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書き込み時は実名確認必須に -韓国政府、インターネット規制厳格化

2008/07/23

佐々木朋美

個人情報流出や有害情報の拡散といったインターネット上の諸問題に対応するため、韓国政府が厳格な規制を発表した。

インターネット書き込みは実名確認後

韓国政府の放送通信委員会は、「インターネット利用環境の安全性を引き上げ、インターネット経済の信頼基盤を助成する」(放送通信委員会)といった目的を持つ「インターネット情報保護総合対策」を発表した。

この総合対策は(1)侵害事故予防および対応能力引き上げ、(2)個人情報管理および被害救済体系の整備、(3)健全なインターネット利用秩序確立、(4)情報保護基盤助成といった4項目を推進戦略としており、その達成のため50個にもわたる課題が制定されている。

4つの中でも注目度がもっとも高いのが、3番目の有害情報に関する項目だ。

ここではポータルサイトやP2P事業者などに対して、モニタリングを義務付け、違法・悪質な行為が見られた場合は処罰する規定を新設するほか、有害情報の申告センターや遮断システムといった、有害物対策の有無を点検するなど、事件が起こってからではなく、普段からの管理体制も厳しく点検していく見込みだ。

さらに「インターネット実名制」こと「制限的本人確認制」を改正する方針も発表されている。この制度では、1日のアクセス数が20万件以上の報道サイトと、同30万件以上のポータルサイトおよびUCC(User Created Contents:ユーザー自ら作成した動画や写真を指す)サイトに対して、全韓国国民に与えられる「住民登録番号」記入を義務付けている。

しかし今回の改正により、1日のアクセス数10万件以上に変わる見込みだ。こうなればポータルサイトや報道サイトだけでなく、人気ゲームサイトなども含まれ、制度の適用範囲が大幅に増えることが見込まれている。

制限的本人確認制に関しては、導入当時、悪質な書き込みがしにくくなるという歓迎論があった一方で、インターネットの匿名性や表現の自由が損なわれると主張する懸念もあって論議となっていた。さらに事業者側としても、こうした規制を恐れたユーザーが、書き込みやアクセスを自粛するのではないかとの不安もある。導入当初から論議の多かった制限的本人確認制だが、今回規制の枠が拡大されたことで、さらなる論議が起こることが予想される。

インターネット情報保護総合対策の内容

分野 推進戦略 課題
侵害事故 侵害事故予防および対応能力引き上げ 情報保護予算拡大など22項目
個人情報 個人情報管理および被害救済体系整備 個人情報収集最小化など11項目
有害情報 健全なインターネット利用秩序確立 不法情報管理実態点検など10項目
基盤助成 情報保護基盤助成 情報保護キャンペーンなど7項目

セキュリティ向上も、議論の余地も

2番目の個人情報に関する項目も、最近大規模な個人情報流出事件の多い韓国においては注目度が高い。

ここでは個人情報の収集や保存、流通に関して、商取引など必要な場合を除いては禁止する方針を示している。これとともに、使われていないIDなどを、ユーザーが簡単に削除できるシステムを運用したり、個人情報流出時には直ちにその内容をユーザーに報告することを義務化するなど、脱会を難しくしたり、事故報告も遅かった企業の体質を改善しようとする政府の意図が見える。

1番目の侵害事故というのは、悪性プログラムの流布やハッキングなどを指す。これに対しては、セキュリティを高めるシステム構築を促すほかに、一部企業に対しては、情報保護最高責任者(CSO)の配置を義務付ける制度を導入する。中小企業や一般市民に対しても、セキュリティ向上のための、技術的・資金的・制度的支援を行う予定だ。

4番目の情報保護基盤助成は、文字通り情報保護のため、技術やシステム、ユーザーの意識などを向上させていくという項目が盛り込まれている。たとえば情報保護技術の開発だけでなく、これを専門とする人材の育成支援や、国内外の政府機関および企業などと手を組んで、セキュリティ向上に努めていくことを明らかにしている。

これらの内容は、2012年までかけて実現することを目標としている。50の項目すべてが実現すれば大変なセキュリティ向上につながるが、一方で制限的本人確認制のような、ユーザーの自由を制限するような項目も出ていることから、一部で論議となることも予想される。

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