【レポート】WISS2003開催(2) - キーに触れずに入力できるジェスチャ・コマンド
2003/12/24
○タッチレス入力装置とジェスチャ・コマンド
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| 日立製作所基礎研究所の石川忠明氏 |
日立製作所基礎研究所の石川忠明氏らは「タッチレス入力装置とジェスチャ・コマンド」を開発、発表した。
ジェスチャといえば、スティーブン・スピルバーグ監督、トム・クルーズ主演の『マイノリティ・リポート』を思い出される方も多いだろう。トム・クルーズ演じるジョン・アンダートンは、データグローブとジェスチャーを使って映像を検索する。
この「タッチレス入力装置とジェスチャ・コマンド」では、なんとグローブを必要とせず、素手での操作が可能である。ある意味では『マイノリティ・リポート』よりも進んでいる!
「タッチレス入力装置」は、料理の最中に、Web上の料理レシピを参考にすることを想定したインタフェースシステムである。料理の最中は、手が濡れていたり油にまみれていたりするため、キーボードやポインティングデバイスを操作するのが難しい。そこで、PCに距離センサーをUSBキーボードとして認識させ、ショートカットごとにジェスチャーを割り振ったシステムを考案、試作した。
入力装置は十分小さく、USBキーボードであるため、特別なドライバはいらない。実際にシステムも持ち込まれ試すことができたが、閲覧中心なら十分実用的だといえるだろう。
台所での操作をどのように行えばよいかということには、複数の提案がある。フットスイッチ、音声認識、汚れ対策をしたボタンなどである。どれがよいのか一概にはいいにくいが、台所は水音や換気扇の音などで結構うるさいので、音声認識をするには難しい環境だろう。
ただし、「タッチレス入力装置」はボタンなどのように操作感がないため、すぐに反応することが重要である。USBキーボードでありドライバ開発コストがかからない、部品のコストも安価であるなどの理由から、次の試作も進んでいるそうで、市場投入も早そうな印象だった。
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○音声ブーム
インタフェースでは「眺める」ブームがあるように、音声ブームが起こりつつあることを予感させるのが、音声のセッションであった。
コンピューターとのインタフェースとして広く「自然だ」と考えられている操作方法のひとつが、音声認識による操作である。SF映画で、音声認識はかなりポピュラーな存在である。アニメ『スーパージェッター』では「流星号!」と語りかけて命令対象を明らかにしてから命令を下す。ラリィ・ニーヴンの小説『インテグラル・ツリー』には「プリカジバット、ボイス」と言ってから命令するシーンが出てきたという。SFドラマ『スタートレック』では「コンピューター」と呼びかけてからコマンドを伝え、『ナイトライダー』でも、同様に音声で命令を伝えるという。自然な音声認識といえば、『2001年宇宙の旅』のHAL9000もポピュラーだ。
久米康之著『猫の尻尾も借りてきて』では、もっと自然に会話から自然言語解析をしていた。
| 降り続く雨が中庭の蘇鉄の葉をたたいている。村崎史郎は、それを窓越しにぼんやりと眺めていた。一九九五年七月十九日の夕方のことだ。 「どうして女性に年齢をきいてはいけないんだろう」 そうつぶやいたとき、「ニタカ」が、ピッと短く音をたてた。ニタカというのは、人工知能型のコンピューターのことで、研究所内にあるデータ・バンクとつながっている。 史郎は軽く舌打ちした。 「音声入力ができるのはいいけれど、独り言にまで反応するのが欠点だな」 |
余談だが、『猫の尻尾も〜』の舞台よりはだいぶ未来の2003年現在、ニタカの代わりに存在するGoogleに「女性 年齢をきく」と質問を行うと、30件あまりの結果が返ってきた。こんなときに、SFの世界に住んでいる、と実感する。いよいよコンピューターは、その方向に向かって進化し始めたのだ。
音声認識による操作をジャンルとして決定づけたのは、WISS2001での早稲田大学大学院の尾本幸宏氏、産業技術総合研究所の後藤真孝氏らが発表した、音の高さを利用した「音声シフト」、それに続く「インタラクション2003」でベストペーパー賞を受賞した科学技術振興事業団さきがけ研究21/産業技術総合研究所の後藤真孝氏による「SmartMusicKIOSK:サビ出し機能付き音楽試聴機」など、一連の音声研究成果である。
研究発表には、ときおり目の覚めるような発見、パラダイムを変えてしまうような発明がある。そのあざやかな存在感に、目を見開かされ圧倒される。
今回強く印象に残ったのが、次に紹介する、早稲田大学大学院の北山広治氏と前述の後藤氏らによる「音声スポッタ:人間同士の会話中に音声認識が利用できる新たな音声インタフェース」であった。
【レポート】WISS2003開催(3) - 音声インタフェースは実用になる
へ続きます
(美崎薫)
WISS2001レポート
日本ソフトウェア科学会 インタラクティブシステムとソフトウェア研究会
http://www.wiss.org/
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