【レポート】気鋭のデジタルアート作品が集う「デジタルアートフェスティバル」開幕(1)
2003/08/12
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| DAF東京2003の会場となっているパナソニックセンター |
フェスティバルは、「東京ガジェット展」「デジスタ展」「シンポジウム」「デジタルアートシアター」「ショートフィルム・アンデパンダン」の5つで構成されている。
○東京ガジェット展 - クワクボリョウタ氏の作品
「東京ガジェット展」ではガジェットにスポットを当て、アートとエンタテインメント、プロダクツの中間に位置する作品を数多く発表している2人のアーティストの作品を展示している。ひとりはデバイスアーティストのクワクボリョウタ氏、もうひとりはロンドンを拠点に活動するアーティスト兼デザイナーのクリスピン・ジョーンズ氏だ。
今回、クワクボリョウタ氏は8種類の作品を公開している。2001年に制作し、市販された「BITMAN」は、表示画面に"ビットマン"が現れ、本体を振るとビットマンが踊ってくれるという電子アクセサリー兼おもちゃだ。明和電機と共同開発した「ビットマン」のプロトタイプも展示されている。
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「Duper/Looper」は机をたたくと、それを真似して同じリズムを打ち続けるという作品だ。「トイレの壁にこういう装置があったら、外で待っている人はいつまでも入れなくて面白いだろうなと思って作りました。自分がたたいたリズムと同じものを返してきたら、機械ではなく、実際に人が入っていると思うだろうと考えたのです」(クワクボ氏)
「Heaven Seed」は投げたり回転させたりすることで、その動きに応じてさまざまな音が鳴るというビニール製のボールだ。ボールにはセンサなどが内蔵されていて、無線を使ってボールの運動速度のデータをコンピュータに送信し、そのデータに対応する音をリアルタイムにスピーカーから鳴らすというしかけだ。実際に遊んでみたが、上に投げると「ヒューッ」と鳴って、物を上に放り投げている感覚を味わうことができ、手で受け止めると「ポトン」と鳴って、手に落ちてきた感覚が味わうことができる。静かに置いておくといびきもかくという。テレビアニメなどでよく使われる効果音を思い出してもらえばわかりやすいだろう。
「小さい頃、ミニカーで遊んでいる時など、自分で"ギューン"とかって声を出しながら走らせたじゃないですか。その時、自分は完全にミニカーになりきっているわけです。でも大人には何らかの補助が必要です。その補助となるのが効果音なんです。つまりこの作品を作ることで、子供の頃のそういった感覚を再現させたかったんです。まさに、効果音をリアルタイムにつけてくれるデバイスなんです。家中にこういうシステムを導入すれば、きっと生活が面白くなるでしょうね。例えば、ドアを開けるときに"ガチャ"って音がなったり、洗濯機をまわすと鳴門のうずしおの音が出たりといった具合です」
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「PLX」は対戦型ゲーム装置で、2人の人が向かい合って座り、自分の目の前の画面を見ながらゲームを行うというもの。ところが、2人は実は同じゲームで対戦しているにも関わらず、画面のスキンが異なるため、互いに全く異なるストーリーのゲームを楽しんでいるという仕掛けだ。例えば、ひとりの人の画面は、潜水夫がタコをかわしながら潜っていき、海底に到達すると宝ものがゲットできて勝つというストーリー。もうひとりの人が遊んでいる裏の画面は、犬が走って行き、飼い主が投げる餌をキャッチするというストーリーになっている。つまり、潜水夫と餌、タコと犬がそれぞれ対応していて、光の点滅パターンは同じというわけだ。
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| クワクボリョウタ氏 |
「全く異なるストーリーで同じゲームをしていても、それが成立してしまうという状況の面白さを表現しました。何も知らなければ、お互いに相手と対戦しているのに、そのことに気付いていないという状況もありえるわけです。つまり、同じゲームに興じていながら、2人は経験を共有していないのです。この作品は日常会話のすれ違いから発想を得ました。1分くらい話していて、話は合っているのに、実はお互いに全く違うことについて話していたとか、そういった感覚ですね」
「Bit-hike」は8×8ドットのアニメーションを簡単に作れる装置で、ロッテルダム国際映画祭の会場に設置されたこともある作品だ。後ろに設置されたサーバーにBit-hikeで制作したアニメーションを登録すると、Bit-hikeの上のモニターに表示して見ることができる。
