富士通研究所、10GbEスイッチLSI・グリッドなどの研究成果を発表
2005/04/15
富士通研究所は8日、神奈川県川崎市の同社施設において「スモールミーティング」と名付けた説明会を開催、最新の研究成果などについて紹介した。これは同社としては初めて開催するもので、今後、各研究所・特定テーマごとに継続的に実施される予定。今回はITコア研究所における、10GbEスイッチLSIとグリッドについての成果が発表された。
世界初の10GbitイーサネットスイッチLSI
同社は将来的なビジョンとして、あらゆるコンピュータ資源をIP(Internet Protocol)で接続するという「All-IP」を提唱している。現状、例えばインターコネクトではMyrinetやInfinibandといった独自プロトコルのものもあるが、ストレージ・携帯電話なども含めて全てIP化することで、高度なITシステムをより簡単・低価格で実現できるという。
そのためのキーデバイスとなるのが高性能イーサネットスイッチで、同社は世界で初めて、10Gbitイーサネットスイッチの1チップ化に成功、昨年よりこのLSIを搭載する「XG800」も販売されている(販売元はPFU)。同LSIは12ポートのレイヤ2スイッチで、10GBASE-CX4対応の電気インタフェースを実装。バッファメモリの最適化により、450nsという低いレイテンシも実現している。
このLSI化により、装置として比べてみると、体積は従来から1/10に小型化、また消費電力やレイテンシもそれぞれ1/10になったという。製品としては、光インタフェース(XENPAK)を8ポート搭載する「XG800」(2U)に加え、電気インタフェースのままの「XG600」(1U)もラインナップされている。
XG800は、すでにメディアエクスチェンジ、理化学研究所、東京大学、Los Alamos National Laboratoryなどで採用された実績があるとのこと。
ビジネス向けのグリッドミドルウェア「CyberGRIP」
グリッドは当初の科学技術計算分野のみならず、今やビジネス分野にも適用範囲を広げている。各社がグリッドを謳うプラットフォームを投入してきているが、同社が開発したのは「CyberGRIP」というビジネス向けのミドルウェア。製造業・金融業・流通業などに大量計算のニーズはあるということで、並列計算処理でプログラムを早く終わらせることよりも、大量のジョブを効率的に実行することに重点が置かれている。
基本的なメリットとしては、コストの削減とレスポンスの平準化がある。従来は、アプリケーションごと・部門ごとにサーバーが用意され、それぞれのピーク負荷に合わせたシステムとなっているため、全体として見ると無駄が多い。しかしCyberGRIPでは仮想化によりアプリと計算資源を分離。アプリは各システムの負荷などを考慮して最適な計算資源にアサインされるので、より効率的な運用が可能となる。
そして、CyberGRIPの特徴とも言えるのが、柔軟なジョブ実行制御機能だ。スクリプトの記述により、大量のジョブを自動生成することはもちろん、先行ジョブの結果から次のジョブのパラメータを設定するようなことも可能。これにより大幅な作業の自動化が実現でき、ユーザーはより高度な作業に専念することができるようになる。
効果を検証するために、まずは社内の各部門で実際に適用された。移動通信システム開発部門では、CDMA基地局用変復調装置の設計シミュレーションへ適用。9千ジョブの実行で、ターンアラウンドタイムとオペレーション工数はともに1/4になったという。またサーバシステム開発部門では、LSIのテストタパーンの検証に適用。2万ジョブで、延べ検証期間は1/7に短縮された。
現在も、8部門9アプリケーションで使われているそうで、ITコア研究所主管研究員の門岡良昌氏は「社内で実際にこれだけ使っているグリッドミドルウェアの開発メーカーはないのでは」とコメント。ちなみに製品版は富士通より、「Systemwalker CyberGRIP」として、すでに提供されている。
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