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スペインで立ち上がった無線LAN共有プロジェクト「Fon」

2005/12/13

末岡洋子

11月中旬、スペインであるプロジェクトが始まった。"世界のWiFiよ、団結せよ"というスローガンの下、スペインのベンチャー企業Fonが無線LANアクセスポイントを共有するためのソフトウェア「Fon」をリリースしたのだ。同社は現在、世界中に"Fonera(フォネラ)"ことFonユーザーの輪を広げようと活動している。

Fonの仕組みは、無線LANのローミングと考えるとわかりやすい。自分の無線LANルーターにFonをインストールすると、他のFoneraと帯域をシェアできる。もちろん、他のFoneraの帯域を利用することも可能だ。現在提供されているソフトウェアは「Linksys WRT54G」と同「WRT54GS」用で、Fonでは今後対応製品を増やす予定。また、無線LANルーターを持たない人は、FonのサイトでFonソフトウェアインストール済みのルーターを購入することも可能だ。

Foneraには2パターンある。他のFoneraと無料で帯域をシェアしあう「Linus」、自分の帯域を有料で提供する「Bill」だ。そして、自分の帯域は提供しないが、Foneraの帯域を利用する「Alian」もいる。Alianは、通常の公衆無線LANよりも安く無線LANが利用できることになる。Billは売り上げの50%をFonと分け合い、他のFoneraの帯域を無料で利用することはできない。

"Linus""Bill"はもちろん、LinuxカーネルとWindowsという2つのOSの設計者のファーストネームに由来する。当初提供されているFonはLinus用で、Billになるための追加コンポーネントは数カ月内にリリースされる予定だ。ユーザーは、FonのサイトにあるFon Mapsを利用して、どこにアクセスポイントがあるのかを把握できる。ユーザー認証はIDとパスワードによって行う。

Fonは、本拠地スペインで11月11日にスタートした。その後、スウェーデン、フランスで始まっており、12月初めの段階でダウンロード数は2,000件に達したという。

Martin Varsavsky氏

Fonを率いるのは、スペイン・アルゼンチンの起業家Martin Varsavsky氏だ。Varsavsky氏は、国際電話会社のViatel、スペインの電話会社Jazztel、ポータルサイトのYa.comなどを立ち上げた人物で、欧州でも屈指の成功した起業家として知られている。中でもViatelでは、国際電話のコールバックシステムを思いつき大ヒット、その後は光ファイバー敷設を開始している。同社は現在、欧州でも最大規模の光ファイバー網を持つという。

Varsavsky氏はFonを立ち上げた経緯について、「世界的な無線LANネットワークを創ること」と語る。無線LANは増えたが、帯域は余っている。同氏によると、通常のADSLの場合、使われている帯域はわずか3%程度という。残りの97%何かに生かせないか、無線LANのメリットをもっと引き出せないか、そうやってFonのアイディアは生まれた。

だが、Foneraが本当にFonのメリットを見出せるのは、十分な数のFonアクセスポイントがある時になる。Fonではアクセスポイントを増やすための戦略として、ISPとの提携、Fonインストール済みの無線LANルーター提供のほか、Fon自らも要所と思われる場所にアクセスポイントを構築する。これにより、「世界最大の無線LANネットワークを構築できる」とVarsavsky氏はもくろむ。

Varsavsky氏の自信の根拠は他にもある。「リリースして3週間で2,000件のダウンロードがあった」と同氏。T-Mobileなど現在世界最大レベルの無線LANサービスプロバイダのアクセスポイント数が2万箇所程度であることを引用しながら、「プロバイダは2年かかってこの数だ。Fonでは、3週間でこの5%に相当するアクセスポイントが立ち上がった」と述べる。Fonが自分たちの活動を"運動"と呼んでいることからも、Skypeのように、口コミでFonが広まっていくことを狙っているようだ。実際、Varsavsky氏は「Jazztelではかなりのマーケティング資金を費やしたが、Fonはブログで立ち上げを発表した」と語る。3週間で2,000件というダウンロードの数も、ブログなど口コミで紹介されただけで達成した数字という(そのうち最初の1,600件は、同氏のブログだけが情報源で広まったのだそうだ)。

現在3カ国で提供しているが、今後展開国が増えればさらに広がるとVarsavsky氏は予想している(もちろん、ソフトウェアは同社サイトからダウンロードできるため、言語の問題がなければ誰でもFoneraになれる)。

Fonが狙っているのは、無線LANサービスの統一化だけではない。Varsavsky氏は多くを語らなかったが、同社はWebサイトにて「WifiFon」というVoIPを利用した電話を提供する計画も明かしている。Fonの野心的な計画が、Skypeのような現象を生むかどうか、注目したい。

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