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YouTube詳報 - 彼らは協議で何を語ったのか

2007/02/06

YouTubeに著作権侵害への対策を求めていた権利者団体・放送事業者らは6日、YouTubeの創業者2名とGoogleのVice Presidentと協議した。協議の結果は既報の通り、YouTubeは違法なアップロードをしないよう日本語での警告文を表示する措置を、早急にとることを言明した。

これを受け、権利者団体らは記者会見を開き、協議について説明した。

会見の出席者は、日本映画製作者連盟 華頂尚隆・事務局次長、日本映像ソフト協会 管理部 酒井信義・部長代理、日本放送協会(NHK) ライツ・アーカイブスセンター 石井亮平 著作権・契約部長、日本民間放送連盟 植井理行・IPR専門部会委員、日本芸能実演家団体協議会・実演家著作権隣接センター 松武秀樹・運営委員(ミュージックピープルズネスト)、日本芸能実演家団体協議会・実演家著作権隣接センター 山崎博司・広報委員(日本音楽事業者協会)、日本音楽著作権協会 菅原瑞夫・常任理事。

日本映画製作者連盟 華頂尚隆・事務局次長

日本映像ソフト協会 管理部 酒井信義・部長代理

日本放送協会(NHK) ライツ・アーカイブスセンター 石井亮平 著作権・契約部長

日本民間放送連盟 植井理行・IPR専門部会委員

日本芸能実演家団体協議会・実演家著作権隣接センター 松武秀樹・運営委員(ミュージックピープルズネスト)

日本芸能実演家団体協議会・実演家著作権隣接センター 山崎博司・広報委員(日本音楽事業者協会)

日本音楽著作権協会 菅原瑞夫・常任理事

23の権利者団体・放送事業者の代表とYouTubeの協議は、14時から16時までの2時間に及んだ。YouTube側からは、創業者でCEOのChad Hurley氏、同じく創業者でCTOのSteven Chen氏、Google, Vice President, Contents PartnershipのDavid Eun氏、YouTubeの法務担当者らが協議に出席した。

権利者団体らは昨年12月、

  1. 「投稿者本人が著作権を有せず、権利者の許諾も得ないまま映像作品を投稿またはアップロードする行為は違法であり、民事・刑事上の責任を問われる場合がある」ことを、YouTubeのトップページに日本語で掲示すること
  2. 今後アップロードするユーザーに対しては、氏名・住所などを登録させ、その情報を保持すること
  3. 以前、これら23団体・事業者の求めに応じて、YouTubeが6月以降に削除した映像作品をアップロードしたユーザーについて、以後投稿できないようにアカウントを無効とすること

以上3点を要請しており、YouTubeの対応に注目が集まっていた。

今日の協議の場でYouTubeは、(1)を早急に対応することを言明、(2)は全体では厳しいとの考えを示し、(3)は既に対策済みであると回答した。

(3)については、2006年6月にYouTubeが提供した簡易削除ツール「Content Verification Tool(CVT)」により、削除手続き「Notice & Takedown」のNotice(通知)の手続きが簡略化された。YouTubeはこのNoticeを受け取った動画をアップロードしたユーザーを追跡し、警告3回分でアカウントを削除しているという。

ただし、上記3点の対策は抜本的な事前防止策を講じるまでの「暫定的対策」として、昨年12月に要請されたもの。協議の場では、抜本的な対策が改めて要求されており、YouTubeは今後、著作権問題を解決するための技術開発に取り組むと回答したという。

誠意ある対応も協議の中身は納得できず、場を作ったことが成果

会見に出席した7名の代表者は皆一様に「誠意ある対応だった」と受け止めているが、協議の中身については100%納得できるものではなかったようだ。

華頂氏は「今日の交渉の感触は、(YouTubeが)著作権侵害のことを真摯に受け止めているという印象。日本のユーザーが多く、日本のコンテンツが大量にあるということも認識しているようだ」と話し、だから「来日したのだ」と、YouTubeの認識を語ってみせる。

