スペースインベーダー、誕生25周年 - 名古屋にてイベントが開催
2003/08/04
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| 現在は自身の会社「ドリームス」でゲーム開発を行う西角友宏氏 |
1978年、タイトーから発売されたテレビゲーム「スペースインベーダー」。それまでにないゲーム性の高さで大ヒットを記録したほか、ユーザーが「名古屋撃ち」などの攻略法を発見、さらにヒットが加速するという「裏ワザ」ブームの引き金となったタイトルだ。
発売元のタイトーでは、同タイトルの発売25周年を記念したPlayStations2用ゲーム「SPACE INVADERS ANNIVERSARY」を7月31日に発売。名古屋 マグマート杁中店では同ソフトの誕生25年を記念したイベントが開催され、当時タイトーにて同ソフトの開発を行った西角友宏氏とゲームアナリストの平林久和氏が登場した、
○スペースインベーダー誕生秘話 - 実はインベーダーではなかった?!
西角氏は「当時はグラフィックからプログラムまでひとりですべて開発していたので、非常に楽しかったです。現在は100名以上での開発が当たり前で、少ないといっても30人程度。しかし、当時はひとりですべて開発するのが当たり前で、儲けも大きかったのですよ(笑)」と開発当時を振り返った。今回のイベントが名古屋で行われたことについては、「このゲームがヒットした要因のひとつは名古屋撃ち。縁があることもあり、ぜひともイベントは名古屋でやりたいと思っていた」と現在は都内でゲーム開発会社「ドリームス」を経営する身ながらも、名古屋に対しては思い入れがあると語った。
中学生時代は漫画家になりたかったという西角氏。イベントでは開発当時に使用していたアイディアスケッチも登場した。そのスケッチにはH・G・ウェルズの物語に登場するような宇宙人の絵が描かれていたほか、プログラムを書く上で用意されたフローチャートなども記されていた。
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実はこの「スペースインベーダー」、発売直前までは「スペースモンスター」というタイトルで開発が進められていた。これについて西角氏は、「当時ヒットしていたピンクレディーの曲をもじってスペースモンスターというタイトルだったのです。それが発売間際に会社から改名するようにいわれてしまって……。しばらくは自分でも"インベーダー"と言いたくなかったんですよ」と苦笑いしながら当時を振り返る。
○1つのひらめきから生まれたインベーダーゲーム
20代の頃は大のオーディオ好きで、「オーディオ製造の仕事に就きたいと思っていたんです」という西角氏がなぜコンピュータゲームを開発することになったのか? 「当時はゲーム開発というのは凄くマイナーな仕事と見られていて、あまりいい印象はなかったんです。インベーダーを作る前には、縁日の射的のような射撃ゲームやクレーンゲームの設計をしていました」と西角氏は述べるが、コンピュータの普及がその仕事を一変させる。
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| 当時のきょう体で使用されたコンピュータチップ類 |
タイトーへ入社したころ、アメリカからコンピュータゲームが入ってくるようになり、西角氏もドライブゲームやピンポンゲームなどを作るようになったという。そして優れたコンピュータチップも入手できるようになり、ゲーム性の高いものを作れる下地が整ってきたのだという。ちなみにインベーダーゲームにはIntelの8080が使用されたそうだが、開発ツールなどは非常に高価(当時で1,000万円以上)だったためほとんど自作せざるを得ず、約1年の開発期間中、もっとも時間がかかったのは開発ツールの自作だったそうだ。
「自分も大好きだったブロック崩しを越えるゲームを作りたいと考えた結果、一方的にこちらが撃つだけではなくて、ブロックが攻めてくる(撃ってくる)という仕組みを考えたんです。そこに、当時ヒットした映画のスターウォーズをヒントに "宇宙人が攻めてくる" ゲームにしようと考えたのがスペースインベーダーです。これが一番の"ひらめき"ですね」
大ヒットゲーム、スペースインベーダーは映画のスターウォーズが無ければ誕生していなかったのかもしれない。
○大ヒット、名古屋撃ちの真実 - じつはバグだった!?
