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【特集】

地デジのインフラ整ってますか - 意外と知られていない受信のツボ

6 地上デジタル放送を観るためには何が必要か?(1)

2005/07/06

よしのわたる

果たして、地上デジタル放送を観るために必要なものが揃っているか

さて、ここからが本題だ。地上デジタル放送を見るには、テレビ以外にも絶対に必要なものがある。アンテナと、そこからテレビまでを結ぶ屋内外の配線だ。今使用しているアンテナや配線がそのまま使えるケースもあるだろうが、そうではないケースも存在する。このことは、テレビの買い換え以上に、大きな問題をはらんでいる。

実際問題として、「いや〜、まずいですよ。本当に映らなくなっちゃうんだから!」という声が、現場からは届いてきている。

地デジ対応のアンテナとは

地上デジタル放送はUHFを使って放送されている。そのため、UHFのアンテナが設置してあれば、そのままでも受信すると考えている人もいるのではないだろうか。確かに、受信することが可能なケースはある。しかし、残念ながらそのままでは受信できないケースのほうが多いはずだ。

300MHzから3GHzまでの電波は全部UHFなのだが、テレビ放送はそのうちの470MHzから770MHzのみを使用している。さらに、テレビ放送で使われるUHF帯は、ローバンド、ミドルバンド、ハイバンドの3つの帯域に分けられており、そのうち、地上デジタル放送で使用されているのは470MHzから578MHzまでのローバンドだ(13ch〜30ch)。この帯域に対応したアンテナが設置してあれば、そのままでも地上デジタル放送を受信できる可能性があるといえる。

地元のローカルUHF局のチャンネルが30chよりも下で、正しく受信できているのだとすれば、ローチャンネルに対応したアンテナが立てられていると判断してよいだろう。

また、それ以外の地域でも、オールバンドに対応したアンテナが立てられているケースもある。このような場合も、ローバンドの放送を受信できる可能性がある。

ここで、「受信できる」ではなく「受信できる可能性がある」と書いているのは、アンテナは、設置しただけでは、ただの導体でしかなく、送信所の方向を正しく向いていなければなんの役にも立たないからだ。現在、UHFの受信に一般的に使用されているアンテナ「八木アンテナ」は、単一指向性を持つアンテナだ。素子数は14〜30ほどあるのが一般的で、素子数が多ければ多いほどその指向性は高くなる。先にも述べたように、地上デジタル放送は、現在UHF放送が発信されている送信所とは違う場所から送信される可能性があるので、受信のためには、再調整、あるいはデジタル放送用にアンテナの増設が必要なケースがあるわけだ。

信号レベルと屋内配線の問題

アンテナがOKならば受信できるかというと、話はそう簡単ではない。受信に必要な信号レベルに達しているかという問題も考えなくてはならないのだ。

ここで、デジタル放送とアナログ放送の特性について考えてほしい。アナログの放送では、信号が弱くなると、次第にテレビの場合は映りが悪くなるし、ラジオの場合は雑音が増え音が小さくなってくる。一方、デジタルの場合、ある一定の信号レベルがあれば、信号のレベルにかかわりなく、同じ内容が受信できる。ぎりぎりで受信できるレベルでも、余裕を持って受信できるレベルでも、画質や音質に変化はない。

地上デジタル放送では、テレビのアンテナ端子に53dBの入力があれば、問題なく映ると言われている。一方、アナログ放送の場合は、64dB以上が必要だと言われている。つまり、ローバンド、あるいはオールバンド対応のUHFアンテナが設置してあって普通にUHFが受信できている家庭では、問題なく地上デジタル放送の受信も可能なように思える(もちろん、地上デジタル放送の送信所にアンテナが向いている必要はあるが)。

ところが、そこに問題があるのだ。アナログ波用のチューナーでは、メーカーや、テレビやビデオのモデルによって、その感度はさまざまだ。読者の方も、キャプチャカードのチューナーでは映りが悪いが、ビデオデッキのチューナーでは問題なく映るというようなことを経験したことがあるのではないだろうか。

さらに、64dBという数値は、あまり守られていないのが実情だ。チューナーの高性能化によって、それ以下でも問題なく映ってしまうのだ。そのため、実際の現場では、50dBを下回っているケースも少なくない。

これによって、数値上ではアナログよりも低い信号レベルで受信可能なデジタル放送が、アナログ放送が受信できている場所でも、受信できないというケースが存在する。ただし、これらの数値を、一般ユーザーが測定する方法は、残念ながら存在しない(厳密に言うと、存在しないというわけではないが、測定器の価格は20万円程度。そのためだけに購入するのはさすがにためらわれる)。

さらに心配をあおるようだが、実際の家屋では、すべての部屋のテレビコンセントで、信号レベルが測定されているわけではない。ブースターから一番近いところと一番遠いところのみを測定してOKとしているケースが多い。ところが、配線の取り回しによっても、信号は減衰する。たとえば、極端なケーブルの曲げは、信号の減衰の原因になりうる。さらにいえば、ケーブルを固定するステップルの打ち方ひとつで、3dBぐらいは平気で下がってしまうこともある。3dBぐらい、と思うかもしれないが、もともと53dBぎりぎりだったところは、それだけで受信不可能になってしまうわけだ。隣の部屋では映るのにこの部屋では映らないといった現象が発生する可能性がある(これは、後で説明する送り配線の場合にも発生する)。

屋内配線に使用されているケーブルにも注意が必要だ。古い住宅では、屋内配線に3C-2Vといった細い同軸ケーブルを使用しているケースがまだまだ残っている。そこまで行かなくても、5C-2V程度を利用しているという家庭は多いはずだ。ところが、これらのケーブルは、とくに高い周波数では信号のロスが大きいうえ、シールド効果が低くノイズに弱いという欠点も持っている。このようなケーブルが使われている家庭では、屋内配線自体も交換する必要がある。地上デジタル放送を前提とするのなら、S-5C-FB程度のケーブル、できればS-7C-FBを選択する必要があるだろう。

また、信号が一番減衰するのは接続端子部分だ。壁に埋め込んであるテレビコンセントは、たいていF型コネクタが装備されている。ところが、屋内配線がテレビコンセントに接続される側はというと、F型コネクタに比べると減衰や劣化が起こりやすいねじ止め式であったりというケースも少なくない。これは、壁面のテレビコンセントのふたを開けてみれば簡単に確認できる。


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