酒井氏は「姿勢としては非常に誠意がある印象。ただ、現実問題として、具体的にどう解決されていくのか。今後見守っていきたい」と語る。

石井氏もまた「協議した結果、お互い非常によく理解し合えた。意義のあるものだった」と対応を語る。しかし、「具体的なことは、まだまだこれから詰めていかなければならない」とも話しており、中身については今後の課題として残ったことを説明。「ただ、ここで話し合ったことが、今後協議を進める上で大きな力になる」と続けた。

植井氏も「今日ここで協議したことに意義があると考える。内容は100%納得できたわけではない。それと同じく、100%物別れしたわけでもない。協議が始まったのだ、という印象」と語り、成果として今後の話し合いの第一歩を踏み出せたことを説明する。

松武氏は「今日は実演家として協議に出席した。米国にはない著作隣接権を説明し、初めてその存在を知ってもらった」と語る。実演家としての立場からは「コンテンツの流通は大切。ただ、それが違法なかたちでなされるのはいけない」との認識だ。

「ご存知のように、私はYMOに参加していた。(YMOが再結成し)先日からCMが放送されている。YouTubeには既にそれもアップロードされている」と松武氏。こうしたケースは「誰が被害を受けているのかわからない」としながらも、「違法なかたちで掲載されているのは事実。そのモラルを問いたい」と続ける。

最後に「私はYouTubeを否定する者ではない。どこかでビジネス展開などをしていければいいと模索している一人だ」と、実演家としての立場から発言した。

山崎氏は「思っていたよりも友好的に話ができたと感じている。こちらの提案すべてに応えてくれたとは思っていないが、技術的な対策について代案を提示してくれるなど、いい話し合いだった」との印象。「検討課題を持ち帰って頂いたので、今後の展開に期待している」

菅原氏は「日本の(同種の)サービスであれば、日常的に話し合いやすい。今回は米国(のサービス)ということもあり、23の団体・事業者が一斉に要請を出した。(YouTubeの創業者は)初めて日本にきたといっていたが、これが第一歩となった」と背景を説明する。

協議については、「中身はまだまだ詰めていかなければならない。権利者側がこういう風にしてほしいといっていくことも大切」とし、今回の協議が継続した話し合いの場を作ったと成果を強調する。

今後は「Google Japanがあるので、そこが連絡の窓口になるのか。そのあたりも整備していくことになるだろう」とし、事務手続きや連絡を取り合いながら、今後の進展を見守る考えだ。

協議で日本における事業展開を話したのか

YouTubeは昨年12月15日付けの回答文で、日本での事業展開のための話し合いをする場を設ける用意があるとしていた。今回の協議で、YouTubeから権利者団体に事業提携などの誘いはあったのだろうか。

権利団体・放送事業者の関係者は、「協議の場で彼ら(YouTube)は、動画を投稿したユーザーに広告収入の一部を分配するシステムについて説明したようだ。しかし(代表者は)何もいわず、全くのらなかったと聞いている」と語る。

植井氏も会見で、「報道でもあるように、アップロードした人に広告収益を配分するという提示はあった。この提示は我々の著作物と直接関係のないものと考えている」との認識を示している。

これは現状が改められた後で、初めて始まる話だからか──というと、事情はまた別にあるようだ。

「23の事業者それぞれで、この問題に対するスタンスが違う」(前出の関係者)からだ。一斉にYouTubeに乗るのは「そもそも無理」という。「個々の団体・事業者の話ですよね、というのが(日本側の)共通の考えだ」とは会見での菅原氏の言だ。

しかし、協議の場はファーストコンタクトの場でもあった。YouTubeから個々の団体・事業者に対して、事業の提携に関する提案などはあったのだろうか。「実演家団体にはないだろう。しかし、今日あったのか、明日以降あるのかは不明だが、コンテンツホルダーには(話が)あるのではないか」(関係者)という。