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| トークショーに同席した平林久和氏もインベーダー世代。「コインを積み上げて遊んだものです」と当時を振り返る |
そうして1978年夏にスペースインベーダーは出荷されたが、最初の反応は決して良いものではなかったという。「実は、最初はゲームセンターの側からの評判が悪かったんです。"むこうから攻撃してくるゲームなんて難しすぎる!"と。しかし、発売から2カ月程すると若い層を中心に反応が出始め、大ブレイクしたのです」斬新なアイディアの製品だっただけに、出足は悪かったものの、そうして大ブームを巻き起こし、当時はきょう体そのものを求める人たちがタイトーにまで行列を作ったそうだ。「あれだけヒットしたんだから儲かったろう? といわれましたが、当時は会社で作ったものは会社のものという認識が強く、私個人としてはあまり儲かりませんでしたね(笑)」。西角氏は苦笑しながら当時を振り返ってくれた。
そしてスペースインベーダーといえばあまりにも有名な攻略法が「名古屋撃ち」。これは、縦一列の敵を先に倒してから敵が一番下まで降りてくるのを待つと、自機が無敵に近い状態になるので、その状態を利用して敵を効率よく倒すというテクニック。この攻略法は実は偶然の産物ともいえるものだったそうだ。
「当初、このゲームは4面でお終いという考えで作ってあり、5面の難易度はかなり上げたつもりだったんです。そこで誤算だったのが"名古屋撃ち"。(1コインで長く遊ばれてしまうと)営業的には大変なことになってしまうので、話を聞いたときには冷や汗が出ましたね。実はね、あれはバグなんですよ(笑)」「結果的にそうした攻略法が明らかになったことによって、より長く愛好されるようになったわけですから、結果的には良かったですね」。ヒットゲームの攻略法ということで話題となった名古屋撃ちが実はバグだったとは……。開発者本人から誕生25年にして明かされる逸話である。
ちなみに、何故「名古屋」なのだろうか? これについてはご本人も分からないそうだ。名古屋の人が発見して広まったらしいのだが、名古屋の放送局がそれについて調べる企画をしても、正確なところは分からずじまい。中京近畿地区でそういったワザが広まっているという話をタイトー在籍中に聞いたそうで「東京ではないことはおそらく間違いないと思うのですが……」とのことだった。
○ゲーム開発者はクリエイターではなくエンターテイナー
スペースインベーダーは海外でも人気を博し、アメリカはもちろん、ヨーロッパ各国でもヒットしたという。西角氏は「海外に日本ゲームの実力を示す最初のソフトになったと思います」と述べるが、現在、海外で高い評価を受ける日本産ゲームのパイオニアとしても、スペースインベーダーの価値は揺るぎないものといえるだろう。
「今まで開発したゲームで印象的なソフトと、それ以外で印象に残っているソフトは?」という質問に西角氏は「一番思い入れがあるのは"スピードレース"ですね。それまでは"箱"でしか表示されていなかったキャラクタを車の形に表示したことが印象に残っています。自分で開発したもの以外というと、ブロック崩しが一番感動しましたね。これを越えようと思ってスペースインベーダーを開発したということもあり、やはり特別な思いがありますね」と述べた。
普段、ゲームを作る際には、「ゲーム開発者はクリエイターではなく、相手を楽しませるエンターテイナーであるべきと考えていますので、相手がどう楽しんでくれるかどうかを常日頃考えています」と述べたほか、「個人的なモットーいうか、ポリシーは"温故知新"ですね。全くの新しいもの・革新的なものを創るのはかなり難しいと思いますが、昔のゲームの良いところを知り、改良を加えていくというのが成功率の高いアプローチではないかと考えています」と述べていた。
西角氏は最後に「私たちの年代の人は、スペースインベーダーの楽しさを子供や兄弟に伝えてくれれば嬉しいし、今の若い人にも楽しんで欲しいですね。今は複雑なゲームが多いですが、シンプルなゲームにもシンプルなゲームの爽快感というものもあります。今回は25周年ですが、50周年が迎えられたら嬉しいですね(笑)」と集まったファンにメッセージを送った。
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