ホログラム光ディスクの「HVDアライアンス」が設立、容量200GBで製品化へ
2005/02/04
オプトウエアは3日、同社が開発を進める次世代光ディスク「ホログラフィック・バーサタイル・ディスク(Holographic Versatile Disc、HVD)」の標準化・商品化に向け、同社ら6社で「HVDアライアンス」を設立することを明らかにした。HVDは、光の干渉縞としてデータを記録するホログラム記録技術を用いたもので、将来的にはCDサイズでテラバイトクラスのデータ容量も不可能ではないという。早ければ、来年半ばにも最初の製品が登場する見込みだ。
HVDアライアンスの参加企業は、同社のほか、CMCマグネティックス、東亞合成、日本ペイント、パルステック工業、富士写真フイルムの計6社。正式な発足は今春としており、オープンな組織として、他企業にも参加を呼びかける方向だ。
順次、ライトワンス型・ROM型・カード型を標準化
現在、光ディスク市場はBlu-ray DiscとHD DVDの両陣営が主導権争いを繰り広げているところだが、HVDはその次を狙う規格。同社のHVDは、CD/DVDと同じようにディスクを回転させて利用するもので、CD/DVDとの下位互換性も確保できるという。またディスク型のほか、カード型の「ホログラフィック・バーサタイル・カード(HVC)」も検討されている。同日、報道向けに行われた会見では、同社の青木芳夫・社長兼CEOがHVD/HVCの標準化に向けた事業戦略について説明した。
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青木芳夫・オプトウエア社長兼CEO |
堀米秀嘉・同創業者/CTO |
社会の高度情報化が進むにつれ、データストレージ・システムへの需要は高まる一方だ。同社は、大容量・高速、不正コピーや改ざんができない、というホログラム光ディスクの優位性を活かし、データ保存、セキュリティ、データ配布などの分野にフォーカス。まずは業務用から製品を投入し、その後、コンシューマ市場へも普及させる意向だ。コンシューマ向けには、最初の製品は2007〜8年にも登場する見込みだが、「実際に普及するのは2010年くらいでは」(青木社長)と見る。
広範囲なマーケットを狙うために、同社が重視するのは標準化だ。民生分野の規格としては、いわゆる「デファクト・スタンダード」というものも多いが、同社はISOでの標準化を目指しており、国際標準化団体である「Ecma International」に働きかけ、Ecma内に技術委員会「TC44」の設立に成功。Ecmaでの承認を経て、ファーストトラックを利用してISOへの提案を行う予定だ。
TC44では、以下の4つの規格の制定を行う。
1.記録用HVDカートリッジ(HVD-R) 容量200GB
2.読み取り専用HVD(HVD-ROM) 容量100GB
3.HVC 容量30GB
4.HVD-ROM用のケース
HVD-Rは、ドラフトの第1版が今年3月にも提出される予定で、その後検討を重ね、順調にいけば最終ドラフトが2006年4月、Ecma総会での承認が同年6月、ISOでの採択が同年12月以降となる見込み。ただ、技術的な議論はEcmaだけで終わるため、ISOの結果は待たずに、最初の製品は「Ecmaの承認が得られる2006年6月に出荷を考えている」(同)とのことだ。そのほか、HVCも2006年12月以降、HVD-ROMは少し遅れて2007年6月以降の標準化となる見込みだ。
HVDの「コリニア方式」とは?
ホログラム光ディスクは、従来から「2光束干渉法」という仕組みも研究されているが、TC44では、まず同社の開発した「コリニア(Collinear)方式」について、規格化が進められることが決まっている。そのメリットについては、同社創業者でCTOの堀米秀嘉氏から説明が行われた。
まず従来の光学ディスクであるCD/DVD/Blu-rayなどとの比較だが、まず大きな違いは一度に記録できるデータの量だ。従来の方式は、レーザーの1パルスで記録するのは1ビットだけだが、HVDではページデータとよばれる数万ビットもの情報が一度に読み書きされる。また、従来は大容量化のためにレーザーの波長を短くし、データビットをいかに小さくするかを工夫してきたが、HVDではデータを重ね合わせて記録する"多重化"によって大容量化を図ることができる。
ちなみに、コリニア方式ではデータは逆円錐形状(上部は直径500μm、下部では200μm程度)の領域に記録されている。このシフト多重方式では中心を少しずつ移動させてデータを記録するが、ほとんど重なり合っていても問題なく、実験では3μmのシフトでもデータの再現に成功したという。この場合、12cmディスクで3.9テラバイトという容量にもなり、将来的にはそこまで伸びる可能性がある、とのことだ。
それでは、同じくホログラム技術を用いた2光束干渉法とコリニア方式についてだが、それぞれの名称が示すように、前者は参照光(Reference Beam)と情報光(Information Beam)が別々に入射するのに対し、後者は同軸の1本のレーザー光が利用されるのが相違点だ。2光束干渉法ではどうしても光学系が複雑になってしまうが、コリニア方式はよりシンプルに構成できるのがメリットの1つとなる。
コリニア方式では、中央に2次元バーコード状の保存データのパターン、その周りを囲むような形で参照光用のパターンを置く。書き込み時は両方を表示した状態でレーザーを照射し、干渉縞をメディアに記録。一方、読み込み時には参照光用のパターンのみを表示させて照射する。すると、メディアの反射層から戻ってきた光には、記録した中央部のパターンが再現されているので、これをもとにデータを復元できるのだ。
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コリニア方式の書き込み。記録するパターン(左)は、中央に情報光用のパターン、外周が参照光用のパターンとなっている |
読み込み。参照光用のパターンを照射すると、書き込んだ情報パターンが再現される、という仕組み |
そのほかのメリットとしては、従来の光ディスク同様にプリフォーマットのアドレスを入れることが可能な点、ディスクの面ブレなどに対する各種マージンが十分実用的な範囲であること、などがあげられている。
オプトウエアは、次世代大容量光ディスクの実用化を目指し、1999年に創業されたベンチャー企業。同社の青木社長・堀米CTOはともにエンジニアとして、ソニーでMOの開発を手がけた経歴を持つ。
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