投稿動画削除の実態

前出の関係者は、投稿後の「事後チェックは全くしていないのではないか」と話す。アップロードされる量が膨大だからだ。そのかわり、「権利者からNoticeがあれば、無条件でTakedown(削除)しているようだ」(同)

動画が削除される際には、別名で投稿された全く同じデータの動画も削除されるという。「データが同じとか長さが同じとか、類似をとるにも様々な方法がある。今は、『全く同じデータ』から範囲を広げている段階なのだろう」(同)

会見の中で菅原氏は、「いきなり0か1かという話ではない。(YouTubeがとる対策と)同時並行で、Noticeはしばらく続けなければならないだろう」との認識を示す。

また、今後状況が改善しない場合、法的措置をとる考えはあるのかという質問については、「まだ皆で話していない。米国なので大変だろうが、ないわけではない」(菅原氏)とし、可能性だけは保持した格好だ。しかし、関係者が「違法対策は直接利益を生まない」と語るとおり、費用対効果を見極めた上での対応となる見通し。

ただ、「Noticeしたものは(すべて)削除されている」(前出の関係者)のが現状で、対応そのものはなされている。問題はこのNoticeが、権利者団体らの人海戦術によってなされている点にある。つまり、争点はやはり事前防止策で、この点においてYouTubeからの具体策は依然示されていないのが現状だ。

以下にJASRACがまとめた「YouTubeサイトへの違法動画投稿に関する対応経過」を記載する。

2005年
12月 米国YouTube社動画投稿サイトを開始。
2006年
1月〜 JASRAC信託者、放送局などから権利侵害の連絡、相談あり。
6月12日 米国「デジタルミレニアム著作権法」に基づき、YouTube社に対しアップロードされた侵害著作物の削除要請(Fax)を開始。
6月12〜20日 300ファイルを削除。
6月22日 YouTube社より簡易削除ツール、「CVT」(Content Verification Tool) が提供される。これ以降はCVTを使ったネット上での削除要請を実施。
6月〜7月 2000ファイルを削除。
9月8日 第一回YouTube権利侵害対策意見交換会開催
侵害を受けている関係権利者団体に呼びかけて意見交換会を開催。10月第1週に「YouTube権利侵害コンテンツ一斉削除強化週間」を取り組むことを合意。
10月2日〜6日 YouTube権利侵害コンテンツ一斉削除強化週間
23の権利者団体・事業者により、延べ29,549ファイル(JASRAC削除分は3,736ファイル)の削除要請を行い、直ちに削除された。
10月20日 一斉削除について23団体・事業者名でプレスリリース
11月17日 第2回YouTube権利侵害対策意見交換会開催
一斉削除後も権利侵害コンテンツが減少しないため、23団体・事業者連名でYouTube社に対し、要請文を送付することで合意。
12月4日 YouTube社に対し、著作権侵害行為の事前防止策の要請文書を送付。
☆侵害予防のシステムをつくること
☆暫定措置(1)日本語による注意表示(民事・刑事の責任) (2)ユーザーの住所・氏名を登録させること (3)2006年6月以降、通知により削除された映像作品を投稿したユーザーが再投稿できないようユーザーアカウントを無効とすること
12月5日 要請文送付について23団体・事業者名でプレスリリース
12月15日 YouTube社より「話し合いのために訪日したい。日程調整のため猶予が欲しい」との回答。
12月19日 YouTube社回答について23団体・事業者名でプレスリリース
12月22日 第3回YouTube権利侵害対策意見交換会開催
YouTube社に対し、権利侵害の解消についての話し合いであることを明確にした上で、訪日日程を問い合わせることで合意。
12月27日 YouTube社に返信(Eメール)
2007年
1月19日 YouTube社へ回答督促(Eメール)
1月23日 YouTube社より回答(Eメール)、2月初旬来日連絡
2月1日 第4回YouTube権利侵害対策意見交換会
YouTube代表との交渉打合せ
2月6日 23団体代表によるYouTube代表と交渉

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