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早大とテムザック、屋外の歩行が可能な人間搭乗型2足ロボット「WL-16RIII」

2006/04/27

大塚実

早稲田大学 理工学術院 高西淳夫研究室とテムザックは26日、早大・大久保キャンパスにてプレス向けの発表会を開催し、2足歩行ロボット「WL-16RIII(Waseda Leg No.16 Refined III)」を披露した。腰部から下の部分だけのロボットで、その上に人間を乗せて歩くことができるのが特徴。昨年4月に発表された「WL-16RII」をベースとするもので、制御ソフトウェアの改良により、屋外の微妙な凹凸がある路面の歩行も可能とした。

階段を下りる「WL-16RIII」

屋外での歩行も披露した

2足歩行ロボットと言えば、ASIMO(ホンダ)やi-foot(トヨタ)などのように、一般的には人間のような関節を持ったものが多い。これらはアクチュエータが直列に並ぶ"シリアルリンク機構"であるのに対し、16RIIIでは6本の伸縮するリンクが並列に連結されており(片足あたり)、こちらは"パラレルリンク機構"と呼ばれる。見た目こそ"脚"らしくはないが、位置精度が高い、機構剛性や出力が高い、低コストといった特長があるという。

従来、パラレルリンク機構は可動範囲が狭いという課題があったが、前バージョンの16RIIにて、足を振り出す方向に腰をねじる仕組みを実装、人間を乗せての階段の昇降に成功している。WLシリーズの研究では"2足歩行の車椅子"が長期目標の1つとしてあげられており、実用性や汎用性を考えると、さらに屋外での利用にも対応させる必要がある。しかし、屋外の実環境には傾斜や凹凸も多数混在しており、安定した歩行が難しかった。

長期的な目標は、汎用の2足移動モジュールの開発

早大・高西淳夫教授(右)とテムザック・高本陽一代表取締役(左)

"Refined"という名称が示すとおり、16RIIIは機体を新規に製造したものではなく、16RIIに手を加えた改良機だ。ハードウェア面での違いは、テムザックが製作した操縦装置が搭載されていることで、この2本のレバーに取り付けられたボタンにより、搭乗者が移動方向や速度を決められるようになっている(16RIIではリモートコントロールされていて、搭乗者は"ただ乗っている"だけだった)。それ以外のハードウェア構成は、ほぼ従来のままだという。全高は128cm、総重量は76kgと、16RIIよりも多少重くなった。

テムザックが開発した制御系。両手のボタンを組み合わせて操縦する

16RIIIのハードウェア構成。高価なジャイロなどは必要としない

それよりもむしろ、今回の16RIIIで強化されている部分はソフトウェアと言える。屋外の実環境に対応させるため、非線形コンプライアンス制御を用いた着地軌道修正制御、推定姿勢補償制御などを開発。足首に埋め込まれた「6軸力覚センサー」からのデータをもとに、路面の形状を瞬間的に判断し、それにならって軌道修正を行うことができるようになった。こういった改良によって、「ロボット開発・実証実験特区」(北九州市・福岡市)内の公道にて、点字ブロックのある路面、傾斜角3度の砂利道、横断歩道などでの、安定した歩行に成功した。

制御ソフトウェアのブロック図

凸凹があって意外と難しいという横断歩道

記者会見の席上、テムザックの高本陽一代表取締役は、「ロボリアのような、一般家庭用の自動車みたいなものからすれば、WL-16RIIIはF1カーのようなもの」とし、早期の実用化については否定的な見方を示す。ただ技術を応用して、エンターテイメント向けのロボットを作ることも考えているそうで、例えば馬ではなくロボットに乗る"ロボットポロ"のようなものを「1〜2年以内にもやりたい」と意欲を見せた。

2足歩行型車椅子ロボットにより、行動範囲が大きく広がる可能性がある

事業化のステップ。まずは利用シーンを限定できるエンターテイメント向けで

現時点では、16RIIIは体重55kgの人間を乗せての屋外歩行に成功。デモでの移動速度は、平地では歩幅約20cm、1秒で1歩程度となっており、階段歩行では、1段を下りるのに10秒以上かかっていた。体重による制限があったり、移動速度もまだ十分とは言えないが、高西教授によれば、「この1年は機能の研究を優先していたが、65kgくらいまでならこのままでもいける。2〜3年前にはガススプリングという特殊な機構を使って、95kgくらいの人間を乗せた歩行にも成功している」「特許の関係で話すことはできないが、スピードについては、すでに解決するメカニズムを開発している」とコメントした。

動画(WMV9形式)

階段で行われたデモ。16RIIでは正確に段差を指定する必要があったが、16RIIIでは±2cm程度までの誤差なら吸収できるそうだ

こちらは屋外歩行のデモ。何気なくやっているように見えるが、屋内の完全な平面とは違い、微妙な凸凹もあって難しいという


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