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【レポート】WISS2003開催(1) - 「へぇボタン」が活躍する学会

2003/12/24

○「へぇ〜」WISS2003、能登半島の羽咋(はくい)で開催

へぇボタンカウントの様子。手書きで「ひかえ目に!」とある

日本ソフトウェア科学会の「インタラクティブシステムとソフトウェア(ISS)研究会」は、1993年から毎年冬に「インタラクティブシステムとソフトウェアに関するワークショップ」(WISS:ウィス)を開催している。WISSは、国内外から100人前後の参加者を人里離れた場所に隔離して知恵を競わせるワークショップである。1999年ごろから参加者は微増し、今年は129人と過去最高となった。この参加者が、朝というか早朝から、深夜というかこれまた早朝まで、「格」や年齢の分け隔てを超えて、食事中から入浴中まで本音で討論しあう画期的なワークショップだ。2日目が「お開き」になったのはじつに午前4時30分(!)なのである。

インタラクティブシステム(インタラクション)とは、コンピューターと人間とをとりもつ環境、いわゆるHMI(Human Machine Interface)のこと。2003年のWISSに大胆に取り入れられたのは、巷を騒がすインタラクティブシステムである、「トリビアの泉」の「へぇボタン」だ。学会発表ながら、この「へぇボタン」が取り入れられているのだ。発表中、発表者の一挙手一投足に「へぇ」と(しかも音声つきで!)反応が返ってくるのだ。「へぇ」を許してしまう学会。研究発表が瞬時に評価されてしまう学会。それがWISSである。

通常の学会というのは、エラい先生がいて、儀礼的な挨拶があって、具体的な中身は秘密という状態を想像しがちだが、WISSは特別である。WISSは運動体としての力強いエネルギーをもっている。参加した研究者は、隔離された状態で緊密なコミュニケーションを取りながら2泊3日を過ごすうちに、自分の研究を評価され、新しい知己と発想を得、自分の研究のためのエネルギーを充電して帰途につく。

2003年のWISSは、12月3日から5日までの3日間、能登半島の羽咋で行われた。

WISS2003の会場となった羽咋駅前。UFOでも知られているらしい。

○コンピューターをますます使いやすくする

WISSが運動体としてエネルギーをもっているのには、理由がある。インタラクティブシステムであるため、「おもしろい」ことを重要視。使った実績や「使いたい」という気持ちをひとつの評価軸としているのである。

実績といっても研究の実績ではなく、使った実績であるから、実績を作るために手を動かす人が多い。今回もWISSの最中に「Viscuit」などの新しいアプリケーションが相次いでリリースされた。これらは、実際に試していただけるようになると思われる。コンピューターについて議論するときに、机上で空論をもてあそぶのも楽しいが、実際のものを前にして、それを改良しながら議論を深めていくのは、もっと楽しい。

ふたつめは、チャットシステムである。大阪電気通信大学総合情報学部デジタルゲーム学科の魚井宏高教授、NTTの高田敏弘氏らによって、WISSの会場にはネットワークが張り巡らされ、魚井教授のグループによる2次元チャットシステム「Alice」、WISS2003のプログラム委員長である増井俊之氏のリクエストによるコミュニケーションシステム「Hiki」が運用されたほか、アンケートなども随時ネットワーク上で公開され、参加者の間で共有された。

会議に出席したときに、コンピューターでメモをとることはあるとしても、その場のコンピューターを利用して参加者の間でコラボレーションが起こることはまずないだろう。WISS以外ではほとんど見たことがない。WISSではそのコラボレーションが、すでに5年以上の実績をもって運用されている。本当に動かす実証実験が、実績になっているのだ。これこそ最先端といってよい。

会場の様子。正面に大きく3つのディスプレイ、加えて各人が複数のディスプレイを持ち寄っている。

WISSの参加者は、論文集を読みながら、発表者のプレゼンテーションを聞きながら、へぇボタンを押しながら、チャットして気になったことを討論し続けるのである。豊富なメディアを同時に体験することをメディアリッチと呼ぶとしたら、まさにWISSの会場はメディアリッチな状態にある。いわばその会場のすべてのディスプレイ(130枚以上はあるだろう)で情報共有したコラボレーション状態なのである。

WISS最中のHikiログ(ログといっても、書き込みもできる)も、終了後わずか1日で公開された。チャットログも公開されている

「WISS楽しすぎ」「聞いているだけでもいろいろやることがあってたいへん」などという声が上がっていた。たいへんだから楽しいのだろう。遊びの要素であっても、真剣にやるからこそ楽しいのだ。

【レポート】WISS2003開催(2) - キーに触れずに入力できるジェスチャ・コマンド
http://pcweb.mycom.co.jp/news/2003/12/24/08.html
へ続きます

(美崎薫)

大阪電気通信大学総合情報学部 魚井宏高氏
http://www.fishbone.jp/

Alice
http://alice.fishbone.jp/

WISS2001レポート
http://pcweb.mycom.co.jp/news/special/2001/12/12/01.html

日本ソフトウェア科学会 インタラクティブシステムとソフトウェア研究会
http://www.wiss.org/


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