スーパーモデルのようにマネキンが動く - マネキン型ロボット「Palette」
2005/03/01
日本SGIと、ロボット・デザイナーの松井龍哉氏が代表を務めるフラワー・ロボティクスは、マネキン型ロボットを共同で事業化することを発表した。すでに両社はナビゲーション・ロボット「Posy(ポージー)」を共同開発しているが、その実績を生かし、ファッション・サービス業界向けに商品化することを目的とする。現在のところ、年内事業化を目標としているという。価格については未定だが、従来からあるマネキン人形の価格に極力近づけたいとしている。
両社が開発した「Posy(ポージー)」は、ルイ・ヴィトンのパーティを始め、各種イベントに参加。デザイン性の高い、人間との共存型ロボットとして国内外で高い評価を得ているが、今回発表されたのは、店舗のショーウィンドウなどの展示スペースに置いて、洋服や宝飾品などをディスプレイするためのマネキン型ロボット「Palette(パレット)」。事業化を想定していないPosyとは異なり、年内には販売を開始する考えだ。
発表会の冒頭で日本SGIの代表取締役社長CEO・和泉法夫氏は、「最もITからほど遠いと思われているマネキンとITとの融合」であるとし、また、松井氏は「特に、常に最先端のものと融合してきた文化であるファッション業界から、多くの注目を集めてきたPosyのエッセンスを凝縮したもの」と説明した。マネキンロボットを介して、世界中のショッピングストリートを情報発信の場としていきたいという。
Paletteの具体的な機能としては、足元にセンサーを装備し、Paletteが置かれたショーウィンドウの前に人が立つと、それを感知してその人の方向を向き、状況に応じた様々な動きで商品を演出するというもの。特に、宝石などは見せる角度をさまざまに変えることで、より商品を魅力的に見せることができるようになるそうだ。
動きに関しては、日本SGIが得意とするモーションキャプチャ技術を駆使。スーパーモデルの数十種類のポージングを記憶させ、再現させることができる。現在はモーションカード(SDカード)にモーションを記録させ、それをPaletteに読み込ませることで動作を再現させているが、将来的にはブロードバンドネットワークなどを通じて配信していく予定。日本SGIではPalette専用のソフトウェアを開発、さまざまなポーズの生成が簡単に行えるという。
さらに、店舗に出入りする人の数や動きなどを検知するとともに、画像処理技術を使って来店客に関する画像から、各種マーケティングデータを収集。収集したデータはネットワークを介して、センサーサーバーやモニタリングサーバーに蓄積され、データマイニングなどに利用できるという。また、セキュリティ技術と組み合わせることで、監視カメラの代わりとしても使用可能とのこと。特に宝飾品の場合、マネキンそのものが監視カメラの役割を果たすことになるため、監視の有効性は高まるのではないだろうか。
発表会では「新製品が普及するための5つのデザイン」として、(1)優位性(2)可能性(3)簡素性(4)視認性(5)互換性--を挙げ、Paletteの開発コンセプトを説明した。
(1)は、Paletteにセンサーを搭載することによって、商品をより魅力的かつ積極的に消費者にアピールすることで、消費者の購買意欲を高めるということ。(2)は、Paletteを動かすための専用のアプリケーションを開発したことで、よりスピーディで様々な動きやスタイルが可能になったということ。特にファッション業界の場合、ブランドやショップによってそれぞれコンセプトが異なるため、各コンセプトに合わせた動きの生成が可能であるという。(3)は、モーションカードを交換するだけで動きを入れ替えることができるほか、動きを生成するソフトウェアを使って、ロボットに詳しくない店員などでも簡単に動きを作ることができるということ。(4)は、ショーウィンドウは今までは見るだけのものだったが、Paletteに内蔵されたセンサーによってインタラクティブに反応するため、見ている側にもその効果が分かりやすいということ。(5)は、現状から無理なく乗り換えられる、ということ、だという。
デザインを担当した松井氏は、「ロボットそのものの美しさやデザイン性よりも、商品をいかに美しく見せるかに注力してデザインした」と話す。さらに、安全性を重視し、関節などの稼動部分は指や服が巻き込まれないように、すき間を極力なくしたという。
街中のマネキンが我々に向かってポーズをとったり、語りかけたりしてくる日もそう遠くはないようだ。
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