iPodなどを補償金の対象に - 権利者7団体が表明
2005/07/29
著作権法に定められた私的録音・録画補償金制度について、著作権者などで構成される権利者7団体が、iPodなどのHDD/フラッシュメモリ内蔵音楽プレイヤーを制度の対象にするよう、意見表明を行った。この問題は、文化庁の文化審議会著作権分科会法制問題小委員会で協議されており、従来小委員会で権利者側が主張してきた内容を広く一般に知らせることが、今回の意見表明の狙いだ。
私的録音・録画補償金制度は、著作権法30条(私的使用のための複製)に定められた、家庭内での限られたコピーに対する著作権者への補償、という形で制度化されている。音楽プレイヤー・メディアの販売価格に一定の割合で上乗せされており、それが管理団体を通じて著作権者へ分配される仕組みになっている。
しかし現在、iPodやNetwork Walkmanなど、HDD/フラッシュメモリ内蔵音楽プレイヤーはこの制度の対象外となっており、法制問題小委員会では、制度の見直しを含めた対応を話し合っている。
現行の補償金制度の主な対象はMDだ。ところが、HDD/フラッシュメモリ内蔵音楽プレイヤーはMDよりも楽曲を保存できる量が大きく、また、すでに売り上げとしてiPodなどがMD機器を上回っていることから、このまま放置すれば制度が形骸化するとの懸念が権利者側にはある。一方で、電子情報技術産業協会(JEITA)らメーカーは反対の立場であり、制度の廃止を含めた見直しを求めている。小委員会ではすでに3回にわたって議論が進められているが、まだ結論が出ていない状態だ。
権利者側は今回の表明で、制度そのものに対する反対意見が「必ずしも正確ではない、あるいは誤解にもとづく意見がある」(日本芸能実演家団体協議会・椎名和夫氏)として、3点について反論した。
1点目は、DRM(デジタル著作権管理)の仕組みによって楽曲に課金、補償金制度が不要になるとのメーカー側の主張に対する反論。DRMを実装するためのユーザー側のコスト負担、DRMによる家庭内録音の管理などの問題点を指摘し、逆にDRMによって私的録音が行えないようにするという考え方は否定した。アーティストでもある椎名氏は、「お気に入りの曲を入れたテープを友達と貸し借りしていたことが現在の(アーティストとしての)根底にある」と、一定のルールのもとに私的複製を行うことは、アーティストとしても歓迎であることを強調する。
2点目として、「私的録音補償金が二重取り」であるとの指摘に対する反論。これは、たとえばネット配信の場合は配信業者に対して、レンタルCDの場合はCDレンタル業者に対して、それぞれ著作権料の支払いを求めており、さらにそれを保存するMD機器やiPodなどに課金するのは二重取りではないか、という議論で、音楽配信やレンタルに対する課金は、送信またはレンタルに対して行われているもので、私的録音補償金は、それを家庭内で録音することに対して課金するものであり、両者は重複していないと指摘する。
3点目は、管理団体から著作権者への分配が不透明という批判に対するもの。昨年実績で、7,543人の実演家に対し、1人平均55,693円が分配されており、「アーティストの1人として(分配の)実感はある」(椎名氏)、とする。
権利者側は、私的録音・録画補償金制度が、国際条約のベルヌ条約でも定められた著作権者保護の取り組みで重要な位置づけにあるものとしており、制度の形骸化は「国際条約に抵触する可能性がある」(日本レコード協会・生野秀年専務理事)。
現時点ではこの制度は維持し、iPodなど対象外の音楽プレイヤーに関しては、政令によって対象に指定するよう求めていく方針だ。「(著作権法)30条1項の私的複製は守っていくべき。私的複製のまん延が問題だ。一定の節度のもとに私的複製が行われ、補償制度でカバーしていく基本構造は守っていきたい。(DRMなどによって)コピーできないというものを求めていくことはない」(日本音楽著作権協会・吉田茂理事長)。
なお、今回意見表明をしたのは、日本音楽著作権協会(JASRAC)・日本芸能実演家団体協議会(芸団協)・日本レコード協会(RIAJ)・日本音楽事業者協会(JAME)・音楽出版社協会(MPA)・音楽制作者連盟(FMP)・日本音楽作家団体協議会(FCA)の7団体。
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