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MacromediaがFlash 8のベータ版を公開、明らかになるFlash Platform戦略

2005/07/13

Junya Suzuki

米Macromediaは7月12日(現地時間)、同社Flash Playerの次期バージョンである「Flash 8」のパブリックベータ版の提供を開始した。同製品は以前まで「Maelstrom」という開発コード名で呼ばれていたもので、主に開発者やユーザーを対象に新環境での既存アプリケーションのテストを促すことを目的としている。同社のパブリックベータ用のサイトから無料で入手可能だ。OSはWindows 98/Me/NT/2000/XPまたはMac OS X 10.x以上で、Internet ExplorerやSafariなどのWebブラウザで、要件を満たすバージョンがインストールされている環境が対象となる。

盛り上がる「リッチ・クライアント」採用の気運

Maelstromベータ版の提供は、同社が最近進めているMacromedia Flash Platform戦略における最新のマイルストーンの1つだ。マクロメディアの日本法人は7月11日、同社のFlash技術を用いたリッチ・アプリケーション基盤構想「Macromedia Flash Platform」を発表した。これは、従来のHTMLベースのWebアプリケーションとは異なり、機種を選ばないアプリケーション実行環境のFlash Playerと、その上で動作するSWF形式のFlashコンテンツを組み合わせることで、より複雑でリッチなアプリケーションを提供していこうという戦略だ。

この構想は米国で6月6日(現地時間)に初めて明らかにされた。従来の描画や処理における制限事項の多いHTMLではなく、Flash技術を使うことでよりリッチなWebアプリケーションを開発しようというものだ。1990年代、Visual Basicに代表されるクライアント/サーバ・ベースのアプリケーションが多数開発されていたが、1990年代の後半あたりから、より手軽な配布が可能で、実行する環境によって別々のアプリケーションを用意する必要のない、Webベースのシン・アプリケーションの利用が広まっていた。PerlによるCGIやJavaServlet、MicrosoftのActive Server Pagesなどがアプリケーション・ロジックとしてバックエンドで動作し、ユーザー側のWebブラウザのリクエストに応じてHTMLを生成して配布するという形式だ。

だが業界ではシンプルなWebアプリケーションではなく、従来のクライアント/サーバ時代にあったようなよりリッチなアプリケーションを構築しようという試みが進んでいる。リッチ・クライアントがブームとなりつつある理由はいくつか考えられるが、まずクライアントPCのパフォーマンスが向上しているのに、それを活用しない手はないだろうというアイデアから来たものと思われる。またリッチ・クライアントを活用することでプログラム上の制限が減り、より自由度の高いアプリケーションを組めるという理由もある。

リッチ・クライアントの中核を担う--Flash、Java技術

そのリッチ・クライアントの代表格がMacromediaのFlashだ。当初は単にアニメーションなどの動的コンテンツの記述言語とみられていたFlashだが、バージョンアップを重ねるごとにデータベースアクセス機能などを強化し、現在では強力なスクリプト言語機構を備えるなど、一種のOS的なアプリケーション実行環境となりつつある。Macromediaでは「Flex」という主に企業ユーザー向けのFlash配布環境を提供しており、このFlexを利用することでFlashコンテンツを動的に生成することが可能となり、Flashを用いた本格的な企業システムの開発ができるようになる。

こうしたリッチ・クライアントの動きは、Javaの世界を中心に広がりを見せつつある。米Sun Microsystemsが提案する「Java Web Start」は、従来のWebアプリケーションの配布におけるメリットを活かしつつ、Javaでリッチ・クライアント・アプリケーションを記述するための仕組みだ。またJ2EEとJavaアプレットを組み合わせた製品としては、「Nexaweb」や「Facado」などが有名である。Javaとは直接絡まないものの、リッチ・クライアント記述言語の「Curl」も利用が広まっている。JavaServletの利用の広まりと、Javaアプリケーションサーバ製品でのJ2EEサポートの進展で、サーバ環境で発展を続けてきたJavaだが、リッチ・クライアントに注目が集まるにつれ、クライアント上で実行するJavaアプレットが再び脚光を浴びつつある。

MacromediaはMacromedia Flash Platform構想を発表した6月6日に、Java開発者を中心に利用が広まっているオープンソースのIDE(統合開発環境)である「Eclipse」の開発を統括する「Eclipse Foundation」への参加を表明している。ここで、Flash用のアプリケーションを開発するEclipse用のプラグインを提供することで、Macromedia Flash Platform実現に向けて本格的に取り組むのが狙いだ。最新のFlash+Flex環境では、ActiveScript 2.0やMXMLという簡易記述言語をサポートしており、これらの開発がEclipse上でも行えるようになることで、より広い開発者層を取り込むことが可能になる。

・Macromedia Flash Platformの構成要素

Flash Playerランタイム実行環境
ActiveScript、MXML開発言語
Flash MX、Flex Builder開発ツール
FlashPaperPDFのような印刷ソリューション
Flexダイナミックコンテンツのサーバ配布環境
ColdFusionJ2EE対応のWebアプリケーションサーバ
BreezeWebプレゼンテーション、会議、トレーニング

プラットフォームを越えた展開で、Macromedia Flash PlatformはJava Virtual Machine(VM)などと並び、WindowsやLinuxといった従来のプラットフォームとは異なる第3のアプリケーション実行環境の地位を築こうとしている。筆者が把握する範囲で、Macromediaのプラットフォーム戦略は3〜4年ほど前からこのような形で変質を始めている。Flashの開発者カンファレンスなどを見る限り、MicrosoftやBorlandが主催する開発者向けカンファレンスと内容的にはほとんど同等のものだからだ。Eclipse Foundationへの参加やMacromedia Flash Platformの発表は、その集大成ともいえるものだろう。今年4月18日(現地時間)に、米Adobe SysmtesによるMacromedia買収が発表されたが、今後どのような形で両社の製品や戦略がリンクしていくかはまだ不明な部分が多い。だが既存の開発者コミュニティの広がりを考えれば、両社の合併後もMacromedia Flash Platformが引き続き戦略の中心となることは容易に想像できる。


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