TRON陣営とマイクロソフトが連携、情報家電の基盤共同開発へ
2003/09/25
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| 坂村健・T-Engineフォーラム会長(左)と古川享・米マイクロソフト副社長 |
TRONを機軸とするユビキタスコンピューティングを目指すT-Engineフォーラムと、日米マイクロソフトは、T-Engineプラットフォーム上で、Windows CE.NETを動作させる環境の構築に向け、共同で仕様の策定を進めることに合意した、と発表した。情報家電など幅広い機器に、リアルタイムOSとして機動性に優れたTRONと、表示、ユーザーインターフェースなどに強いWindows CE.NETを適材適所で使い分けて適用、新しい情報機器の開発などに活用する。12月の開催されるTRONSHOWで成果を発表でききる見込みだ。マイクロソフトは、同フォーラムに幹事会社として参加する。従来、敵同士、とみられてきた両社が手を組むことになった。
マイクロソフトは、Windows CE.NETが、POSなど主に産業機器向けの組み込みOSとしての実績を上げてきたが、表示能力、操作性では優れている反面、リアルタイム性では十分とはいえない面があった。ここで、TRONとCEが相互補完的に協調すれば、オープンな共通プラットフォーム上で、それぞれの利点を活かしたシステムができ、情報家電市場で優位に立てる。
両者の協調システムが実現すれば、デジタルビデオカメラで、即時性、高度な応答性が求められる、ハードの制御、光学系処理などの機能を、TRONが、ユーザーインターフェース、マルチメディア再生、パソコンとの連携などはCEが担当する、というような応用例が考えられるという。
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T-Engineでは現状、T-Kernelの拡張仕様としてT-Busを策定しており、他のOSと共存できる環境の整備を進めており、Linux、Javaなどに対応している。ITRONの発展形としてのT-KernelOSを基礎に、異なるMPUの間でも、それぞれの上でつくられたミドルウェアを容易に移植できるようになる。T-Engineでは、「ゲストOS」という位置づけで、さまざまなOS、実行ファイルを、T-Engineからみたミドルウェアとして導入できる基盤を整えている。
情報系OSのカーネル上にはリアルタイムシステムを構築することはできないため、情報系OSカーネルを「ゲストOS」として、リアルタイム化するにはいくつかの方法があるという。「完全ハイブリッド型」では、T-Kernelが資源と、ゲストOSが管理する資源を完全に分離する。
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| 今回は「部分ハイブリッド型」で協調動作を実現する |
「部分ハイブリッド型」では、資源管理は基本的にはそれぞれ分離されるものの、割り込みやタスクのスケジューリングは、T-Kernelが優先的に統御する手法であり、今回の共存では、部分ハイブリッド型が採用され、T-Busにより、二つのOSを、あたかも境界がないようにつなぎ、双方の上には、それぞれの資源が載って稼動、異OS上のそれぞれのアプリケーションが協調動作できる。
また、今回の合意では、ライセンスなど権利関係を明確化していることも大きな柱だ。TRONのオープンライセンスは、ユーザーがOSの1部を改編した部分を特に公開せず秘密にしておくことができ、バイナリーの配布だけでもよい、とされる。これは、ユーザーが手を加えた部分は公開が義務付けられる、LinuxのGPLとは異なる点だ。
さらに、開発の成果は、フォーラムが責任をもってリリースすることを基本原則とする。坂村健T-Engineフォーラム会長(東京大学教授)は「さまざまな人たちが持ち寄ったソースをごちゃ混ぜにしてしまうと、知的所有権の所在が曖昧になる。実際、Linuxではこの点でさまざまなトラブルが起きている。オープンソースとはいっても、著作権は大切にしなければならない」と指摘する。
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| 12月のTRONSHOWで、両者共同作業の成果が明らかになる |
米マイクロソフトの古川享副社長は「マイクロソフトは、このフォーラムに参加して、どう結果を出せるか、その戦略が立ったので発表した。T-EngineとCE.NETは、互いに2つの役どころを演じていける。TRONはレスポンス性が高く、CEは、ツール、GUI、アプリケーションで一日の長がある。この組み合わせで新しい産業を創り出せるのではないか。2月頃、TRONとの協調の話をビル・ゲイツに伝えたら、EXCITING!との答えが返ってきた」と述べた。
坂村会長は「TRON対Windows、というような構図の位置づけは誤解だ。TRONのようなリアルタイムカーネルは、たとえば、デジタルカメラのシャッター速度の制御、携帯電話の電波制御などの処理を担うものだ。これに対して、マイクロソフトは情報系OSを扱ってきた。両者はまったく異なるもので、これを対立構造として描くのは、技術的に理解されていないことになる。情報系OSでは機器の制御は困難だ。2つの異なったものが協力しあうことにより、新しいものができる。モバイルで用いる、ユビキタスコンピューティングを支えるさまざまな機器が開発できる。」と語った。
【レポート】TRONプロジェクト20年を迎えた坂村健教授「今は3度目のチャンス」
【レポート】T-Engine OSのソースは11月に公開 - 第6回組込みシステム開発技術展より
T-Engineフォーラム
http://www.t-engine.org/
マイクロソフト
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