「上手に作れば8×8ドットでもリアルなアニメーションを作ることができますし、より多くの情報を共有することができます。例えば、一見、"東京"という文字を表示しているように見えますが、8×8ドットで"東京"という文字を正確に表示することはできません。でもパッと見、"東京"に見えるのは、人が自分の中に辞書を持っているからなんです。つまり、人間は、少ない情報でも自分が予め持っている辞書に照らし合わせて解釈することができるのです。俳句も同じです。俳句は、"季語"を共有しているので、17文字という短い文字数でも、それ以上の情感を多くの人と共有することができます。この作品も、8×8ドットという少ない情報でもそれ以上のことを表現できるということから、Bit-hikeつまり"ビット俳句"と名付けたのです」
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「loopScape」は円筒型の対戦ゲーム装置で、自分が打った球でも相手がかわしてしまうと自分に返ってくる可能性があるというもの。
「たくさん打てば打つほど相手を倒せると思いきや、相手がよければ自分に跳ね返ってくるということで、因果関係がループすることを表現しています。また画面が円筒形であるため、自分が攻撃をしかける飛行機が動くと、それを追いかけながら自分も走り回らなければいけないという状況と、自分が見ている画面が相手に筒抜けの状況の面白さを味わうことができます」
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○東京ガジェット展 - クリスピン・ジョーンズ氏の作品
アーティスト兼デザイナーのクリスピン・ジョーンズ氏のエリアでは大きく分けて5作品が展示されている。中でも目を引くのが「An Invisible Force」と名付けられた机だ。これは、バーコードが印刷された占いカードを机の左脇のスロットに挿入すると、机の上に占いの答えが表示されるというもの。しかし、カードを挿入した際、カードはずっと手で押さえていなければならず、しかもスロットの部分は熱でどんどん熱くなってきてしまうため、答えを見るには熱さに耐えなければならない。
「人はテクノロジーによってさまざまな答えを引き出しているが、この作品では、占いとテクノロジーという対極のものを融合してみた」(ジョーンズ氏)
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「Social Mobiles」もシニカルな作品だ。これらは携帯電話をモチーフにしたもので、5つの作品がある。
まずひとつは、大声で話す迷惑電話をやめさせるためにデザインされたもの。電話機についた金属板は、声の大きさに合わせて電気ショックが与えられるようになっており、ショックの大きさは声の大きさに比例する。そのため、大声での会話をやめさせることができるというわけだ。
そのほか、ジョイスティックの付いた電話機は、ジョイスティックを動かすことによって感情豊かな母音を発生させ、静かな会話ができるというもの。ラッパの形をした電話機は、電話番号を押すとラッパのような音が出る。そのため電話をかけるのにふさわしい場所かどうかを判断することができる。木の板が装着された電話機は、電話番号をダイヤルしたあと、裏返して木の部分をノックすると、そのノック音で相手の電話を呼び出すことができる。そのうち、ノック音の癖によって誰が呼び出しているかがわかるようになる。ボールの付いた電話機は、他人に迷惑をかけるような会話をしている電話機に向かってボールをはじくことで、パチンコのように音を発砲し、目立たないながらもストレートな反抗ができるというもの。ユーザーは好みに合わせた妨害音を登録できる。
「Electrophile」は、キーボードを打っているとキーボードに電流が流れ、徐々に強くなっていくというもの。恋人とのメールのやり取りなどの際、あまり打ち過ぎると手がビリビリとしびれるので要注意という作品だ。
「An Invisible Force」然り、クリスピン・ジョーンズ氏の作品には"痛み"を伴うものが多く、作品を制作する上でのテーマのひとつになっているという。
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【レポート】気鋭のデジタルアート作品が集う「デジタルアートフェスティバル」開幕(2)
へ続きます
(山田久美)
【レポート】ヒューマンインタフェース最前線(1) - メディアアートとインタフェース
デジタルアートフェスティバル東京2003(DAF東京2003)
http://www.daf-tokyo.jp/
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