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JAXA、H-IIAロケット8/9号機の詳細を説明 - 長ノズルの採用で能力が向上

2006/01/17

大塚実

H-IIAプロジェクトチーム・遠藤守プロジェクトマネージャ

宇宙航空研究開発機構(JAXA)は6日、プレス向けに説明会を開催し、1月19日、2月15日と相次いで打ち上げられるH-IIAロケット8号機・9号機について、詳細を説明した。8号機は「陸域観測技術衛星(ALOS)」、9号機は「運輸多目的衛星新2号(MTSAT-2)」を打ち上げるもの。両ロケットでは、従来よりも長いノズルが採用されており、打ち上げ能力が向上するなどの変更が加えられている。

H-IIAロケットのラインナップ

H-IIAロケットは、純国産の液体大型ロケット。液体酸素・液体水素を推進剤とする2段式のロケットで、H-IIロケットのコストダウン版として開発された。2001年8月の試験機1号機を皮切りに、以降、計7機がこれまでに打ち上げられている(内、失敗は1機)。

一口にH-IIAロケットと言っても、じつは様々なバリエーションが存在する。"標準型"と呼ばれるのはロケット本体に固体ロケットブースタ(SRB-A)が2本付く「H2A202」だが、能力を向上させたバージョンとして、さらに小型の固体補助ロケット(SSB)を2本装備する「H2A2022」、4本装備する「H2A2024」も打ち上げられている。将来的には、SRB-Aが4本となる「H2A204」、そして第1段エンジンをクラスタ化した「H-IIB」も計画されている。

H-IIAロケットのラインナップ。H-IIBは国際宇宙ステーション(ISS)への物資補給用のロケットとなる(提供:JAXA)

これまでの形態。衛星の重量等の条件により、最適なものが選択されている(提供:JAXA)

また様々な大きさの衛星に対応できるように、フェアリングや衛星搭載部(PAF)の種類も豊富だ。今回は、8号機も9号機も5m径の太めのフェアリングが搭載される。

"本来の姿"となる8号機

8号機はSSBを2本搭載するH2A2022で、外見は7号機とほぼ同じとなるが、1段目の「LE-7A」エンジンに、従来よりも50cmほど長い「長ノズル」が新たに採用されている。ノズルは、燃焼室で生成された高圧・高温の燃焼ガスをうまく広げてやることで、ガスの「圧力」を「速度」に変換する役割を持つ。LE-7Aエンジンでは燃焼室内の圧力は120気圧程度となるが、1気圧の地上においては、ノズルの出口付近でこれが1気圧程度になるよう設計するのが理想となる(ちなみに、大気の薄い上空で使用する2段目以降では、理想となる条件はまた異なる)。

従来の短ノズルから長ノズルへ。燃焼室とノズルの形状が変わっている(提供:JAXA)

長ノズルの採用により、燃焼ガスの噴射速度がこれまでより向上しており、真空中推力は約2tf、真空中比推力("燃費"のようなもの)は約10秒増加。その結果、打ち上げ能力は400kg程度(GTO換算)向上している。

だがこれは「能力を向上させた」というよりも、「本来の姿に戻った」というのが実情である。じつは長ノズルが当初の計画であり、開発段階での問題発生により、これまでは短くされていたのだ。

H-IIAロケット開発段階の1999年6月、エンジンの地上燃焼試験において、横方向への過大なブレが発生。同ロケットは2本のアクチュエータでエンジンを本体に取り付けており、この向きを変えることで姿勢制御を行っているが、過大な横推力により、この部分が破損する恐れが出てきた。しかし抜本的な改良には時間が足りなかったため、「一番手っ取り早い対策」(遠藤守プロジェクトマネージャ)として、ノズルを短くすることで横推力を低減させていた。遠藤氏によると、8号機のALOS(打ち上げ時重量4t)、9号機のMTSAT-2(同4.65t)という大型衛星にあわせ、この長ノズルの開発が進められてきたのだという。

そのほか、8号機ではノズルに断熱材が取り付けられるという改良も施されている。これは、長くなったノズルでは隣接するSRB-Aから受ける熱の影響が増加するためで、その対策となるもの。だが、じつは8号機のH2A2022ではそれほど必要性はなく、SRB-Aが4本となって熱的に厳しくなるH2A204のためのデータ取得が、今回の主な目的となっているのだそうだ。

9号機は初めてSSBの同時燃焼

一方9号機は、SSBが4本のH2A2024となる。搭載する衛星がMTSAT-2という過去最大級のものとなっており、そのため9号機では、初めてSSB4本の同時燃焼を行う。SSBはそれぞれ2本ずつのペアとなっており、これまでは、第1ペアの燃焼終了後に第2ペアの燃焼が始まっていた。今回は、第1ペアをリフトオフ後10秒で点火、さらにその10秒後に第2ペアの点火を行う。そのため、9号機ではSRB-Aより先に、SSBを分離するようになっている(従来は逆)。

SRB-Aの2本とSSBの4本が同時に燃焼するようになるため、これまでよりも機体には大きな荷重がかかる。9号機第1段の機体はSSB同時燃焼仕様ということで、それに耐えられるような機体構造になっている。また、ノズルは8号機と同様に、長ノズルが使用される。

今後の打ち上げ予定だが、8/9号機のあとは、2006年度には3機が予定されている。6号機で打ち上げに失敗した情報収集衛星の代わりとなる衛星が2回(光学観測用とレーダー観測用、今回は別々に打ち上げられる)、そして世界最大の展開アンテナで通信実験を行う「ETS-VIII」の計3機で、このETS-VIIIでは、初めてSRB-Aを4本使用するH2A204が打ち上げに利用される。派生型であるH-IIBを別に考えると、予定されていたH-IIAのラインナップがこれで全て出揃うことになる。


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