である。ところが、Qtopiaはそれから数カ月の間に度々バージョンアップを繰り返し、またたく間に問題点を解決していった。かくして、SL-5500と共にデビューしたQtopiaは、最初の起動時に基本情報を設定するウィザードが登場し、ネットワーク設定は数回タップするだけで完了してしまうという、実にユーザーにやさしいアプリケーション環境に仕上がっている。
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ただし、全体的には不便さを感じる点も多い。例えば、To-Doはスケジュールと共に確認したいものだが、To-Doでの記入事項がカレンダーに反映されないのだ。これでEメールでもアドレス帳からメール・アドレスを引っ張ってこられなかったら「ダメだ!」と思ってしまうが、メールソフトとアドレス帳はちゃんと連携していたりする。全体的にQtopiaのデフォルト・アプリケーションは今ひとつという感じなのだけれど、あきらめるほどでもないのだ。そこで不満点を列挙してみると、不満点はカスタマイズ可能な部分に多く、ネットワーク設定やファイル・マネージャーなど要所はしっかりとしていることに気づく。
考えてみるとPalm OSも初期のバージョンでは、スケジュール帳とTo-Doが連携していないのが不便だった。しかし、二つの情報を結びつける置き換えアプリがサードパーティから登場。結果的には、デフォルト・アプリの不便さを埋め合わせながら、Palmの開発者コミュニティは成長していった。同様にQtopiaにも致命傷はなくとも、「ここをもうちょっと……」と注文をつけたくなる点が多々ある。自分がプログラマなら……これは捨ててはおけないだろう。もし、この不便さがTrolltechの意図なのだとしたら、なかなかツボを心得た力の抜き方だと思う。
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(Yoichi Yamashita)
【レビュー】Sharp SL-5500 -- Linux搭載のPDAがついにメジャーデビュー(2)
へ続きます
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